URBAN RESEARCHのInstagram運用を分析|伸びている理由と、真似できるポイント【2026年版】
2026/9/22
「うちの会社もInstagramを頑張っているのに、なぜか世界観がバラバラに見える」「投稿はしているけれど、フォロワーが増えても売上や来店にはつながっている実感がない」——アパレルやセレクトショップのSNS担当者からは、こうした悩みをよく聞きます。特にInstagramは「おしゃれに見せること」自体がゴールになりがちで、気づけば投稿の目的や誰に何を届けたいのかが曖昧になっているケースが少なくありません。
一方で、セレクトショップ大手のURBAN RESEARCHは、公式アカウントだけでなく店舗別・ブランド別に複数のInstagramアカウントを使い分けながら、一貫した世界観を保った発信を続けています。本記事では、公開されている情報をもとにURBAN RESEARCHのInstagram運用を分解し、「なぜ支持されているのか」「どの部分なら自社でも真似できるのか」を具体的に整理します。フォロワー数やエンゲージメント率といった確証の持てない数字は扱わず、公開データと運用構造の分析に絞って解説します。
URBAN RESEARCHというブランドとSNS運用が地続きである理由
URBAN RESEARCHは「DESIGN YOUR LIFE STYLE」というコンセプトを掲げ、世界中の都市をリサーチしながらカジュアルを軸にした日常着やドレスアイテム、生活雑貨をセレクトするブランドです(出典:URBAN RESEARCH公式サイト ブランドページ)。「自分の感性に自信を持つ大人」に向けた高感度なワードローブという打ち出し方は、ブランドサイトだけでなくInstagramの投稿の写真の撮り方・キャプションの言葉選びにも一貫して現れています。
ここが重要なポイントです。URBAN RESEARCHのSNS運用が「伸びている」と評価される最大の理由は、目新しい機能を使っているからではなく、ブランドコンセプトとSNS上での見え方が完全に一致しているからです。多くの企業アカウントが陥りがちな失敗は、ブランドサイトの世界観とSNSの投稿トーンがちぐはぐになることです。URBAN RESEARCHはこのギャップがほとんどありません。

複数アカウント運用という戦略の核心
URBAN RESEARCHのInstagram運用でもっとも特徴的なのが、単一アカウントに情報を集約せず、目的別にアカウントを分けている点です。公開されている情報から確認できる主なアカウントの役割分担は以下の通りです。
| アカウント種別 | 主な役割・発信内容 |
|---|---|
| ブランド公式アカウント(@urban_research) | ブランドの世界観そのものを体現するビジュアル発信の中心 |
| URBAN RESEARCH MEDIA | 全ブランドラインを横断したシーズンコーディネート・新作・スタイリング情報のメディア的発信 |
| URBAN RESEARCH Store | 各店舗発のスタイリングヒント、店頭トレンド商品、イベント告知 |
| 店舗別アカウント(例:URBAN RESEARCH KYOTO 等) | 特定店舗の在庫・スタッフコーディネート・地域密着の情報発信 |
| オンラインストア公式アカウント | 新着商品やオンライン限定情報、EC導線の強化 |
| グローバル向けアカウント | 海外配送に対応した商品訴求、越境顧客向けの発信 |
| メンズ特化アカウント | メンズラインに絞ったコーディネート提案 |
このように役割を分けることで、それぞれのアカウントが「誰に何を届けるか」を明確に持てるのが最大のメリットです。1つのアカウントにすべての情報を詰め込むと、フォロワーにとっては「自分に関係のある投稿」と「関係のない投稿」が混在し、結果的にエンゲージメントが下がりやすくなります。URBAN RESEARCHはこの課題を、アカウント分割という構造で解決しています。
投稿の型を分解する:何がリピートして投稿されているか
URBAN RESEARCHの各アカウントを見ていくと、投稿には明確な「型」が存在します。主に次のようなパターンが繰り返し使われています。
- シーズンコーディネート提案型:新作アイテムを使った着回し・季節の切り替わりに合わせた提案
- 店舗・スタッフ発信型:各店舗のスタッフが自身のコーディネートを紹介し、店頭での接客・在庫情報につなげる
- アイテム単体フォーカス型:一点のアイテムをディテールまで見せるカット構成
- 世界観訴求型(ライフスタイル・ロケーション撮影):ブランドコンセプトである「都市」を感じさせるロケーションでの撮影
- リール活用型:静止画のコーディネート投稿だけでなく、着用時の動きや素材感を伝える短尺動画
この「型」を複数持ち、アカウントの目的に応じて使い分けている点が、投稿ネタ切れを起こしにくい仕組みになっています。特に店舗スタッフが発信する投稿は、企業公式アカウントにありがちな「広告っぽさ」を薄め、親近感のある情報として受け取られやすいという特徴があります。
エンゲージメントを生む導線設計
Instagram運用において「投稿すること」自体はゴールではありません。URBAN RESEARCHの運用を見ると、投稿からその先の行動(保存・来店・EC購入)につなげる導線設計が意識されています。
- ストーリーズを使った新作・入荷のタイムリーな告知
- プロフィール欄やハイライトからECサイト・店舗情報への遷移
- 店舗別アカウントによる「この投稿の商品は、この店舗にある」という具体的な行動喚起
- スタッフ個人の発信によるUGC的な信頼形成(企業からの一方的な広告ではなく、人が薦めている実感)
Instagram公式(当時Facebook Japan)が2019年に発表した情報によれば、日本国内のデイリーアクティブアカウントのうち70%がストーリーズを利用しており(出典:Meta「Instagramの国内月間アクティブアカウント数が3300万を突破」2019年6月発表)、ストーリーズは新着情報や期間限定情報を届ける導線として引き続き有効な機能だといえます。同発表では、日本のユーザーによるハッシュタグ検索の回数がグローバル平均の3倍にのぼることも紹介されており、日本国内ではハッシュタグ経由の発見行動が活発であることもうかがえます。こうしたユーザー行動の特性を踏まえると、投稿本文だけでなくハッシュタグ設計やストーリーズ活用も軽視できない要素です。
データで見る、アパレルがInstagramに注力すべき理由
「今さらInstagramに力を入れる意味があるのか」と感じる担当者も多いはずです。しかし公的な統計を見ると、Instagramは依然としてアパレル業界にとって重要なチャネルであり続けています。
総務省が公表した「令和6年版 情報通信白書」によれば、全年代におけるInstagramの利用率は52.6%で、10代・20代では70%を超える高い水準にあります(出典:総務省「令和6年版 情報通信白書」)。また性別で見ると男性47.6%、女性57.5%と、女性の利用率が高いことも示されています。加えて、これまで利用率が低かった60代でも、2023年の22.6%から大きく増加しており、Instagramの利用がより幅広い世代に広がっている点も見逃せません。
URBAN RESEARCHのように「大人のための」という打ち出し方をするブランドにとって、この年代拡大は追い風です。若年層だけに向けた運用ではなく、30代・40代以上にも届く設計にしていることが、複数アカウント・複数の型を持つ運用と噛み合っていると考えられます。
明日から試せる実践チェックリスト
URBAN RESEARCHの運用構造から抽出できる、自社アカウントにも応用しやすいポイントを、実践しやすい順にチェックリストとして整理しました。
- ブランドコンセプトを一文で言語化できているか確認する:「誰の、どんな暮らしのための商品か」を短い言葉にし、それを投稿の写真・キャプションのトーンに反映させる
- 1つのアカウントに情報を詰め込みすぎていないか棚卸しする:新作告知・スタッフ発信・店舗情報・EC訴求が混在していないか確認し、必要ならアカウントやハイライトで役割分担する
- 投稿の「型」を3〜5パターン用意する:コーディネート提案・アイテム単体・スタッフ発信・世界観訴求・リールなど、ネタ切れしない構成をあらかじめ決めておく
- 店舗・スタッフ発信を仕組み化する:本部発信だけでなく、現場のスタッフが自然にコーディネートを発信できるルールやテンプレートを用意する
- ストーリーズとハイライトを導線として設計する:新着・在庫・イベント情報はストーリーズで即時発信し、ハイライトに整理して後から見返せるようにする
- ハッシュタグと検索行動を意識する:商品名・カテゴリ・シーン別など、ユーザーが実際に検索しそうな言葉を投稿に含める
- 年代別の利用実態を踏まえてターゲットを再確認する:Instagramは若年層専用という思い込みを捨て、30〜60代への訴求も検討する
一つひとつは特別なテクニックではありませんが、「ブランドの軸」と「運用の型」を先に固めてから投稿を積み重ねている点が、URBAN RESEARCHの運用から学べる最大のポイントです。
まとめ
URBAN RESEARCHのInstagram運用は、奇抜な施策や特別な機能に依存したものではなく、ブランドコンセプトの一貫性・目的別のアカウント設計・投稿の型の使い分け・現場発信の仕組み化という、地道だが積み上げ可能な要素の組み合わせで成り立っています。総務省の統計が示す通りInstagramの利用は世代を超えて広がっており、アパレル・ファッション業態にとって引き続き重要なチャネルです。まずは自社のブランドコンセプトを言語化し、投稿の役割分担を見直すところから始めてみてください。
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