千葉ロッテマリーンズのInstagram運用を分析|伸びている理由と、真似できるポイント【2026年版】
2026/9/22
この記事の狙い:「なんとなく伸びている」を言語化する
「同業のあのアカウントはなぜあんなに伸びているんだろう」「うちも毎日投稿しているのに、いいねもコメントも増えない」——SNS運用を任されている担当者なら、一度はこの壁にぶつかったことがあるはずです。投稿頻度を増やしても、流行りのフォーマットを真似しても、なぜか「中の人」の熱量が伝わらない。フォロワーとの距離が縮まらない。そう感じている方は少なくないでしょう。
そこで本記事では、プロ野球・パシフィックリーグに所属する「千葉ロッテマリーンズ」のSNS運用を題材に、なぜこのアカウントがファンから強く支持されているのかを、公開されている情報をもとに構造的に分解します。スポーツ球団という特殊な業種の話に見えて、実は投稿の型、編集方針、ファンとの距離の詰め方など、一般企業や店舗のSNS担当者がそのまま応用できるポイントが数多く隠れています。数字の誇張や未確認のフォロワー数・エンゲージメント率には触れず、公開情報と一般的なSNSマーケティングの知見をもとに、明日から実践できるレベルまで落とし込んでいきます。

千葉ロッテマリーンズのSNS戦略の背景
千葉ロッテマリーンズは、球団経営における長年の課題として「観客動員の伸び悩み」と「ファン層の固定化」を抱えていた球団として知られています。広報会議(宣伝会議)の記事「50年ぶりに黒字化の千葉ロッテ ファンづくりを支えたSNS戦略とは」によれば、同球団の広報室は2014年にYouTubeとTwitter(現X)、2018年にInstagramをそれぞれ本格的に運用開始し、動画や写真を通じてファンの心をつかむ取り組みを続けてきました。同記事では、Twitterアカウントがフォロワー数約75万人の人気アカウントに成長したことや、こうした施策の積み重ねの結果として2018年シーズンの観客動員数が約166万5,000人と過去最多を記録し、同年12月期の決算でロッテホールディングスが球団経営に携わって以来、実に50年ぶりの黒字化を達成したことが紹介されています(出典:宣伝会議「広報会議」オンライン版)。
この事例が示唆しているのは、SNS運用が「フォロワーを増やすための単体施策」ではなく、「観客動員」「ファンクラブ加入」「グッズ購入」といった事業成果につながる導線の一部として設計されているという点です。単発のバズを狙うのではなく、日々の投稿の積み重ねによって「このチームを応援したい」という感情を育てる——この視点が、後述する投稿の型やエンゲージメント施策の土台になっています。
なぜ千葉ロッテマリーンズのSNSは支持されているのか
複数の公開記事を横断的に見ていくと、支持される理由はおおむね次の3点に整理できます。
1. 選手・現場への徹底した密着 広報会議の記事では、本塁打を打った後に喜びながらベンチに戻ってくる選手の様子や、試合前グラウンドでの何気ない選手の姿を撮影し発信していることが紹介されています。結果だけでなく「過程」や「素の表情」を切り取ることで、ファンは選手を身近な存在として感じられます。
2. 媒体ごとの使い分け 同記事では、広報室がマスメディア露出・オウンドメディア(SNS・公式サイト)・広告・選手個人のSNSをそれぞれ管理しつつ、「媒体特性に合わせてターゲットや投稿内容を変えて使い分けてきた」ことが明記されています。Instagramではビジュアル重視の写真・動画、Xではリアルタイム性の高い実況・雑感、という具合に、プラットフォームごとに役割を分けているのが特徴です。
3. 「弱くても、地味でも応援したくなる」ストーリーテリング 球団の歴史や苦境を隠さず、そこから這い上がる過程自体をコンテンツにしている点も特徴的です。完璧な成功譚ではなく、等身大のストーリーを見せることで、ファンが「一緒に応援している」感覚を持てる設計になっています。
Instagram運用を支える投稿の"型"を分解する
Instagramは他のSNSと異なり「フィード(写真・動画)」「ストーリーズ」「リール」という複数のフォーマットを持ち、それぞれ役割が異なります。千葉ロッテマリーンズのような球団アカウントの投稿を分析すると、大きく以下のような型に整理できます。
| 投稿の型 | 主な内容 | 狙える効果 |
|---|---|---|
| 試合結果・ハイライト | 本塁打の瞬間、勝利後の選手の表情 | 熱量の共有、保存・シェアの促進 |
| 密着・舞台裏 | 試合前練習、ベンチでの様子、移動中の一コマ | 親近感の醸成、フォロー動機の強化 |
| 選手個人にフォーカス | 誕生日投稿、インタビュー的な一言コメント | 特定選手ファンのエンゲージメント獲得 |
| イベント・企画告知 | ファンイベント、グッズ、来場者向け情報 | 来場・購買への導線づくり |
| ファンとの交流 | コメント返信、ファン投稿の紹介(UGC活用) | コミュニティ感の醸成、継続フォローの動機づけ |
このように役割を分けて投稿を設計することで、「毎回同じような投稿で飽きられる」という状態を避けつつ、フィードを見たときに「このアカウントらしさ」が一目でわかる状態を作っています。これは球団に限らず、飲食店や小売店、BtoB企業でも応用可能な考え方です。自社の投稿を棚卸しして、この5つの型のどれに当てはまるかを分類してみると、偏りが見えてくるはずです。
世界観のつくり方:選手・スタッフ・球団の"人間味"を見せる編集方針
千葉ロッテマリーンズの発信で特徴的なのは、「勝敗」という結果だけを追わず、そこに至る過程や感情を丁寧に切り取っている点です。イーネクスト(千葉県のホームページ制作会社)のブログ記事「【球団再生の極意】ファンを熱狂させる『千葉ロッテマリーンズ』のイケてる広報戦略から、中小企業が学ぶべきSNS・ファンマーケティング」でも、同球団の広報戦略がファンマーケティングの好事例として取り上げられており、中小企業が参考にすべき事例として紹介されています(出典:イーネクスト公式ブログ)。
このような「人間味のある編集方針」を自社に取り入れる際のポイントは、次の3つです。
- 完璧すぎない投稿を意図的に混ぜる:成功事例やきれいな写真だけでなく、準備中の様子や試行錯誤の過程も見せることで、フォロワーは「応援したい」という感情を持ちやすくなります。
- 登場人物に一貫性を持たせる:特定の選手やスタッフが繰り返し登場することで、フォロワーは「知っている人」として親近感を抱きます。企業アカウントであれば、店長やスタッフが継続的に登場する設計が同じ効果を生みます。
- 勝ち負け・成否だけで一喜一憂しない編集軸を持つ:試合に負けた日でも、その日の努力や次への期待を発信することで、アカウント全体のトーンが安定し、フォロワーが離れにくくなります。
エンゲージメントを生む具体的な施策
エンゲージメント(いいね・コメント・保存・シェアなどの反応)を高めるために、球団アカウントが一般的に行っている施策には、以下のようなものがあります。これらは総務省が毎年公表している調査結果とも整合的です。総務省「令和6年版 情報通信白書」によると、全年代における主要SNSの行為者率(利用率)は、LINEが91.1%、Instagramが52.6%、X(旧Twitter)が43.3%、YouTubeが80.8%、TikTokが33.2%となっており(出典:総務省「令和6年版 情報通信白書」)、Instagramは依然として幅広い年代にリーチできる主要プラットフォームの一つであることがわかります。だからこそ、Instagramでの発信を「写真を並べる場所」で終わらせず、コミュニケーションの起点として設計することが重要になります。
具体的な施策例は以下の通りです。
- コメント欄への丁寧な返信:ファンからのコメントに対して、可能な範囲で反応する。双方向のやり取りがあることで、フォロワーは「見てもらえている」という実感を持ちます。
- ストーリーズでの日常的な発信:フィード投稿ほど作り込まず、気軽な内容をストーリーズで発信することで、投稿頻度と親近感の両方を確保できます。
- ファン参加型の企画:投票機能やコメント募集企画を活用し、フォロワーが「参加できる」体験を提供する。
- UGC(ユーザー生成コンテンツ)の紹介:来場者やファンが投稿した写真・感想を公式アカウントが紹介することで、ファン自身が発信する動機づけになります。
- 試合・イベントに合わせた投稿タイミングの最適化:リアルタイム性の高い瞬間(得点シーン、勝利の瞬間など)を逃さず発信する体制を整える。
なお、プロ野球12球団のSNS総フォロワー数(X・Instagram・YouTube合算)をまとめたベースボールチャンネル/マイナビニュースの記事によると、千葉ロッテマリーンズは12球団中6位にランクインし、3媒体合算で145.2万人、Xでは80万人超のフォロワーを抱えているとされています(出典:ベースボールチャンネル/マイナビニュース「プロ野球SNS総フォロワー数ランキング」)。上位球団と比較した際の規模はさまざまですが、重要なのは「絶対的なフォロワー数」よりも「継続的な発信によって観客動員や黒字化という事業成果に結びつけた」というプロセスです。
他業種が今日から真似できる実践チェックリスト
ここまでの分析を踏まえ、自社・自店のInstagram運用にそのまま応用できるチェックリストをまとめました。明日から一つずつ試してみてください。
- 過去1ヶ月の投稿を「結果」「舞台裏」「個人フォーカス」「告知」「交流」の5つの型に分類し、偏りがないか確認する
- 「完璧すぎる投稿」ばかりになっていないか見直し、準備中・試行錯誤の様子を月1回以上発信してみる
- 登場人物(スタッフ・店主・担当者)を固定し、継続的に登場させる企画を1つ作る
- コメントへの返信率を記録し、返信できていないコメントがないか週1回チェックする
- ストーリーズを使い、フィードよりも気軽な日常投稿を週2〜3回発信する
- フォロワーやお客様が投稿してくれた写真・感想を、許可を得たうえで紹介する仕組みを作る
- 「勝った・売れた」日だけでなく、うまくいかなかった日にも発信する内容を用意しておく
これらは特別な予算やツールがなくても始められる施策ばかりです。重要なのは、単発で終わらせず、最低でも数ヶ月単位で継続し、投稿の型と反応の関係を自分たちの手で検証し続けることです。
業種を問わず参考になる、もっと多くの事例を見るには
千葉ロッテマリーンズのようなスポーツ球団のSNS運用は、企業や店舗のアカウント運用と共通する要素を多く含んでいますが、業種によって効果的な投稿の型や世界観のつくり方は異なります。SNS運用事例データベース「unyou」(https://unyou.media)では、業種・目的別にさまざまな企業・店舗のSNS運用事例を掲載しています。自社と近い業種の運用事例を探したい方は、ぜひ[事例一覧](/cases)から、他社がどのような投稿設計・エンゲージメント施策を行っているかをチェックしてみてください。
まとめ
千葉ロッテマリーンズのInstagram運用が支持されている背景には、単なる投稿テクニックではなく、「選手・現場への密着」「媒体ごとの役割分担」「完璧すぎない等身大のストーリーテリング」という一貫した編集方針がありました。広報会議の取材でも明らかなように、こうした地道な発信の積み重ねが観客動員数の増加や球団の黒字化という事業成果に結びついた点は、業種を問わず参考になる事実です。
自社のSNS運用が伸び悩んでいると感じたら、まずは投稿を「型」に分類し、偏りや欠けている要素がないかを点検することから始めてみてください。フォロワー数やエンゲージメント率といった数字は、正しい設計と継続の先についてくるものです。
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