資生堂(SHISEIDO)のInstagram運用を分析|伸びている理由と、真似できるポイント【2026年版】
2026/9/4
「うちも公式Instagramをやってはいるけれど、投稿しても反応が薄い」「何を投稿すれば“ブランドらしさ”が伝わるのか分からない」——美容・コスメ業界に限らず、SNS担当者からはこうした悩みをよく聞きます。フォロワーを増やすためにハッシュタグを工夫したり、投稿頻度を上げたりしても、なぜか「刺さっている」感じがしない。そんなとき、参考になるのが大手企業の運用を"構造"として分解してみることです。
今回は、日本を代表する化粧品メーカーである資生堂(SHISEIDO)のInstagram運用を題材に、なぜ支持されているのか、その裏側にある投稿の型や世界観づくり、エンゲージメント施策を分解します。数字を誇張して煽るのではなく、公開されている情報をもとに「他の企業・店舗のアカウントに応用できるポイント」まで具体的に落とし込んでいきます。
資生堂のSNS運用が「お手本」とされる理由
資生堂は単一の公式アカウントだけでSNS発信をしているわけではありません。ブランドの世界観を発信する「資生堂 ビューティージャーニー」、購買導線を担う「資生堂オンラインストア」、ライフスタイル訴求の「資生堂 Sports Japan」、男性向けの「SHISEIDO MEN」など、目的ごとにアカウントを使い分けているのが大きな特徴です。さらに、百貨店の売り場ごとに「SHISEIDOショップ 松屋銀座」のような店舗単位のアカウントも運用されており、全社一律ではなく"現場が発信できる仕組み"が整えられています。
この「目的別・レイヤー別にアカウントを分ける」という発想自体が、中小企業や個店にとっても応用しやすい考え方です。ひとつのアカウントに世界観訴求も販促も店舗情報も詰め込もうとすると、フォロワーが何を期待して見ればいいのか分からなくなります。資生堂の運用は、まず「このアカウントは何のためにあるのか」を明確に切り分けている点に学びがあります。

資生堂公式Instagramアカウントの全体像
代表的なアカウントの役割を整理すると、次のようになります。
| アカウント | 主な役割・発信内容の傾向 |
|---|---|
| 資生堂 ビューティージャーニー | 現役美容部員によるブランド世界観・メイクアップ発信の中核アカウント |
| 資生堂オンラインストア | 新商品情報・キャンペーン告知など購買導線を意識した発信 |
| 資生堂 Sports Japan | スポーツやアクティブなライフスタイルと美容を結びつける発信 |
| SHISEIDO MEN / 資生堂メン | メンズスキンケアに特化した発信 |
| 店舗別アカウント(松屋銀座・タカシマヤ等) | 売り場・催事情報など、リアル店舗と連動した発信 |
こうしてみると、資生堂の強さは「1本のバズ投稿」ではなく、複数アカウントが役割分担しながら顧客との接点を面で作っている点にあることが分かります。
伸びている理由①:現場社員を主役にした「オムニPBP」施策
資生堂のSNS戦略で特に注目されているのが、2021年7月から本格化した「オムニPBP(パーソナルビューティーパートナー)」の育成です。これは、店頭に立つ美容部員をデジタル領域でも活躍できる人材として育成し、SNS・ライブ配信・オンラインカウンセリングなど複数のチャネルで顧客とつながる取り組みです。ITmediaビジネスオンラインの報道によれば、この取り組みを通じてフォロワー10万人超えのインフルエンサーとなった美容部員も生まれているとされています(出典:ITmedia ビジネスオンライン)。
さらにWeb担当者Forum(Impress)の記事では、こうした社員インフルエンサーの評価・任用は年1回の公募制で行われ、任期は基本2年としながらも、人気が高まった場合は任期を延長するケースがあると報じられています(出典:Web担当者Forum)。つまり「会社が広告塔を一人だけ立てる」のではなく、現場の専門知識を持つ社員自身がフォロワーとの信頼関係を築く"仕組み"として制度化されているのです。
企業アカウントが陥りがちな失敗は、担当者が異動するたびに運用のトーンがぶれてしまうことです。資生堂のように「誰が発信するか」を制度として育成・評価する視点は、少人数の会社やチームでも取り入れられます。たとえばスタッフの得意分野をアカウント内で明確にし、投稿に「担当者の顔」が見える工夫をするだけでも、フォロワーとの距離は縮まります。
伸びている理由②:ブランドごとにチャネルを最適化する姿勢
資生堂はInstagramだけでなく、X(旧Twitter)やTikTokなど複数のSNSを、ブランドやキャンペーンの目的に応じて使い分けています。たとえば「エリクシール」ではX上での会話・トレンド形成を狙った施策、ロングセラーブランドの話題喚起にはTikTokの動画フォーマットを活用するなど、プラットフォームの特性に合わせてコンテンツの作り方を変えていることが業界メディアでも紹介されています(出典:MarkeZine)。
ここで重要なのは、「同じ写真・同じ文章を全SNSに使い回さない」という姿勢です。Instagramでは世界観や質感を伝えるビジュアル重視の投稿、Xでは共感を呼ぶ短文でのコミュニケーション、TikTokではエンタメ性の高い動画というように、媒体ごとに"文体"を変えることがフォロワーの熱量を保つポイントになります。
伸びている理由③:一貫した世界観づくり
資生堂のInstagram投稿を見ていくと、単品の商品写真だけでなく、モデルやスタッフの表情、季節感のあるトーン&マナーが統一されている点に気づきます。これは偶然ではなく、ブランドガイドラインに基づいた色味・構図・フォントの使い方が、投稿単位ではなくアカウント全体、さらには複数アカウントを横断して設計されているためだと考えられます。
フォロワーはフィード全体を「面」として見ています。1枚の投稿のクオリティだけでなく、プロフィールを開いたときに並ぶ9枚・12枚がブランドらしく見えるかどうかが、フォローするかどうかの判断材料になります。これは大企業に限らず、投稿前に「グリッド全体でどう見えるか」を必ず確認するだけで、どんな規模のアカウントでも再現可能な工夫です。
投稿の"型"を分解する:コンテンツカレンダーの考え方
資生堂クラスの企業アカウントであっても、投稿内容は大きく次のパターンに分類できます。
- 世界観訴求型:ブランドイメージやビジュアルコンセプトを伝える投稿
- ハウツー・教育型:メイクアップテクニックやスキンケアの使い方を紹介する投稿
- 新商品・キャンペーン告知型:発売情報やイベント、店頭施策の告知
- 人物・ストーリー型:美容部員やスタッフの人柄・こだわりを伝える投稿
- UGC・お客様紹介型:ハッシュタグ投稿やレビューを引用・紹介する投稿
これらをローテーションさせることで、フォロワーは「今日はどんな投稿だろう」という期待を持ちやすくなります。逆に、告知投稿ばかりが続くアカウントは離脱されやすい傾向にあります。
エンゲージメントを生む仕掛け:現場発信とライブコマース
資生堂の取り組みで特徴的なのは、投稿して終わりではなく、コメント欄でのやり取りやライブ配信(ライブコマース)を通じた双方向コミュニケーションを重視している点です。美容部員が自身のアカウントで質問に答えたり、使用感を実演したりすることで、「企業から一方的に発信される情報」ではなく「相談できる相手からの情報」としてフォロワーに受け取られやすくなります。
これは、総務省「令和6年版 情報通信白書」が示すデータとも整合的です。同白書によると、全年代における主要SNSの利用率は「LINE」91.1%、「Instagram」52.6%、「X(旧Twitter)」43.3%、「Facebook」26.8%となっており(出典:総務省「令和6年版 情報通信白書」)、Instagramは幅広い年代に日常的に使われるプラットフォームとして定着しています。また、Meta(旧Facebook Japan)は2019年6月、国内のInstagram月間アクティブアカウント数が3,300万を突破したと公式発表しており、2023年11月の「Meta Marketing Summit Japan 2023」では、その4年後には6,600万人以上まで拡大したとも発表されています(出典:Meta Japan公式発表/about.fb.com)。これだけ多くの生活者が日常的に利用するプラットフォームだからこそ、「一方通行の広告」ではなく「相談・対話ができる場」としての運用が効果を発揮しやすいと言えます。
中小企業・店舗が明日から試せるチェックリスト
資生堂ほどの規模がなくても、考え方は応用できます。以下は、明日から着手できる粒度でまとめたチェックリストです。
- アカウントの「目的」を1つに絞れているか(世界観訴求なのか、販促なのか、採用広報なのか)
- プロフィール欄に「誰が」「何のために」発信しているかが一目で分かるか
- 直近9〜12投稿を並べたとき、色味・トーンに統一感があるか
- 投稿を「世界観訴求」「ハウツー」「告知」「人物紹介」「UGC紹介」の5パターンに分類し、偏りなくローテーションできているか
- スタッフや担当者の"顔"や個性が伝わる投稿が定期的に含まれているか
- コメントやDMへの返信ルール・返信担当が決まっているか
- キャンペーンや新商品告知だけで終わらず、使い方・活用シーンを伝える投稿があるか
- 複数アカウント・複数SNSを運用している場合、媒体ごとに文体・フォーマットを変えているか
一度にすべてを整えるのは難しいので、まずは「アカウントの目的の明確化」と「グリッドの統一感」の2点から着手するのがおすすめです。この2つは投稿本数を増やさなくても、既存の投稿を並べ替えたり運用ルールを決めたりするだけで改善できます。
資生堂の規模だからできること/どんな規模でもできること
一点、注意しておきたいのは、資生堂のオムニPBPのような「社員インフルエンサーを制度化し、評価・育成する仕組み」は、相応の体制と時間をかけて構築されたものだということです。フォロワー数やインフルエンサーとしての実績を短期間で他社が再現できると保証するものではありません。
一方で、「発信者の専門性や人柄を前面に出す」「アカウントの役割を明確に分ける」「投稿にトーン&マナーの一貫性を持たせる」といった"考え方"そのものは、規模を問わず取り入れられる部分です。数値目標を追う前に、まず自社アカウントの「設計」を見直すことが、遠回りに見えて最も再現性の高い改善策になります。
まとめ
資生堂のInstagram運用から見えてくるのは、単発の話題性ではなく、アカウント設計・発信者の育成・世界観の一貫性・双方向コミュニケーションという複数の要素が組み合わさった"仕組み"としての強さです。総務省や国内SNSプラットフォームの公開データが示す通り、Instagramは幅広い年代が日常的に使うSNSであり、そこでの発信を「広告」ではなく「対話」として設計できるかどうかが、企業アカウントの見え方を大きく左右します。まずは自社アカウントの目的を1つに絞り、投稿のトーンと発信者の顔を整えるところから始めてみてください。
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補足:数値統計はいずれもWeb検索で確認できた実在の情報源(総務省「令和6年版情報通信白書」、Meta Japan公式発表、ITmediaビジネスオンライン、Web担当者Forum、MarkeZine)に基づいており、フォロワー数・エンゲージメント率など確証のない数字は記載していません。ファイル出力の権限が付与されていなかったため、本文はこのチャット内にMarkdownとして直接出力しました。ファイルとして保存が必要であれば教えてください。
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