日本政府観光局(JNTO / Visit Japan)のInstagram運用を分析|伸びている理由と、真似できるポイント【2026年版】
2026/9/13
「うちも公式SNSを頑張っているのに、なかなか世界観が定まらない」「投稿のネタが尽きてしまい、気づけば告知ばかりになっている」——自治体や観光関連の広報担当者から、こうした悩みをよく耳にします。予算も人員も限られる中で、フォロワーに「また見たい」と思ってもらえるアカウントを作るのは簡単ではありません。
そんなときに参考になるのが、日本政府観光局(JNTO)が運営するInstagram公式アカウント「visitjapanjp」です。国という巨大で多様なテーマを、いかに一貫した世界観と共感される投稿に落とし込んでいるのか。本記事では公開情報をもとに、その運用の型を分解し、企業や店舗、自治体アカウントでも応用できるポイントに整理します。確証のないフォロワー数やエンゲージメント率などの数値は扱わず、公式サイトや公的統計など裏付けのある情報のみを根拠とします。
JNTO(日本政府観光局)のInstagram運用とは
日本政府観光局は、訪日旅行の需要喚起を目的に、2017年10月2日にInstagramのグローバル公式アカウント「Visit Japan International」(ユーザーネーム:visitjapanjp)を開設しました。JNTO本部のデジタルマーケティング室が、Instagramに加えてFacebook・YouTube・TripAdvisorの各グローバルアカウント、公式アプリ「Japan Official Travel App」、英語版のグローバルWebサイトを一体で運用しており、SNSは単独の施策ではなく、認知から興味喚起、情報収集、来訪検討までの「トラベルライフサイクル」全体を支えるチャネルの一つと位置づけられています(出典:日本政府観光局公式サイト「日本政府観光局(JNTO)」インバウンドノウハウページ)。
このアカウントの目的は明快です。クオリティの高い写真を通じて日本各地の魅力を発信し、日本への興味・関心を高めながら、ユーザーの検討段階に応じた情報を届けること。単発のバズを狙うのではなく、中長期での訪日意欲の醸成を狙った、いわば「認知から検討までを支えるメディア」として設計されている点が、一般的な企業アカウントとの大きな違いです。

伸びている理由① UGCを軸にした投稿設計で「制作コスト」と「信頼性」を両立
visitjapanjpの投稿の型で特徴的なのが、ユーザー生成コンテンツ(UGC)を軸にした運用です。Instagramに投稿された写真の中から、ハッシュタグ「#visitjapanjp」が付き、撮影場所がコメント欄に記載されている投稿を対象に、毎日1枚を厳選して紹介するという仕組みを採用しています(出典:日本政府観光局公式サイト)。
この方式には複数のメリットがあります。
- 自前で撮影・制作するコストをかけずに、日本各地の多様な風景を高頻度で発信できる
- 投稿者自身の「生の視点」が入るため、広告然とした表現になりにくく、フォロワーの共感を得やすい
- ハッシュタグに投稿が集まること自体が、アカウントとユーザーの接点(エンゲージメント施策)になる
- 撮影地の明記をルール化することで、情報発信としての正確性・信頼性を担保できる
さらにJNTOは、この考え方を自分たちのアカウント運用にとどめず、地域の観光協会や自治体向けに『効果的な情報発信を行うためのInstagram運用ガイドライン』を策定・公開し、UGCの集め方や活用法をノウハウとして共有しています(出典:日本政府観光局公式サイト「インバウンドノウハウ」JNTOデジタルマーケティング連載)。全国のアカウントの発信力を底上げしようという姿勢が、結果としてJNTO自身のアカウントの投稿の厚みにもつながっている構図です。
伸びている理由② 一貫した世界観づくりとビジュアルの統一感
UGCを活用しながらも、フィード全体を眺めたときに「バラバラな寄せ集め」に見えないことが、このアカウントのもう一つの強みです。選定基準を明確に持ち、写真のクオリティを一定水準以上に保つことで、投稿者が異なっていても「日本の美しい風景・文化」という一貫したテーマでフィードがまとまります。
これは企業・店舗アカウントにもそのまま応用できる考え方です。投稿者やネタ元が複数あっても、次の3点さえ統一しておけば世界観は崩れません。
- 色味・トーン(明るさ、彩度、余白の取り方)
- 構図の傾向(引きの風景か、寄りのディテールか)
- キャプションの文体(誰が読んでも「同じアカウントの言葉」だとわかる語り口)
「何を載せるか」だけでなく「どう統一するか」を先に決めておくことが、フォロー動機になる世界観づくりの土台になります。
伸びている理由③ グローバル視点と多言語・複数チャネルの連動
visitjapanjpは英語表記のグローバルアカウントとして開設されており、Instagram単体ではなく、Facebook・YouTube・TripAdvisor・公式アプリ・Webサイトと役割分担しながら連動する設計になっています(出典:日本政府観光局公式サイト)。Instagramでは「興味喚起」、Webサイトでは「詳細情報の提供」、アプリでは「現地での活用」というように、チャネルごとの役割を分けているのが特徴です。
企業・店舗アカウントの場合も、「Instagramだけで完結させよう」とせず、公式サイトや予約導線とセットで設計することで、投稿を見た人が次に取るべき行動(来店・予約・問い合わせ)までを設計しやすくなります。
公共・自治体アカウントならではの制約と、その乗り越え方
自治体や公共機関のSNS運用には、企業アカウント以上に「事実に基づく正確な情報発信」「特定の事業者・地域への偏りを避ける公平性」といった制約が伴います。JNTOのアカウントは、UGCの選定基準を明文化し、撮影地の記載をルール化することで、この制約を「投稿の信頼性を担保する仕組み」に転換しています。
この発想は、行政・公共系アカウントの運用者にとって特に参考になります。
- 「載せてよい基準」を先に言語化しておくことで、担当者が変わっても投稿の一貫性を保てる
- 出典・撮影地・時期などの情報を明記する運用を徹底することで、誤情報のリスクを減らしつつ信頼を積み上げられる
- 地域単位ではなく「テーマ単位」(四季、食文化、伝統工芸など)で発信軸を持つと、特定地域への偏りを避けながら幅広いコンテンツを扱える
統計データで見る、いま観光・地域SNS発信に力を入れるべき理由
なぜJNTOのような組織が、写真1枚の選定基準まで丁寧に設計してビジュアルSNSに投資しているのか。背景には、訪日旅行市場の伸びと、情報収集チャネルとしてのSNSの重要性の高まりがあります。
まず、JNTO自身が発表した統計を見ると、2024年の年間訪日外客数(推計値)は3,686万9,900人となり、これまで過去最高だった2019年の3,188万2,049人を約500万人上回り、比較可能な統計開始以来の過去最高を更新しました(出典:日本政府観光局「訪日外客数(2024年12月および年間推計値)」報道発表資料)。訪日需要そのものが拡大局面にある中で、旅行検討段階の生活者に届く情報発信の重要性は増しています。
一方、国内の生活者側のSNS利用状況を見ると、総務省「令和6年版 情報通信白書」(令和6年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書)では、Instagramは全年代の利用率でLINE・YouTubeに次ぐ水準にあり、特に10代・20代では利用率が高く、年代が上がるにつれて利用率が下がる傾向が示されています(出典:総務省「令和6年版 情報通信白書」)。ビジュアル中心の情報発信が、若年層を含む幅広い層への接点として機能しやすい環境にあることがうかがえます。
主要な出典を整理すると、次のとおりです。
| 出典 | 概要 | 運用上の示唆 |
|---|---|---|
| 日本政府観光局公式サイト(インバウンドノウハウ) | visitjapanjpは2017年10月開設。UGCを毎日1枚選定し、撮影地記載をルール化 | 「基準の言語化」がアカウントの一貫性と信頼性を支える |
| 日本政府観光局 報道発表資料(2025年1月15日) | 2024年の訪日外客数(推計値)3,686万9,900人で過去最高、2019年比約500万人増 | 市場拡大局面ではビジュアル発信による興味喚起の重要性が増す |
| 総務省「令和6年版 情報通信白書」 | Instagramの利用率はLINE・YouTubeに次ぐ水準。10〜20代で特に高い | 若年層への接点としてビジュアルSNSの優先度は高い |
明日から試せる実践チェックリスト
JNTOの事例を、自社・自店舗のアカウントに落とし込むための具体的な手順です。
- フィード全体を見返し、色味・構図・キャプションの文体に一貫性があるか確認する
- 自社ハッシュタグを1つ決め、プロフィール欄と投稿キャプションの両方に明記する
- お客様・来店者の投稿からUGCとして紹介してよい基準(内容・画質・許諾の取り方)を1枚のメモにまとめる
- 投稿には「いつ・どこで」の情報を可能な範囲で添え、正確性を担保する
- Instagramだけで完結させず、公式サイトや予約・問い合わせ導線への接続を投稿ごとに意識する
- 担当者交代を想定し、「載せてよい投稿・避けるべき表現」を簡単なガイドラインとして文書化する
- 月に一度、直近の投稿を並べて見返し、テーマが偏っていないか・世界観が崩れていないかをチェックする
いずれも、専任チームや大きな予算がなくても着手できる項目です。特に「基準を言語化してメモに残す」ことは、担当者が一人であっても、変わっても効果が続く仕組みづくりの第一歩になります。
まとめ
日本政府観光局(JNTO)のInstagramアカウント「visitjapanjp」は、UGCを軸にした投稿設計、一貫した世界観づくり、複数チャネルとの役割分担、そして公共機関ならではの正確性への配慮を組み合わせることで、無理のない運用体制でも発信力を保っています。訪日外客数の増加やInstagramの高い利用率といった公開データが示すとおり、ビジュアル中心の情報発信への投資価値は今後も続くと考えられます。フォロワー数や再生数の大小にとらわれず、「基準を決める」「一貫性を保つ」「他チャネルと連動させる」という型そのものを、自社・自店舗のアカウントに取り入れてみてください。
より具体的な業種別の運用事例を知りたい方は、unyouのSNS運用事例データベース(/cases)もあわせてご覧ください。自治体・観光・公共分野を含む、実際のアカウント分析を多数掲載しています。
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引用した統計・事実(JNTO公式サイトの運用情報、JNTO報道発表の訪日外客数、総務省「情報通信白書」のSNS利用率)はWeb検索で裏付けを確認済みで、フォロワー数・エンゲージメント率などの未確証数値は含めていません。ファイルとして保存したい場合は教えてください。
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