Notionの投稿を見ると、つい「うちのアカウントと何が違うんだろう」と考えてしまう
「投稿ネタが尽きてきた」「フォロワーは増えても保存や反応が伸びない」「担当者によって世界観がバラバラになる」——SNS担当者であれば、一度はこうした壁にぶつかった経験があるはずです。特にIT・SaaS企業のアカウントは、機能紹介ばかりで無機質になりがちで、「誰に向けて何を発信しているのか」を見失いやすい業種でもあります。
そんな中でも、ドキュメント・タスク管理ツール「Notion」の公式Instagramアカウント(@notionhq)は、プロダクト紹介という難しいテーマを扱いながらも、統一感のある世界観と、思わず保存したくなる投稿フォーマットを両立させているアカウントとして知られています。本記事では、公開されている情報とWeb上の一次情報をもとにNotionのInstagram運用を分解し、業種や規模が違う企業・店舗のアカウントでも応用できるポイントに落とし込んでいきます。なお、フォロワー数やエンゲージメント率など裏付けの取れない数値は掲載せず、確認できる事実ベースで解説します。

Notion(@notionhq)とはどんな企業か
Notionは、メモ・ドキュメント作成、タスク管理、データベース機能などを1つのワークスペースに統合できるオールインワンの生産性ツールです。Notion Labs Japan合同会社は2022年6月に設立され、同年11月に日本語版を正式リリースしています。そして2024年7月29日、Notionはグローバルでのユーザー数が1億人を突破したと発表しました。2020年時点では100万人規模だったユーザー数が、4年間で約100倍に成長したことになります(出典:Notion Labs Japan合同会社「Notion、ユーザー数がグローバルで1億人を突破」PR TIMES掲載プレスリリース)。
日本国内では、トヨタ自動車や三菱重工といった大企業から、Sansanのような成長企業まで、幅広い規模の組織で導入が進んでいると報じられています。プロダクト自体の性質上、ユーザーの多くは「情報を整理し、可視化することが好きな層」であり、この特性がInstagram運用にも色濃く反映されています。
なぜNotionのInstagramは「見ていて飽きない」のか
Notionのアカウントを継続的に見ていくと、次のような世界観づくりの工夫が見えてきます。
1. プロダクトそのものを「絵になる素材」に変えている Notionはノートアプリでありながら、画面のレイアウトやテンプレートのデザイン性が高く、スクリーンショット自体がそのままビジュアルコンテンツとして成立します。機能紹介の投稿でも、無機質なUIキャプチャではなく、配色やタイポグラフィを整えたテンプレート事例として見せることで、フィード全体のトンマナが統一されます。
2. 「ツール」ではなく「働き方・暮らし方」を主語にしている Notionの投稿は、機能を主語にするのではなく、「こういう働き方・暮らし方をしたい人に向いています」という文脈で紹介される傾向があります。プロダクト訴求よりもライフスタイル訴求を前面に出すことで、SaaSにありがちな「営業色の強さ」を薄め、フォロー・保存のハードルを下げています。
3. コミュニティの熱量をコンテンツ化している NotionにはNotion Ambassador(地域でリソースやイベントを運営するボランティア)、Champions(企業内でNotionを推進するユーザー)、Campus Leaders(大学でNotionの活用を広めるプログラム)といった公式のコミュニティ支援制度があります。また、ユーザーが作成したテンプレートを紹介・販売できる公式マーケットプレイスも用意されており、ユーザー自身がコンテンツの共同制作者になる構造ができています。これらの活動から生まれるUGC(ユーザー生成コンテンツ)が、企業発信だけでは出せないリアリティと信頼感をアカウントにもたらしています。
投稿の「型」を分解する
Notionのアカウントで繰り返し使われている投稿フォーマットを整理すると、以下のように分類できます。IT・SaaS企業に限らず、他業種のアカウント設計を考える際のヒントになります。
| 投稿フォーマット | 主な目的 | 他業種で応用する際のポイント |
|---|---|---|
| テンプレート紹介(カルーセル) | 具体的な活用イメージを見せ保存を促す | 自社商品・サービスの「使い方」を手順化して見せる |
| ライフスタイル・Tips系 | フォロワーの日常課題に寄り添う | 商品説明ではなく「悩みの解決策」として発信する |
| ユーザー事例・UGCの再紹介 | 第三者視点での信頼性を担保する | お客様の投稿・声を許諾を得て紹介する仕組みを作る |
| プロダクトアップデート告知 | 既存ユーザーのロイヤルティ強化 | 変化・新着情報を定期的に届け「見る理由」を作る |
| カルチャー・世界観訴求 | ブランドの人格・雰囲気を伝える | 商品と直接関係なくても「らしさ」が伝わる投稿を混ぜる |
ポイントは、これらのフォーマットを単発で終わらせず、繰り返し使う「型」として運用している点です。型があることで、担当者が変わっても世界観がぶれにくくなり、フォロワー側も「またこのアカウントらしい投稿だ」と認識しやすくなります。
エンゲージメントを生む仕掛け:コミュニティとUGCの活用
Notionの発信で特徴的なのは、企業が一方的に発信するのではなく、ユーザーコミュニティを巻き込む設計になっている点です。ユーザーがSNS上でNotionの活用法を発信し、それを企業側が拾って紹介する、あるいはアンバサダーやクリエイターと協業して企画を展開するといった動きが継続的に行われています。
これは「顧客が広報の一部を担う」構造であり、企業単独では作れないリアルな熱量や説得力を生み出します。中小規模の企業・店舗であっても、次のような形で応用が可能です。
- 商品・サービスを使った投稿にハッシュタグやメンションを促し、良質な投稿はストーリーズやフィードで紹介する
- 熱心な顧客・ファンに「アンバサダー」のような役割を用意し、継続的な発信のきっかけを作る
- レビューや口コミを、許諾を得たうえでそのままコンテンツ化する
いずれも新規の撮影コストをかけずに投稿ネタを増やせる方法であり、特にリソースが限られる中小企業やローカル店舗にとって現実的な施策です。
日本市場のSNS環境から見る、Notion運用のヒント
Notionのようなグローバル企業が日本市場でInstagramを運用するうえでは、国内特有のSNS利用動向を踏まえる必要があります。総務省「令和6年版情報通信白書」によると、インターネットの利用目的・用途では「SNS(無料通話機能を含む)の利用」の割合が81.9%と全体の中で最も高くなっています。また同白書のデータでは、国内のソーシャルメディア利用者数は2023年の1億580万人から2028年には1億1,360万人まで増加すると予測されており、SNSが生活インフラとして定着していく傾向が続いています。
一方、Instagramを運営するMeta社は、2022年の決算報告でInstagramの月間アクティブユーザー数が世界で20億人を突破したことを公表しています(出典:Meta社決算発表/About Meta公式発表)。世界規模でユーザーが集まるプラットフォームだからこそ、Notionのように「機能」よりも「働き方・暮らし方」という誰にでも伝わる切り口を選ぶことは、言語や文化の壁を越えてメッセージを届けるうえで理にかなった戦略だといえます。
日本市場向けに考えるなら、グローバルの世界観を踏襲しつつ、日本語ならではの言い回しや、日本のユーザーが共感しやすい働き方・暮らし方のシーンに翻訳し直す工夫が重要になります。
明日から試せる!Notion流Instagram運用チェックリスト
Notionの運用から学べるポイントを、自社アカウントですぐに試せるチェックリストに落とし込みました。
- 自社の投稿を見返し、「機能・スペック」だけを伝える投稿になっていないか確認する
- 商品・サービスを「使う理由」「使ったあとの変化」に翻訳した投稿を1本作ってみる
- フィード全体のトンマナ(配色・フォント・写真の雰囲気)を3枚並べて見たときに統一感があるかチェックする
- 過去の投稿の中から反応がよかった「型」を洗い出し、フォーマット化する
- 顧客・ユーザーの投稿や声を紹介できる仕組み(ハッシュタグ・メンション募集など)を用意する
- 商品と直接関係のない「カルチャー・世界観」を伝える投稿を、月に1本は入れてみる
- 担当者が変わっても迷わないよう、投稿の型・トンマナをドキュメント化しておく
いきなりすべてを実行する必要はありません。まずは「型の洗い出し」と「トンマナの統一」からで十分です。
業種・規模が違っても応用できる3つのポイント
Notionの事例から抽出できる本質的なポイントは、次の3つに集約できます。
- 商品ではなく「その先の変化」を主語にする:スペック訴求ではなく、使うことで生まれる変化・体験を伝える
- 繰り返せる「型」を持つ:毎回ゼロから企画を考えるのではなく、再現性のあるフォーマットを複数用意する
- 顧客・ユーザーを発信の主体に巻き込む:企業単独の発信だけに頼らず、UGCやコミュニティの声を積極的に取り込む
これらはIT・SaaS企業に限らず、飲食店、アパレル、美容、BtoB企業など、業種を問わず応用できる考え方です。
まとめ
Notionの公式Instagramアカウントは、プロダクト紹介という一見地味になりがちなテーマを、「働き方・暮らし方」という誰にでも伝わる切り口に翻訳し、繰り返し使える投稿フォーマットとコミュニティを巻き込む仕組みによって、飽きさせない世界観を作り上げています。特別な予算や大規模な体制がなくても、投稿の「型」を整理し、顧客の声を発信に取り込むところから始めることは、どんな業種・規模のアカウントでも実践可能です。
unyou(https://unyou.media)では、Notonのような海外発ブランドだけでなく、国内の企業・店舗によるSNS運用事例も多数掲載しています。自社と近い業種・規模の運用のヒントを探したい方は、ぜひ[事例一覧](/cases)もあわせてご覧ください。
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