
BEAMS(ビームス)
概要分析
996,713フォロワーを抱えるBEAMS公式アカウント。bioに掲げる「BEAMSとあなたの『好き』がつながる場所」というコピー通り、商品紹介に閉じず、ファッション・カルチャー・ライフスタイルの3軸で「旬」を編集発信するセレクトショップらしい設計が特徴。4,821投稿という積み上げから、新作スタイリング、コラボ告知、店舗・スタッフ発の小ネタ、カルチャーシーン(音楽・アート・スポーツ)との接点など、複数編集者が回す雑誌的な運用が読み取れる。問い合わせはDM自動応答に集約し、購買導線はリンクツリー経由でEC・各SNSへ分岐させることで、フィードを「販促掲示板」にせず読み物として成立させている点が巧み。アパレル大型ブランドとして、単品スペックではなく「着る人・楽しむ人」を主役に置き、BEAMSという生活提案ブランドの世界観を毎日アップデートしている。
業界内ポジション分析
アパレル業界のフォロワー規模分布(業界平均: 37.6万)
トンマナの定義
彩度を一段落とした編集写真とニュートラルな余白設計で、雑誌的なレイアウトを構築。表紙級のキービジュアル+手書き風キャプションや明朝・ゴシック混植のタイポで「街・人・カルチャー」の温度を可視化。スタジオ撮影と街中スナップを意図的に混在させ、商品単体より「着る人の表情・空気」を主役化。BEAMSロゴ赤は要所のみのアクセントに留め、生活提案ブランドらしい抜け感とカジュアルな親密さを保つ。
企画の切り口
新作スタイリング・スタッフスナップによる着用提案
コラボ・限定アイテム・ポップアップの告知と裏側
音楽・アート・スポーツなどカルチャーシーンとの接点紹介
企画の詳細分析
コンテンツ軸・フォーマット
公式(@beams_official)はセール・新作・イベント情報を、余白を生かした都会的でミニマルな構図の写真・カルーセルで発信し、投稿にShopping機能で商品タグを付けECへの購入導線を確保する。150以上あるレーベル・店舗アカウントは各々が新作紹介やスタッフコーデを投稿する入口となり、B:MING by BEAMSなど一部レーベルは外部支援会社FinTと組み、尺20秒前後・カット数多め・アイテム1点フォーカスのリール型を確立して再生数最大化のPDCAを回す。全国約2500名の販売員は実名・顔写真付きの個人アカウントで私物ミックスのコーデ写真やフォトログを投稿し、ディレクター登壇のInstagram Liveや自社ライブコマース「BEAMS LIVE」(2020年開始、初回は約1時間で6000人超が視聴)で生地感・サイズ感を実演しEC誘導する。
競合との差別化
ユナイテッドアローズは店舗スタッフアカウントをSINIS等の分析ツールで本社が横断的にKPI管理し、インプレッションやクリック数の改善を一元的に図る「集中管理型」である。対してBEAMSは2013年の運用開始以降、意図的にアカウントを150以上へ分散拡張し、2016年のサイトリニューアルで全国約2500名の販売員に発信の裁量を委ねる「個客」思想を貫いてきた。単一ブランド世界観の一斉配信ではなく、個々のスタッフの人格や生活が見える分散型・UGC的発信の集積で購買につなげる構造そのものが本質的な差である。さらに公式ECサイトに好みのスタッフ・レーベル・店舗をフォローできる「タイムライン」機能を実装し、Instagram外でも個人単位のファン化を後押しする点も独自である。
エンゲージメント設計
公式アカウントは余白を大きく取ったミニマルな構図、自然光を意識したトーンダウンした色使い、コピーも簡潔で都会的・洗練された言葉遣いに統一し、ブランド全体の格を担保する。一方で個人・店舗アカウントは、私物や古着を織り交ぜたリアルな私服スタイリング、生活感のあるスナップ的な構図、「〜してます」といった会話的で親しみやすい言葉遣いを用いる。公式の洗練されたトンマナと、個々のスタッフのパーソナルな発信という対照的な二層が併存することで、ブランドの世界観と生活者としてのリアリティを同時に担保する構造がBEAMSのトンマナの特徴になっている。
業界課題へのアプローチ
各店舗・スタッフアカウントへのコメントやDMを通じた接客的なコミュニケーションが購買前の相談窓口として機能し、フォロー機能付きの独自「タイムライン」で好きなスタッフやレーベルを継続的に追える仕組みがファン化・リピート接触を促進する。B:MING by BEAMSはリールの構成をコメント・保存を狙って継続的に改善するPDCAを実施し、ライブコマース「BEAMS LIVE」では視聴者からの質問にディレクターがリアルタイムで回答することで双方向性を確保している。ハッシュタグを使ったキャンペーンでユーザー投稿を集める施策も行われ、スタッフ個人の発信自体が広義のUGC的な役割を担っている。
代理店が学べる示唆
①スタッフに実名・私物ミックスの発信裁量を与え、公式では出せない生活者としてのリアリティを担保すること、②「推しスタッフ・推し店舗」をフォローして情報を追えるタイムライン的な仕組みをECやプロフィール欄に用意し、個人アカウントを購買導線につなげること、③新作リールは尺短め・カット数多め・アイテム1点集中というBEAMSの型を踏襲し、再生数や保存率を見ながら編集を継続改善すること、④ライブ配信やInstagram Liveで生地感・サイズ感を実演し購入前の不安を解消すること、の4点は小規模な店舗・企業アカウントでも実践可能な具体策である。
運用のポイント
ファッション×カルチャー×ライフスタイルの3軸編集で販促色を薄め、フィードを読み物化している
DM自動応答で問い合わせを捌きつつ、リンク集経由でEC・SNS・店舗へ多経路導線を確保
スタッフコーディネートやコラボ・イベント等、雑誌的な多人数編集体制で投稿頻度と多様性を両立
運用の遍歴
BEAMSは1976年原宿創業のセレクトショップという出自から、Instagram運用も『カタログ的商品紹介』ではなく『編集メディア化』を早期から志向してきたと推測される。
運用フェーズの変遷
フェーズ変遷としては、初期(2012〜2015年頃)はEC黎明期に合わせた商品単品+スタッフ紹介中心の店頭延長線型運用、中期(2016〜2019年)は『BEAMS T』『fennica』『International Gallery』など事業部別アカウントの分化が進み、本体アカウントはブランド世界観の旗艦としてキュレーション役割を担う構造に再編されたと見られる。後期(2020年〜コロナ禍以降)は実店舗集客が制限される中で、スタッフスタイリング企画『BEAMS STAFF STYLING』のWeb連動や、自宅・街中スナップを混ぜた『生活シーン起点』運用へシフトし、現在の雑誌編集部的体制に至ったと推測される。
過去の試行錯誤
過去の試行として、ライブコマース・スタッフ個人アカウントとの連携・カルーセル着回し・リール短尺など各フォーマットを順に実装してきた形跡があり、現在の『カルーセル=着回し編集/リール=コラボ告知/単発=カルチャー』という役割分担はその試行錯誤の到達点と考えられる。
業界内のタイミング
同業界比較では、ユナイテッドアローズやシップスが商品×モデルの店頭延長型に留まる中、BEAMSはスタッフを匿名モデルではなく『人格を持つ編集者』として前景化した点が早かった一方、リール本格活用は2022年前後とやや慎重で、TikTok本格参入は競合より遅れた可能性が高い。
現在に残る継続テーマ
現在も残る名残として、創業以来のカルチャー(音楽・アート・スポーツ)との接点重視、赤ロゴをアクセントに留める抑制された世界観、スタッフ=編集者という人格主義は一貫しており、Instagram運用全体を貫く通奏低音として機能していると言える。
アカウント情報
フォロワー
99.7万
平均いいね
5,200
平均コメント
30


