「うちも公式Instagramを頑張っているのに、なかなか投稿が伸びない」「フォロワーは増えても、来店や購入につながっている実感がない」——SNS担当者からよく聞く悩みです。特にインテリア・家具・生活雑貨のように「実際に部屋に置いたときのイメージ」が購買の決め手になる業種では、商品写真をきれいに並べるだけでは反応が取りにくく、投稿ネタも尽きがちです。
そこで参考になるのが、家具・インテリアのEC・通販大手「ニトリ」の公式Instagram運用です。ニトリは商品単体の紹介にとどまらず、暮らしの中での使われ方を見せる投稿設計や、ユーザー投稿・スタッフ・インフルエンサーを巻き込む仕組みづくりによって、企業アカウントの成功事例として業界メディアでもたびたび取り上げられています。本記事では、公開されている情報をもとにニトリのInstagram運用を分解し、他の企業・店舗のSNS担当者が「明日から真似できる」レベルまで具体化して解説します。なお、フォロワー数やエンゲージメント率など裏付けの取れない数値は本記事では扱わず、確認できる事実・公表情報に絞って紹介します。
ニトリのInstagram運用、何が「伸びている」のか
ニトリは公式Instagramアカウントを開設して以来、季節ごとの新商品情報や収納・インテリアのアイデアを継続的に発信しており、業界メディア(MarkeZine、ECzineなど)でもアカウント開設時から話題になってきました(出典:MarkeZine「ニトリ、インスタグラムに公式アカウント開設」)。運用の特徴を一言でまとめると、「商品を売る投稿」ではなく「暮らしを見せる投稿」を軸にしている点にあります。
家具・インテリア商材は単価が高く、購入までの検討期間が長いカテゴリーです。ユーザーは「この商品が自分の部屋に合うか」「実際にどう使われているか」を知りたいと考えており、ニトリのアカウントはその疑問に応える形で、商品を生活シーンの中に置いた投稿を継続しています。これはインテリア・家具業界のSNS活用事例としても紹介されている、業界特有の勝ちパターンです(出典:find model「【インテリア・家具編】参考になる!SNS企業アカウント」)。

特徴1:商品訴求ではなく「暮らしの提案」を軸にした投稿設計
ニトリの投稿は、単品の商品写真ではなく「部屋づくりの参考になる投稿」として設計されている点が特徴です。同じソファやラグでも、実際の部屋の中でどう配置され、どんな雰囲気を作っているかを見せることで、ユーザーは購入後の生活をイメージしやすくなります。
これは「商品ページ的な投稿」から「メディア的な投稿」への転換とも言えます。フィード投稿は季節のインテリア提案・収納アイデア・新商品情報のように役割を分け、単なるカタログの延長にならないよう工夫されています。企業アカウントが陥りがちな「新商品が出るたびに商品写真を1枚投稿するだけ」という運用から抜け出すヒントがここにあります。
特徴2:UGC(ユーザー投稿)を巻き込む仕組み化
ニトリの運用でとりわけ参考になるのが、UGC(ユーザー生成コンテンツ)を積極的に活用している点です。「#ニトリ」「#mynitori」「@nitori_official」がタグ付けされた一般ユーザーの投稿をストーリーズで随時紹介しており、これが自然なUGC創出のサイクルを生んでいます。
さらにニトリは、ビジュアルマーケティングツール「visumo social」を活用し、Instagram上のユーザー投稿や公式投稿を集めてEC サイト「ニトリネット」上で紹介する「みんなのニトリ」というコンテンツもリリースしています。ユーザーから画像の二次利用許諾を得たうえで自社ECに掲載する仕組みで、許諾を依頼されたユーザーの多くが好意的に応じており、ファンとのエンゲージメント向上につながっているとされています(出典:PR TIMES「UGC活用コンテンツ『みんなのニトリ』がvisumo socialで実現」/株式会社visumo)。
企業が自分たちだけで投稿を作り続けるには限界がありますが、ユーザーの投稿を「紹介する」仕組みを作ることで、コンテンツの供給源を無限に近づけることができます。これはニトリに限らず、規模の小さい店舗アカウントでも真似しやすい施策です。
特徴3:スタッフ・インフルエンサーを起用した「複数の発信者」戦略
ニトリはInstagram上での発信を、公式アカウント単体に閉じていません。オンライン接客サービス「スタッフスタート」を2021年11月から活用し、スタッフによるコーディネート提案・商品紹介の投稿を通じてEC売上への貢献を図っています(出典:日経クロストレンド「ニトリもスタッフ投稿経由のEC売上拡大」)。「お客様目線」でのコーディネート提案と、投稿の質を担保するための教育を重視している点が特徴で、単に投稿本数を増やすのではなく、投稿の質と継続性を仕組みで支えています。
加えて、直近ではインフルエンサーを起用した発信も強化されています。2026年度は複数名のインフルエンサーを起用し、調理用品・収納・家電など幅広いカテゴリーの商品について、日常生活での具体的な使用シーンや活用アイデアを継続的に紹介してもらう体制を取っていると報じられています(出典:日本経済新聞「ニトリ、インフルエンサーを起用 SNSで使い勝手発信」)。公式アカウントの「説明的な発信」と、スタッフ・インフルエンサーによる「生活者目線の発信」を組み合わせることで、情報の説得力と共感の両方を担保している形です。
特徴4:ライブコマースやキャンペーンで「参加できる」接点をつくる
ニトリはSNS上でのキャンペーンやライブコマースにも力を入れています。若手スタッフが主体となったライブコマースを実施し、店頭・EC双方の売上に接続させる取り組みも報じられており(出典:日本経済新聞「ニトリ、若手主体でライブコマース」)、投稿を見て終わりではなく、視聴者が質問したりコメントしたりできる「参加型」の接点を用意しています。
過去には他SNS(旧Twitter/X)でのプレゼントキャンペーンを通じて、リツイートや引用リツイートを大量に集め、UGCを生み出すことに成功した事例もあります。SNSごとの特性を踏まえつつ、「見るだけ」で終わらせない設計を横断的に行っている点は、業種を問わず参考になります。
なぜ今、企業アカウントはこの型を参考にすべきか
背景には、日本国内のSNS利用状況の変化があります。総務省の「令和6年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」によると、全年代における主なソーシャルメディア系サービスの利用率は、LINEが91.1%、Instagramが52.6%、X(旧Twitter)が43.3%、Facebookが26.8%となっています(出典:総務省「令和6年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」)。Instagramはすでに国内で過半数の利用率を持つ主要インフラであり、企業にとって「一部の若年層向けの補助的なチャネル」ではなく「主戦場のひとつ」になっていることがわかります。
| 指標 | 内容 | 出典 |
|---|---|---|
| 全年代SNS利用率(LINE) | 91.1% | 総務省「令和6年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」 |
| 全年代SNS利用率(Instagram) | 52.6% | 同上 |
| 全年代SNS利用率(X/旧Twitter) | 43.3% | 同上 |
| 全年代SNS利用率(Facebook) | 26.8% | 同上 |
このようにInstagramの利用率が高い水準にある一方で、フィードもストーリーズもリールも情報量が多く、ユーザーは「自分に関係のある投稿」を瞬時に判断してスクロールしています。ニトリのように「暮らしのシーンで見せる」「ユーザーやスタッフの声を混ぜる」「参加できる接点を作る」といった工夫がなければ、単なる商品カタログの投稿は埋もれてしまいやすい環境だと言えます。
明日から真似できる実践チェックリスト
ニトリの運用から抽出できる要素を、規模の小さい企業・店舗アカウントでも取り組める形にまとめました。
- 投稿を「商品紹介」ではなく「シーン紹介」に書き換える 商品単体の写真ではなく、使われている場面・使っている人・使う前後の変化が伝わるカットを1枚は入れる。
- ハッシュタグ・メンションでUGCを集める導線を作る 自社の指定タグ(例:#〇〇のある暮らし)を投稿キャプションや店頭POP、レシートなどで案内し、集まった投稿をストーリーズで定期的に紹介する。
- 投稿者を公式アカウントだけに絞らない スタッフの個人アカウントやコーディネート投稿、協力してくれるユーザー・インフルエンサーなど、複数の発信者からの声を組み合わせる。
- 投稿前に「教育」の仕組みを作る スタッフに投稿してもらう場合は、トーン&マナーや撮影のポイントを簡単なガイドラインにしてから依頼する。質のばらつきを防げる。
- 月1回はコメント・DMが発生する「参加型」の投稿を混ぜる 質問を投げかける、選んでもらう、ライブ配信で答えるなど、一方通行にしない企画を定期的に組み込む。
- キャンペーンは「投稿してもらう」設計にする 単なる懸賞ではなく、リポストやハッシュタグ投稿を条件にすることで、キャンペーン自体がUGC創出の機会になるようにする。
- 投稿カレンダーを季節・ライフイベントに合わせて事前に組む 新生活、模様替えの季節、季節家電の入れ替え時期など、生活者の意思決定タイミングに合わせて投稿ネタを先に確保しておく。
業種・規模が違っても応用できるポイント
ニトリは全国展開の大手企業であり、スタッフ数やインフルエンサーとの契約規模の面で中小企業・個人店舗と単純比較はできません。ただし、根底にある考え方——「商品ではなく暮らしを見せる」「ユーザーの声を借りる」「発信者を一人に絞らない」——は、規模に関係なく応用可能な原則です。
例えば個人経営の飲食店であれば、料理写真だけでなく「常連客が食べているシーン」や「スタッフのおすすめコメント」を混ぜる。美容室であれば、施術後の写真だけでなく「お客様の感想を許可を得て紹介する」投稿を定期的に挟む。いずれもニトリの「UGCを巻き込む」「発信者を増やす」という発想の応用形です。重要なのは、フォロワー数の多さを真似ることではなく、投稿の「型」と「仕組み」を自社の規模に合わせて再現することです。
まとめ
ニトリのInstagram運用が支持されている背景には、①商品訴求ではなく暮らしの提案を軸にした投稿設計、②UGCを巻き込む仕組み化、③スタッフ・インフルエンサーによる複数の発信者戦略、④参加型のキャンペーン・ライブコマースという4つの要素があります。いずれも大企業だけの特権ではなく、投稿の型と仕組みを整えれば、中小企業や個人店舗のアカウントでも応用できる考え方です。総務省の調査が示す通りInstagramはすでに国内で過半数が利用する主要チャネルであり、「なんとなく投稿する」段階から「仕組みで運用する」段階へ移行することが、これからのSNS担当者に求められています。
自社アカウントの改善に取り組む際は、まず本記事のチェックリストから1〜2項目を選んで試し、反応を見ながら投稿の型を育てていくのがおすすめです。同業種・類似業種の他社がどのような運用をしているか気になる方は、unyouのSNS運用事例データベース(/cases)で、業種別・目的別に実際の投稿事例を確認できます。
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Instagram・X・TikTok で実際に成果を出しているアカウントを、業種 × トンマナ × プラットフォームで検索・比較できます。掲載しているのは、世の中に公開されている実在アカウントの分析 600件超。 「自社の業種で何が伸びているのか」を、感覚ではなくデータで確かめられます。
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