こどもちゃれんじ(ベネッセ)のInstagram運用を分析|伸びている理由と、真似できるポイント【2026年版】
2026/9/28
「教育系のアカウントを運用しているけれど、なかなかフォロワーが増えない」「子育て世代に響く投稿の作り方がわからない」——そんな悩みを抱えるSNS担当者は少なくありません。特に教育・子ども向けサービスは、商品の魅力を直接的に語るほど「宣伝くさい」と受け取られやすく、保護者の共感をどう獲得するかが大きな課題になります。
そこで参考になるのが、ベネッセコーポレーションが運営する幼児向け通信教育〈こどもちゃれんじ〉のInstagram運用です。しまじろうというキャラクター資産を軸に、複数のアカウントを目的別に使い分け、保護者が「思わず保存したくなる」情報発信を続けています。本記事では、公開されている情報をもとに、その運用の型と、他業種・他アカウントでも応用できるポイントを分解していきます。
こどもちゃれんじのInstagram運用の全体像
こどもちゃれんじ関連のInstagramアカウントは、実は1つではありません。ベネッセの公式ソーシャルメディア一覧でも紹介されている通り、メインの通信教育アカウントのほか、0〜1歳児の保護者向けに特化した「こどもちゃれんじbaby編集部」、英語教育に関心のある保護者向けの「こどもちゃれんじEnglish」、キャラクター単体としての「しまじろう公式」など、複数アカウントが並走しています。
これは偶然の分散ではなく、明確な設計意図が見える構造です。子どもの年齢や保護者の関心事によって「知りたい情報」は大きく異なります。0歳児の親が欲しいのは「今日からできる触れ合い遊び」であり、年長児の親が欲しいのは「小学校入学準備」です。1つのアカウントにすべてを詰め込むと、フォロワーにとって「自分ごと」として刺さる投稿の密度が下がってしまいます。こどもちゃれんじは、この課題をアカウント設計そのもので解決しているのです。

なぜ今、子育て層にとってInstagramが重要なのか
この設計の背景には、子育て世代のSNS利用実態があります。子育て世代のSNS利用について調査を行った株式会社ベビーカレンダーの調査(PR TIMES掲載)によると、子育て世代の88%がSNSで子育て情報を収集しており、98%が複数のSNSを併用しています。プラットフォーム別の利用率ではInstagramが63.0%と最も高く、次いでYouTube45.7%、X(旧Twitter)37.8%、LINE32.3%という結果が示されています。
さらに総務省「令和7年版 情報通信白書」でも、X(旧Twitter)やInstagramは2024年時点で全年代の半数程度が利用しており、50代でも4割以上に利用が拡大していることが報告されています。子育て世代を中心とする若年〜中堅層だけでなく、祖父母世代を含む「家族ぐるみ」でSNSが情報接点になっている点は、教育・子ども向けサービスにとって見逃せないデータです。
また、Instagramを運営するMeta社は2019年6月、日本国内における月間アクティブアカウント数が3,300万を突破した(2019年3月時点)と公式発表しています。教育・子育てというニッチに見えるテーマであっても、プラットフォーム自体の利用者基盤が大きいからこそ、的確なセグメント設計をすれば十分なリーチが見込める土壌があるといえます。
投稿の「型」を分解する
公開されている投稿を見ていくと、こどもちゃれんじのInstagram運用にはいくつかの型が繰り返し使われていることがわかります。
まず目立つのは、教材の活用シーンを「保護者のリアルな困りごと」と結びつける投稿です。たとえば生活習慣の練習や時短知育に関する投稿では、「以前は手こずっていた作業が、この教材を使うことで簡単に実践できるようになった」というビフォー・アフターの構成が使われています。これは商品説明ではなく、保護者自身の体験談に近い語り口で構成されている点がポイントです。
次に、季節・行事に合わせた育児Tips系の投稿です。入園入学、夏休み、クリスマスといった生活の節目に合わせ、「今すぐ試せる遊び」「今の時期に意識したい声かけ」といった実用情報を発信することで、宣伝色を抑えながら保存・シェアされやすいコンテンツを作っています。
そして3つ目が、しまじろうというキャラクターを主役にしたエンタメ性の高い投稿です。教材や教育方針の話をせず、しまじろうの日常やグッズ、TV番組の情報を届けることで、フォローする理由を「教育情報を得るため」だけに限定しない設計になっています。教育アカウントというと固くなりがちですが、キャラクターコンテンツを挟むことでアカウント全体のトーンが柔らかくなり、フォロー解除のハードルが下がる効果が期待できます。
世界観のつくり方:キャラクター資産をハブにする
こどもちゃれんじの強みは、しまじろうという単一のキャラクターが、TV番組・教材・グッズ・イベント・SNSのすべての接点で一貫して登場する点にあります。Instagram、X、Facebook、YouTubeといった複数のSNSを横断してもキャラクターのビジュアルとトーンが統一されているため、どの接点で出会ったユーザーも違和感なく他のチャネルに移動できます。
これは自社アカウントに置き換えると、「マスコットキャラクターを作る」ことそのものよりも、「複数の接点で一貫したビジュアル・言葉づかいを保つ」ことの重要性を示しています。ロゴカラー、フォント、話しかける語尾(である調・ですます調・タメ口など)を投稿ごとにブレさせず、どの投稿を見ても「同じアカウントが発信している」と認識できる状態を作ることが、世界観づくりの第一歩です。
エンゲージメントを生むUGC・参加型施策
こどもちゃれんじでは、フォロワー参加型の投稿キャンペーンも継続的に実施されています。子どもの成長エピソードや「お気に入りアイテム」を保護者自身に投稿してもらい、指定ハッシュタグで集める企画などがその一例です。プレゼント企画と組み合わせることで、フォロワーが自発的に投稿するインセンティブを作り、同時にリアルな利用シーンというUGC(ユーザー生成コンテンツ)を蓄積できる仕組みになっています。
UGCには2つの利点があります。1つは、企業発信よりも「他の保護者のリアルな声」の方が説得力を持ちやすいこと。もう1つは、投稿された写真や体験談をアカウント側で再編集・引用することで、コンテンツ制作の負荷を下げられることです。教育・子育てのように「信頼性」が購買・利用の意思決定に直結する領域では、このUGC活用は特に効果を発揮しやすい施策といえます。
他アカウントで応用するための実践チェックリスト
ここまでの分析を踏まえ、明日から自社アカウントで試せる実践ポイントを整理します。
| 施策カテゴリ | こどもちゃれんじの工夫 | 自社アカウントへの応用例 |
|---|---|---|
| アカウント設計 | 年齢・関心軸で複数アカウントを使い分け | ターゲット層が複数ある場合、統合か分割かを利用シーン別に検討する |
| 投稿の型 | ビフォー・アフター型の体験談投稿 | 自社商品・サービス導入前後の変化を具体的に描写する |
| トーン統一 | キャラクターと語り口を全チャネルで統一 | ロゴ・配色・語尾を投稿テンプレート化してブレを防ぐ |
| エンタメ要素 | 商品と無関係なキャラクター日常投稿を混在 | 商品説明以外の「読み物」「くすっと笑える投稿」を一定比率で挟む |
| UGC施策 | ハッシュタグ投稿キャンペーン+プレゼント | 既存顧客の体験談を募る仕組みを用意し、投稿を再編集して活用する |
具体的なアクションとしては、以下の順番で着手するのがおすすめです。
- 現状の投稿を「型」で分類する:直近20〜30投稿を、商品説明型/体験談型/お役立ち情報型/エンタメ型に仕分け、比率に偏りがないか確認する。
- ペルソナごとに欲しい情報を書き出す:ターゲットが1つでない場合、年齢・利用フェーズごとに「知りたいこと」を洗い出し、投稿テーマの抜け漏れを確認する。
- ビジュアル・語尾のルールをドキュメント化する:色、フォント、一人称、語尾のトーンを簡単なガイドラインにまとめ、担当者が変わってもブレないようにする。
- UGCを集める導線を1つ作る:ハッシュタグを決め、既存顧客に「投稿してもらう理由」(プレゼント、紹介される嬉しさなど)を用意する。
- 月1回、投稿の型ごとの反応を振り返る:保存数・コメント数など、型ごとの傾向を定点観測し、次月の投稿比率に反映する。
数値目標を最初から追いすぎず、まずは「型」と「ルール」を整えることが、継続的に伸びるアカウント運用の土台になります。
教育・子育て業界特有の留意点
教育・子育て領域は、他業種以上に「信頼性」が重視されるジャンルです。ベネッセ教育総合研究所は東京大学社会科学研究所との共同研究として「子どもの生活と学びに関する親子調査」を継続的に実施・公表しており、こうした調査研究の蓄積が企業全体のブランド信頼につながっている側面もあります。SNS上の発信だけでなく、根拠あるデータや専門性に裏打ちされた情報発信を組み合わせることが、子育て世代の保護者から長期的に支持されるアカウントづくりには欠かせません。
自社が教育・子育て以外の業種であっても、「専門性の裏付け」と「親しみやすいSNS発信」を両立させるという構図は応用できます。堅い情報だけでも、キャラクター的な軽さだけでも、片方に寄りすぎると読者の支持は長続きしません。
同じ教育・子育て業界や、他業種でのSNS運用の工夫をより詳しく知りたい方は、unyouのSNS運用事例データベース(https://unyou.media/cases)もあわせてチェックしてみてください。業種別・目的別に実際の運用事例を検索できます。
まとめ
こどもちゃれんじのInstagram運用から見えてくるのは、派手な施策ではなく、地道な設計の積み重ねです。ターゲットに応じたアカウント分割、体験談ベースの投稿の型、キャラクターを軸にした一貫した世界観、そしてUGCを生む参加型施策——どれも特別な予算がなくても、自社の状況に合わせて部分的に取り入れられるものばかりです。
まずは自社アカウントの投稿を「型」で棚卸しすることから始めてみてください。数字を追う前に土台を整えることが、結果的に継続的な成長への近道になります。
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