BtoB企業のSNS担当者から、「TikTokを始めてみたものの、フォロワーも再生数も伸びず、上司に成果を説明できない」という相談を数多く受けます。BtoCブランドの華やかな事例をお手本に見よう見まねで投稿を続けても、商談化にはつながらず、いつの間にか更新が止まってしまう——そんなケースは決して珍しくありません。
TikTokは若年層向けの娯楽アプリという印象が根強く、「うちのようなBtoB企業がやる意味があるのか」と社内で疑問視されることも多いでしょう。しかし失敗の多くは「TikTokが向いていない」のではなく、「BtoCの感覚のまま運用してしまっている」ことに起因します。本記事では、BtoB企業のTikTok運用でありがちな失敗を7つ取り上げ、それぞれの改善策を具体的に解説します。あわせて、SNS運用事例データベース「unyou」(https://unyou.media)に掲載されているBtoB事例の傾向にも触れながら、明日から実践できるチェックリストまで紹介します。
BtoBのTikTok運用、こんな悩みありませんか
- 投稿はしているが、再生数もフォロワーも横ばいのまま数カ月が経過している
- 「バズらせる」ことが目的化し、本業との関連性が薄いネタばかり量産している
- 制作したショート動画の内容が営業部門やマーケティング部門に共有されず、社内で全く活用されていない
- 成果指標が「いいね数」や「再生数」しかなく、上司に商談やリード獲得への貢献を説明できない
- 担当者の異動や退職で運用が属人化し、後任が引き継げずに更新が止まる
心当たりがある方は少なくないはずです。次章では、なぜBtoB企業でも動画SNS、特にTikTokへの取り組みが無視できなくなっているのか、公開データを踏まえて整理します。

なぜBtoB企業もTikTokを無視できないのか【データで解説】
TikTokは「若者の遊び場」というイメージだけで語られがちですが、実際の利用実態は年々変化しています。
TikTok for Business Japanは2021年10月、日本国内の月間アクティブユーザー数(MAU)が3,300万人を突破したと公式に発表しました(TikTok for Business Japan公式発表、2021年10月)。この規模は主要SNSの中でも無視できない水準であり、公開から数年が経過した現在も利用は拡大基調にあるとみられています。
また、総務省情報通信政策研究所が毎年実施している「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」では、TikTokの利用率が10代・20代で特に高い一方、30代以降の年齢層でも利用が緩やかに増加している傾向が繰り返し報告されています(総務省情報通信政策研究所「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」)。BtoBの意思決定者や現場担当者も、プライベートでは動画SNSに日常的に触れている世代へと確実にシフトしているということです。
さらに総務省「情報通信白書」(各年版のもとになる「通信利用動向調査」)では、個人のSNS利用率が高水準で定着していることが継続的に示されています(総務省「情報通信白書」)。生活者としての情報接触チャネルがSNS・動画中心に移行している以上、BtoB企業の情報発信もその変化を前提に設計し直す必要があります。
つまり「TikTok=BtoCのもの」という前提そのものが、すでに実態とズレ始めているのです。問題は「やるかやらないか」ではなく、「どう運用するか」にあります。
BtoBのTikTok運用でありがちな失敗7選
ここからは、BtoB企業のTikTok運用でよく見られる失敗パターンを7つ紹介します。unyou(https://unyou.media)に掲載されているBtoB企業の運用事例を見ても、成果が出ている企業ほどこれらの落とし穴を早い段階で回避している傾向があります。
失敗1:BtoC企業のバズ動画をそのまま模倣する トレンドの音源やダンス、流行りの編集を取り入れても、自社の商材や専門性と結びつかなければ、再生数が伸びても商談にはつながりません。フォロワーは「面白い動画アカウント」として認識するだけで、企業や商材への理解は深まらないのです。
失敗2:ターゲットが曖昧なまま投稿を続けている 「とりあえず認知を広げたい」という漠然とした目的のまま、誰に向けた動画かが定まっていないケースです。BtoBは購買関与者が複数(現場担当者・決裁者・情報システム部門など)に分かれるため、誰の課題に応える動画かを決めずに作ると、内容が総花的になり誰にも刺さりません。
失敗3:成果指標を「バズり」だけに置いている 再生数やいいね数だけをKPIにすると、内容が過度にエンタメ寄りになり本業から乖離していきます。BtoBで本来重視すべきは、プロフィール遷移率、資料請求・問い合わせへの導線クリック率、指名検索数の変化といった、事業成果に近い指標です。
失敗4:現場・営業部門を巻き込まずマーケ担当だけで完結させている 現場のリアルな課題や導入事例のネタは、営業・カスタマーサクセス部門が最も詳しく把握しています。マーケ担当だけでネタを考え続けると早々にネタ切れし、内容も表面的になりがちです。
失敗5:投稿頻度・体制が属人化し継続できない 担当者一人の熱意に依存した運用は、異動や業務多忙により簡単に止まります。企画・撮影・編集・投稿・分析のフローが個人の頭の中にしかない状態は、継続運用における大きなリスクです。
失敗6:専門性を「難しく」伝えすぎてしまう BtoB特有の失敗として、専門用語や社内論理をそのまま動画に持ち込み、視聴者が最初の3秒で離脱してしまうケースが多く見られます。TikTokは冒頭数秒で離脱が決まるプラットフォームであり、専門的な内容ほど平易な言い換えが必要です。
失敗7:他媒体・営業活動と連携せず単独施策で終わらせている TikTokだけで完結させ、獲得した認知をWebサイト・ホワイトペーパー・営業トークに繋げる導線を作っていないケースです。せっかく興味を持ってもらっても、次のアクションが用意されていなければ機会損失になります。
失敗を防ぐための改善ステップ
上記7つの失敗は、共通して「目的とターゲットの未設計」「社内連携不足」「指標の誤設定」という3つの根本原因に集約されます。改善の方向性を一覧表にまとめました。
| 失敗パターン | 根本原因 | 改善の方向性 |
|---|---|---|
| ①BtoC動画の模倣 | 自社文脈への翻訳不足 | 自社の専門性・実例に紐づけた企画に絞る |
| ②ターゲット曖昧 | ペルソナ未設定 | 購買関与者ごとに投稿シリーズを分ける |
| ③指標がバズりのみ | KPI設計の誤り | 導線クリック率・指名検索など事業指標を併用 |
| ④現場を巻き込まない | 部門連携不足 | 営業・CS部門からネタを定期収集する仕組み化 |
| ⑤属人化 | 運用体制の未整備 | 企画〜分析の役割分担とマニュアル化 |
| ⑥専門用語が多い | 視聴者視点の欠如 | 冒頭3秒で結論、専門用語は言い換え必須 |
| ⑦他施策と連携なし | 導線設計の欠如 | プロフィール・固定投稿からLP/資料への導線を用意 |
このように整理すると、TikTok単体の「動画のうまさ」よりも、社内の設計・連携・運用体制そのものが成果を左右することが分かります。
明日から使える運用チェックリスト
以下のチェックリストは、既に運用中のアカウントでも、これから始めるアカウントでも活用できます。まずは自社の状況を照らし合わせてみてください。
- 直近5投稿について「誰に何を伝えたいか」を1文で説明できるか
- 投稿ごとのKPIが再生数・いいね数以外に設定されているか(プロフィール遷移、リンククリックなど)
- 営業・カスタマーサクセス部門からネタを収集する定例の場があるか
- 動画の冒頭3秒で「誰向けの・何の話か」が伝わる構成になっているか
- 専門用語を使う場合、必ず平易な言い換えや具体例を添えているか
- 担当者が不在でも運用を引き継げる企画書・マニュアルが存在するか
- プロフィール欄・固定投稿から自社サイトや資料請求への導線が設置されているか
- 月次で「投稿本数・エンゲージメント・導線経由の反応」を振り返る場を設けているか
このチェックリストで「できていない」項目が3つ以上ある場合、まずはそこから着手するだけでも運用の質は大きく変わります。
成果が出るまでのロードマップと社内合意形成
BtoBのTikTok運用は、BtoCのような短期間でのバズを前提にすると社内評価が続きません。まず社内で合意しておきたいのは「TikTokは即時の売上直結施策ではなく、認知形成・指名検索の底上げ・採用ブランディングなど中長期の資産構築施策である」という位置づけです。
その上で、
- 最初の1〜2カ月は「投稿の型」を固める検証期間と位置づける
- 3カ月目以降からプロフィール遷移率や指名検索数の変化を定点観測する
- 半年〜1年のスパンで、営業現場での「TikTokで知りました」という声の有無を確認する
という段階を踏み、短期のバズではなく中長期指標で評価する体制を、運用開始前に上司や関連部門とすり合わせておくことがトラブル回避の鍵になります。
unyouの事例データベースを活用する
「自社の業種でTikTokがどう活用されているのか、具体的にイメージが湧かない」という担当者は多いはずです。SNS運用事例データベース「unyou」(https://unyou.media)には、業種別のSNS運用事例が数多く掲載されており、BtoB企業がどのような切り口で動画企画を組み立てているか、投稿の傾向や工夫を確認することができます。
自社と近い業界・商材の事例を探し、「どの部門を巻き込んでいるか」「どんな指標を重視していそうか」といった観点で事例を読み解くと、本記事のチェックリストと合わせて、自社に合った運用設計のヒントが得やすくなります。ゼロから企画を考えるより、まず近しい業種の事例を参考にする方が、失敗のリスクを大きく減らせます。
まとめ
BtoB企業のTikTok運用で起きる失敗の多くは、動画のクオリティ以前に「目的設計」「社内連携」「指標設定」の甘さに起因します。BtoCのバズを模倣するのではなく、自社の専門性を分かりやすく翻訳し、営業・現場部門を巻き込みながら、事業成果に近い指標で継続的に評価する体制を整えることが何より重要です。総務省やTikTok for Business Japanが示す通り、動画SNSの利用は世代を超えて広がっており、BtoB企業にとってもチャネルとして無視できない存在になりつつあります。まずは本記事のチェックリストを自社の運用に照らし合わせ、できていない項目から一つずつ改善していきましょう。
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ABOUT UNYOU
unyou は、SNS運用の「成功事例」が集まるデータベースです
Instagram・X・TikTok で実際に成果を出しているアカウントを、業種 × トンマナ × プラットフォームで検索・比較できます。掲載しているのは、世の中に公開されている実在アカウントの分析 600件超。 「自社の業種で何が伸びているのか」を、感覚ではなくデータで確かめられます。
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