COHINA(コヒナ)のInstagram運用を分析|伸びている理由と、真似できるポイント【2026年版】
2026/9/22
「うちの商品も悪くないはずなのに、Instagramの投稿がなかなか反応につながらない」「世界観のあるアカウントを作りたいけれど、何から手をつければいいのかわからない」——アパレルやD2Cブランドの運用担当者から、こうした相談をよく耳にします。フィードのデザインを整えても、リールを流行に合わせて作っても、なぜか「刺さっている」実感が得られない。そんなときに参考になるのが、身長155cm以下の小柄な女性向けアパレルブランド「COHINA(コヒナ)」の運用です。
COHINAは特別な広告予算やインフルエンサー起用に頼るのではなく、Instagramそのものを「接客の場」として作り込んできたブランドとして、マーケティング業界でもたびたび取り上げられてきました。本記事では、公開されているインタビューや業界メディアの記事、SNS利用実態に関する公的データをもとに、COHINAのInstagram運用がなぜ支持されているのかを分解し、業種を問わず応用できるポイントに落とし込みます。なお、フォロワー数やエンゲージメント率など裏付けの取れない数値は掲載せず、公開情報に基づく事実のみを扱います。
COHINA(コヒナ)とはどんなブランドか
COHINAは、身長150cm前後の小柄な女性をターゲットにしたアパレルブランドです。2017年11月にプレオープンし、2018年1月に本格的にスタートしました。創業者の田中絢子氏は、当時早稲田大学に在学中で、自身の身長も148cmという小柄な女性でした。「身長が低いと服選びで不便を感じる」「コンプレックスに感じてしまう」という周囲の声をきっかけに、小柄であることを個性として楽しめるブランドを作りたいという思いから立ち上げたと語られています(Marketing Native「『COHINA(コヒナ)』の急成長を支えたInstagram活用のポイントとは?」)。
ブランドコンセプトは「あなたに陽が当たる服」。ブランド名にも「小柄女性のための日向(ひなた)」という意味が込められており、ターゲットを155cm以下に絞り込んでいる点が特徴です。ニッチな体型に特化したことで、既存のアパレルでは満たされなかった「自分の体型にちゃんと似合う服が欲しい」というニーズに強く応えることができました。
このニッチ戦略とSNS運用が組み合わさったことで、COHINAは商品1点からのスタートからわずか1年で月商5000万円に到達し、その後3年で月商1億円を超える成長を遂げたと日経クロストレンドが報じています(日経クロストレンド「小柄な女性向けアパレルD2C 商品1点から1年で月商5000万円に」「1200日連続インスタライブ COHINAが3年で月商1億円超えの原動力」)。これらはCOHINAの実績として公開メディアで報じられている事実であり、SNS運用がビジネス成果に直結し得ることを示す好例といえます。

COHINAのInstagram運用の全体像|投稿とライブ配信の役割分担
COHINAの運用で最も特徴的なのは、フィード投稿だけでなく「インスタライブ」を中核に据えている点です。日経クロストレンドの記事タイトルにもあるとおり、COHINAは1200日を超えて連続でインスタライブを配信してきたと報じられています。ライブ配信では、スタッフ自身が実際に商品を着用し、動きながらサイズ感やシルエットを見せることで、写真だけでは伝わりにくい「着用感」を丁寧に伝えています。
この役割分担を整理すると、次のようになります。
| コンテンツ形式 | 主な役割 | COHINAでの具体的な使い方 |
|---|---|---|
| フィード投稿 | ブランド世界観の提示・保存性の高い情報発信 | コーディネート例、商品の基本情報、世界観を統一したビジュアル |
| リール | 新規層へのリーチ・トレンド接続 | 着用時の動き、スタイリングのビフォーアフター |
| ストーリーズ | 日常的な接点・双方向コミュニケーション | 質問箱、投票機能を使った意見収集、ライブの告知 |
| インスタライブ | 接客・信頼構築・商品開発への声の吸い上げ | 実際の着用感の実演、視聴者からの質問へのリアルタイム回答 |
このように、COHINAは「フィードで惹きつけ、ストーリーズで距離を縮め、ライブで購入の後押しと信頼構築を行う」という一連の流れをInstagram上に設計しています。単発のバズを狙うのではなく、フォーマットごとの役割を明確に分けている点が、真似すべき最大のポイントです。
なぜCOHINAのアカウントは支持されるのか|3つの理由
COHINAが小柄女性から支持を集めている理由は、公開されているインタビューや記事から大きく3つに整理できます。
1つ目は、ニッチな悩みへの解像度の高さです。 「155cm以下」という明確なターゲット設定により、投稿内容やモデルの体型、コーディネート提案のすべてが「自分ごと」として受け取られやすくなっています。MarkeZineの取材記事「着用感がわかる安心で購買を後押し」では、実際の体型に近いスタッフが着用して見せることが、購入の不安を解消する要因になっていると紹介されています。
2つ目は、着用感を「動き」で見せる工夫です。 静止画では伝わりにくいスカート丈やウエスト位置、シルエットの落ち感を、ライブ配信やリールの動画で見せることで、ECサイトで服を選ぶ際の最大の障壁である「サイズ・着用感の不安」を減らしています。
3つ目は、視聴者の声を商品開発に反映する双方向性です。 ホットリンクのコラム「COHINAがInstagramユーザーと高いエンゲージメントを築く理由」でも紹介されているとおり、COHINAはアカウント初期から「今日はみんなどんな服を着ていますか?」といった会話形式の投稿でユーザーとの対話を重視し、寄せられた意見を商品企画に活かしてきました。フォロワーは単なる「見る人」ではなく、「ブランドを一緒につくる人」として扱われている点が、熱量の高いコミュニティを生む土台になっています。
世界観のつくり方|「小柄女性の日向」を体現するビジュアル戦略
COHINAのフィードを見ると、モデルの体型・ポーズ・トーン&マナーが一貫しており、「小柄でも綺麗に見える」という世界観がぶれずに続いていることがわかります。これは偶然ではなく、ターゲットを絞り込んだからこそ実現できる一貫性です。
世界観づくりで重要なのは、次の3つの一貫性を保つことです。
- 被写体の一貫性:ターゲット層に近い体型・年齢層のスタッフやモデルを起用し続ける
- トーンの一貫性:色味、光の当て方、投稿文の語尾やテンションを統一する
- メッセージの一貫性:「小柄でも似合う」というブランドの約束を、どの投稿でも裏切らない
多くのブランドが陥りがちなのは、フォロワー数を増やしたい焦りから、ターゲット外のトレンドに便乗して世界観がぶれてしまうことです。COHINAのように「誰のための、どんな悩みを解決するアカウントか」を明確にし続けることが、結果的に濃いファンを育てる近道になります。
エンゲージメントを生む仕組み|コメント・DM・ライブ配信による双方向性
COHINAの運用がエンゲージメントの獲得において優れているのは、コメントやDMへの返信、ライブ配信中の質問対応を「作業」ではなく「接客」として位置づけている点です。実店舗であれば当たり前に行われる接客を、Instagramというオンラインの場で再現していると捉えると理解しやすくなります。
具体的には、次のような双方向コミュニケーションの設計が確認できます。
- ストーリーズの質問箱・投票機能で気軽に意見を集める
- 集まった意見をライブ配信内で紹介し、「あなたの声が反映されている」ことを可視化する
- 反映した結果(新商品やサイズ展開など)を再度投稿で報告し、フィードバックのループを閉じる
このループが繰り返されることで、フォロワーは「発言すれば届く」「見てもらえる」という感覚を持ち、能動的にコメントやDMを送るようになります。これは広告出稿では得られない、ブランドへの心理的な近さを生み出す仕組みです。
数字で見るSNSと購買行動|なぜアパレルはInstagramに投資すべきか
COHINAのような取り組みが有効な背景には、日本国内におけるSNS利用の広がりと、Instagramが購買行動に与える影響の大きさがあります。総務省「令和6年版 情報通信白書」によると、全年代における主なSNSの利用率は次のとおりです。
| サービス | 全年代の利用率 |
|---|---|
| LINE | 91.1% |
| 52.6% | |
| X(旧Twitter) | 43.3% |
| 26.8% | |
| YouTube | 80.8% |
| TikTok | 33.2% |
(出典:総務省「令和6年版 情報通信白書」)
また、株式会社ネオマーケティングが実施し、PR TIMESに掲載された「SNSでの商品購入に関する調査」では、Instagramで商品を購入した経験のあるユーザーの7割以上が「購入予定がなかった商品」を購入したと回答しています。これは、Instagramが単なる情報収集の場ではなく、その場で購買意欲を喚起する「発見型のショッピング体験」を提供していることを示すデータです。
こうした調査結果と、COHINAが商品1点からのスタートで着実に売上を伸ばしていった実績(日経クロストレンド報道)を重ね合わせると、Instagramを「認知」だけでなく「購買の意思決定を後押しする場」として設計することの重要性が見えてきます。
明日から試せる実践チェックリスト
COHINAの運用から得られる示唆を、業種を問わず応用できるチェックリストに落とし込みました。自社アカウントの運用を見直す際の参考にしてください。
- ターゲットを年齢・性別だけでなく、悩みの種類まで絞り込めているか(例:体型、シーン、予算感)
- フィード・リール・ストーリーズ・ライブ配信で、それぞれ果たす役割を言語化できているか
- 商品の「使用感・着用感」を静止画だけでなく動画でも見せられているか
- コメントやDMへの返信を、月間でどのくらいの速さ・頻度で行えているか把握しているか
- ストーリーズの質問箱や投票機能を使い、フォロワーの意見を集める頻度を決めているか
- 集まった意見を商品・サービスに反映し、その結果をフォロワーに報告しているか
- 被写体・トーン・語尾など、投稿の一貫性が保たれているか定期的にチェックしているか
- 直近の投稿を並べたときに「誰のための、どんな悩みを解決するアカウントか」が一目で伝わるか
これらは特別な予算や外部委託がなくても、既存の投稿運用の中で改善できる項目ばかりです。まずは自社の直近10投稿を並べて、上記のチェックリストと照らし合わせてみることをおすすめします。
中小・個人店舗が注意すべき点|COHINAのやり方をそのまま真似できない部分
一方で、COHINAの運用をそのまま真似しようとすると、うまくいかないケースもあります。特に注意したいのは次の2点です。
第一に、長期間にわたる継続的なライブ配信は、相応の人員体制があってこそ成立する施策だという点です。1200日を超える連続配信は、専任の担当者や体制が整っているからこそ可能になります。個人店舗や少人数のチームがいきなり毎日ライブを目指すと、疲弊して継続できなくなるリスクがあります。まずは週1〜2回など、無理のない頻度から始め、双方向コミュニケーションの「型」を作ることを優先しましょう。
第二に、COHINAの強みは「155cm以下」という明確なターゲット設定にあります。ターゲットを絞ることに不安を感じる事業者は多いですが、対象を広げすぎたアカウントほど、誰の心にも深く刺さらない投稿になりがちです。自社の商品やサービスが最も強く応えられる悩みは何か、まずは小さく絞り込んでみることが、COHINAの事例から学べる本質的な教訓です。
まとめ
COHINAのInstagram運用が支持されている背景には、特別な裏技があるわけではなく、「ターゲットを絞り込む」「フォーマットごとの役割を明確にする」「双方向のコミュニケーションを接客として設計する」という、地道だが一貫した取り組みの積み重ねがあります。総務省のデータが示すとおりInstagramの利用は幅広い層に浸透しており、購買行動調査が示すとおりInstagramは「発見型の購買」を生み出す力を持っています。この土壌の上で、COHINAは着用感の不安を動画で解消し、フォロワーの声を商品開発に反映するループを作り続けてきました。
自社アカウントの運用を見直す際は、まず本記事のチェックリストを使って現状を棚卸しし、無理のない範囲から双方向コミュニケーションの型づくりに着手してみてください。unyou(https://unyou.media)では、COHINA以外にもさまざまな業種のSNS運用事例をデータベース化しています。同業種・類似業態の事例を探す際は、ぜひ[事例データベース](https://unyou.media/cases)もあわせてご覧ください。
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