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オルビスは「#ここちを美しく」をコンセプトに掲げる化粧品ブランドの公式アカウント。bioに記載の通り、ハッシュタグ「#オルビス」付きUGCをストーリーズで紹介する仕組みを構築し、フォロワーとの双方向コミュニケーションを設計している。DMを受け付けない明示により問い合わせ動線をコントロールしつつ、UGC活用に運用リソースを集中させる戦略が読み取れる。公式認証アカウントとして約11万フォロワーを抱え、投稿数1173件という蓄積から、長期的かつ計画的なコンテンツ運用が伺える。スキンケア・コスメ業種では商品単体の訴求に偏りがちだが、オルビスは「ここち(心地)」という感覚的価値を中心に据え、機能訴求ではなくライフスタイルやウェルビーイング文脈で差別化を図っている点が特徴。ユーザー投稿の二次活用により、ブランド側の発信負荷を下げながらリアルな使用シーンを蓄積する設計は、医療・健康/美容領域の参考事例として価値が高い。
医療・健康業界のフォロワー規模分布(業界平均: 4.4万)
ブランドカラーのオレンジを差し色に、白・ベージュ・くすみピンクを基調とした柔らかなパステル配色。商品写真は自然光を活かしたソフトフォーカスで、ガラス容器の透明感や乳液のテクスチャを丁寧に切り取る。明朝体と細めゴシックを混在させ、余白を大きく取った静謐なレイアウト。生活シーンに溶け込むライフスタイルカットとフラットレイを使い分け、機能訴求よりも『心地よさ』の情緒的可視化に振り切った編集設計が特徴。
ユーザーの日常使用シーンを切り取ったUGCリポスト
「ここち」を体現するライフスタイル提案型ビジュアル
新商品・季節提案を世界観に溶け込ませた商品紹介
コンテンツの軸は『#ここちを美しく』というブランドコンセプトを起点に、商品単体訴求ではなく『使う瞬間の心地』『朝晩のリチュアル』を描く生活文脈型の投稿設計。フォーマットは新商品のティザーカルーセル、UGCリポスト(ストーリーズ中心)、季節テーマの肌悩みQ&Aリール、ブランドフィロソフィーを語る長文キャプション投稿の4軸で構成される。1173投稿の蓄積は単発キャンペーンではなく編集カレンダー型の計画運用を示唆。
競合の資生堂・SK-II・無印良品コスメと比較した差別化は『感覚的価値の言語化』に尽きる。資生堂が技術・科学性、SK-Iiがプレステージ、無印が機能ミニマリズムで戦う中、オルビスは『ここち』という曖昧で個人的な感覚を中心軸に据え、機能比較戦争から離脱している。これによりレビュー比較サイトでの数値競争を回避し、ブランド世界観でのロイヤリティ獲得に振り切れている。
エンゲージメント設計はDMを意図的に閉じることでストーリーズUGC紹介に動線を一本化し、ハッシュタグ『#オルビス』を投稿促進装置として機能させる。カルーセルでは1枚目に詩的コピー、2〜3枚目で世界観、最終枚で商品情報という『感情→理解→行動』の導線を徹底。リールは肌悩みのHow-toではなくテクスチャ・使用感ASMR的演出が中心で、保存数より滞在時間最適化型。
化粧品業界の構造課題である『機能訴求のコモディティ化』『成分マーケの過熱』に対し、機能語彙を意図的に削ぎ落とし情緒語彙で再武装する逆張りで対応。広告化したInstagramフィードへの疲弊に応える『静かな広告』として機能している。
代理店が学ぶべき示唆は3点。第一に、運用KPIを『リーチ・保存』から『世界観の一貫性』に置き換える勇気。第二に、UGC運用で『募集する』のではなく『勝手に投稿される設計』をbioとハッシュタグで仕掛ける構造。第三に、DMを閉じるなど『やらないこと』を明文化して運用リソースを集中させる引き算の設計思想。クライアントワークでは『追加施策』を提案しがちだが、本事例は『削ぎ落とし』こそがブランド資産化につながることを示している。
ハッシュタグ「#オルビス」によるUGC収集とストーリーズ紹介の循環設計
「#ここちを美しく」という感覚的価値を軸にした一貫したブランドメッセージ
DM不可を明示し問い合わせ動線を整理、運用リソースを発信に集中
オルビス公式Instagramの運用遍歴は、化粧品ブランドの歴史的転換と並走してきたと推測される。
開設は2014〜2015年頃と推定され、初期は親会社ポーラ・オルビスHDが展開する『通販ブランド』としての商品カタログ的投稿が中心だったと考えられる。第二フェーズは2018年の大規模ブランドリニューアル『SMART AGING』路線終焉と『ORBIS U』再構築期に重なり、商品ビジュアルが白基調のスタジオ撮影へ刷新。第三フェーズが現在の『#ここちを美しく』期で、2020年前後のコロナ禍によるウェルビーイング文脈の台頭を受け、機能訴求から情緒訴求へ完全に舵を切ったと推測される。
過去には新商品発売連動の単発キャンペーン、インフルエンサータイアップ、ビフォーアフター比較型のスキンケア訴求も試行した可能性が高いが、現在はそれらをほぼ排除し、UGCリポストと世界観カルーセルに収斂。リール導入期にはHow-to系も試した形跡が推測されるが、現在はテクスチャASMR型へ移行した点が編集判断の進化を示す。
同業界比較では、UGCハッシュタグ運用の本格化は資生堂・SK-IIより早く、D2C的な顧客参加設計を国内大手化粧品ブランドの中で先行導入したと評価できる。一方、リール本格活用やショート動画はロレアル系・韓国コスメ勢に遅れ、慎重な後発参入だった可能性が高い。インフルエンサー大量起用の波には乗らず、敢えて距離を置いた点も特筆される。
現在の運用に残る名残として、創業以来の『無香料・無着色・オイルカット』というプロダクト哲学が、ビジュアルの『静謐さ・透明感』に翻訳されて継承されている。また通販ブランドDNAである『顧客との直接対話』思想が、DMを閉じつつUGC紹介で双方向性を担保する独自設計に昇華。『#オルビス』ハッシュタグの長期運用も初期からの継続テーマであり、約10年分のUGC資産が現在のリポスト原資になっていると推測される。
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