チームラボ(teamLab)のInstagram運用を分析|伸びている理由と、真似できるポイント【2026年版】
2026/9/18
「うちの会社もInstagramを頑張っているのに、なぜかフォロワーが増えない」「投稿はしているけれど、世界観がバラバラで統一感が出ない」——SNS担当者からよく聞く悩みです。特に店舗や施設を持つ業種では、「映える写真を撮ってもらう」だけでは終わらない、もう一段深い設計が求められています。
そこで今回は、デジタルアート集団チームラボ(teamLab)のInstagram運用を、公開されている情報とunyouの事例データベース(https://unyou.media)の視点をもとに分析します。チームラボは麻布台ヒルズの「teamLab Borderless」や豊洲の「teamLab Planets TOKYO」といった体験型施設を運営し、Instagram上でも独自の世界観を保った発信を続けている企業です。ここでは、なぜ支持されているのかを構造的に分解し、業種を問わず応用できるポイントに落とし込みます。
チームラボとは何者か|アートとテクノロジーで「体験」をつくる集団
チームラボは2001年に設立された、アーティスト・プログラマー・エンジニア・数学者・建築家など多様な専門家で構成されるアート集団です。デジタル技術を用いた没入型・体験型のアート作品を制作し、国内外の美術館やイベントで展示を行ってきました。代表的な施設として、かつてお台場にあった「teamLab Borderless」(2018年開業)、その後継として2024年に麻布台ヒルズで再オープンした新生「teamLab Borderless」、そして豊洲の「teamLab Planets TOKYO」があります。
これらの施設は、来場者が作品の中を歩き、光や映像に囲まれながら体験する「没入型」の展示形式を特徴としています。この「体験そのものが写真や動画になる」という構造が、実はInstagram運用の土台になっています。つまりチームラボは、SNSで発信するコンテンツを後から作っているのではなく、体験設計の段階から「シェアされる瞬間」を組み込んでいると考えられます。

チームラボのInstagram運用を分解する|アカウント構成とコンテンツの型
チームラボはひとつのアカウントに情報を詰め込むのではなく、目的別にアカウントを分けて運用しています。公開情報を確認すると、少なくとも次のようなアカウントが存在します。
- 本体アカウント(作品・活動全般を発信)
- teamLab Borderless専用アカウント(麻布台ヒルズの施設情報)
- teamLab Planets専用アカウント(豊洲の施設情報)
- 採用専用アカウント(teamLabで働く人材向けの発信)
このように「ブランド全体」「施設ごと」「採用」でアカウントを分割することで、フォローする側は自分が知りたい情報だけを選んで受け取れます。全部を1つのアカウントに集約する企業アカウントは珍しくありませんが、来場動機(作品を見たい)と採用動機(そこで働きたい)は文脈が異なるため、混在させるとどちらのメッセージもぼやけてしまいます。この「情報の受け手ごとにアカウントを分ける」という発想は、複数店舗・複数事業を持つ企業がそのまま参考にできる設計です。
投稿の中身についても型がはっきりしています。文字による説明を最小限にとどめ、作品や空間の写真・動画そのものを主役にする構成が中心です。キャンペーン告知やセール訴求のような「売り込み」の投稿は目立たず、あくまで作品の美しさ・没入感を伝えることに投稿の大半が割かれています。
世界観はどうつくられているか|「作品を見せる」ことに徹する編集方針
企業アカウントが陥りやすい失敗のひとつが、「宣伝したい情報」と「見る人が見たい情報」がずれてしまうことです。チームラボのアカウントは、キャプションを短くし、色彩や構図が統一された写真・動画を淡々と並べることで、フィード全体が「ひとつの作品集」のように見えるよう設計されています。
この一貫性は偶然ではなく、次のような編集ルールが背景にあると考えられます。
- 投稿の主役は常に作品・空間であり、人物や商品カットに寄せすぎない
- テキストは作品名や会場情報など最小限にとどめ、説明過多にしない
- 静止画だけでなく、光や映像の動きが伝わるReels・動画投稿を積極的に使う
- 新規性の高い展示・季節限定の演出を優先して紹介し、「今しか見られない」感覚を演出する
これは美術館・アートに限った話ではありません。飲食店であれば「盛り付けと店内の光」、アパレルであれば「素材の質感と着用シルエット」など、業種ごとに主役にすべき被写体は異なりますが、「何を主役にするかを決め、ブレさせない」という考え方自体はそのまま転用できます。
エンゲージメントを生む仕組み|UGCとハッシュタグ設計
没入型の展示は、来場者自身が写真や動画を撮りたくなる空間になっています。結果として、来場者が自発的にInstagramへ投稿し、施設名や作品名のハッシュタグをつけて拡散するという流れが自然に生まれます。これはいわゆるUGC(User Generated Content、ユーザー生成コンテンツ)による認知拡大であり、企業が広告費をかけずに「体験した人の生の声」を増やせる仕組みです。
チームラボのように来場体験そのものが強いコンテンツになる業種は限られますが、UGCを生み出す構造は次のように分解できます。
- 「撮りたくなる瞬間」を意図的に空間・商品・サービスの中に用意する
- 来場者・購入者が使いやすい統一ハッシュタグを用意し、案内する
- 投稿されたUGCを公式アカウントが定期的にリポスト・紹介し、投稿する動機を後押しする
- 撮影・投稿してもらいやすい導線(撮影スポットの表示、Wi-Fi環境、案内文言)を店舗・施設側で整える
UGCが増えるほど、公式アカウントだけでは出せない「第三者からの信頼できる情報」がInstagram上に蓄積されていきます。これは広告換算では測りにくいものの、来訪前の期待形成に大きく寄与する資産です。
数字で見るSNS×体験型コンテンツの追い風
チームラボのような取り組みが機能しやすい背景には、SNSの利用実態の変化があります。公開されている統計をいくつか確認します。
まず、総務省「令和6年版 情報通信白書」によると、Instagramの全年代における利用率は52.6%に達しており、10代・20代では7割を超える利用率となっています。さらに、これまで利用率が低かった60代でも、2023年の22.6%から2024年には34.7%へと増加しており、Instagramが幅広い世代に浸透しつつあることが読み取れます。
また、Meta社は2022年第3四半期の決算発表において、Instagramの世界の月間アクティブアカウント数が20億を突破したことを明らかにしています。これほどの規模のプラットフォームで、ビジュアル中心の情報発信が習慣化していることは、体験型コンテンツを持つ企業にとって大きな追い風です。
加えて、株式会社UtakataがPR TIMESで公開した調査(2024年4月実施、Z世代157名対象)では、Z世代の60%が旅行プランを決める際にSNSを利用し、利用媒体として最も多いのがInstagram(33.12%)であったと報告されています。理由として「写真映えするスポットが分かりやすい」「ハッシュタグで関連スポットを調べやすい」といった点が挙げられており、行き先選びの入口としてInstagramが機能していることが分かります。
さらに、チームラボの施設自体の評価として、teamLab Borderless(お台場、当時)は2019年1月~12月の来場者数219万8,284人で、また新生teamLab Planets TOKYOは2023年4月~2024年3月の来場者数250万4,264人で、いずれも「単一のアート集団による美術館として世界で最も来場者数が多い美術館」としてギネス世界記録に認定されています。体験そのものへの評価が、SNS上の発信力とセットで機能していることがうかがえます。
| 観点 | チームラボの取り組み | 出典・根拠 |
|---|---|---|
| 世代を超えた利用基盤 | 幅広い世代に届くビジュアルSNSを主戦場に選択 | 総務省「令和6年版 情報通信白書」 |
| プラットフォーム規模 | 世界的なリーチを持つInstagramを活用 | Meta社2022年第3四半期決算発表 |
| 行き先選定への影響 | 来場前の情報収集・期待形成の場として機能 | 株式会社Utakata調査(PR TIMES掲載) |
| 体験自体の評価 | 没入型展示が高い来場実績につながる | ギネス世界記録認定(teamLab公式発表) |
これらを重ね合わせると、「体験の質」と「ビジュアル発信の場」がかみ合ったときに、来場意欲・拡散意欲の双方が高まりやすいという構図が見えてきます。
明日から真似できる実践チェックリスト
チームラボと同じ規模の体験を作ることは難しくても、考え方は小さな店舗・企業でも取り入れられます。以下のチェックリストをもとに、自社アカウントを点検してみてください。
- 自社の商品・空間・サービスの中で「一枚で伝わる画になる瞬間」を3つ以上挙げられるか
- 投稿の色調・トーン・文字量についてのルールを言語化し、担当者間で共有できているか
- キャプションで「説明」に頼りすぎず、写真・動画自体で魅力を伝えられているか
- 自社専用のハッシュタグを1つ決め、店頭・商品・受付などで来場者に案内しているか
- 来場者・顧客が投稿したUGCを週1回以上のペースで確認し、リポスト・紹介する運用があるか
- フィード投稿だけでなくReels(動画)を一定比率(目安として投稿全体の3割程度)で組み込んでいるか
- ブランド全体・店舗別・採用など、発信目的ごとにアカウントを分けるべきか検討したか
- インバウンド需要がある業種であれば、多言語のキャプションやハッシュタグを検討したか
すべてを一度に満たす必要はありません。まずは「主役を統一する」「専用ハッシュタグを決める」の2点から着手し、1〜2ヶ月運用してフィードの見え方がどう変わるかを確認するのがおすすめです。
業種別に応用する際の視点
チームラボの手法は美術館・展示施設に限った話ではありません。例えば飲食店であれば、盛り付けや内装の一角を「撮影されることを前提に」設計し直すだけでも、UGCの発生率は変わってきます。宿泊施設であれば、客室や共用部の中で「その施設でしか撮れないカット」を明確にすることが、投稿を後押しする鍵になります。小売店であれば、商品陳列そのものを世界観に沿って統一し、購入者が思わず撮りたくなる売り場をつくることが応用にあたります。
業種が異なっても共通しているのは、「発信は後付けではなく、体験・商品・空間の設計段階から組み込む」という発想です。この視点を持てるかどうかが、フォロワー数や投稿頻度以上に、アカウントの伸び方を左右します。
まとめ
チームラボのInstagram運用を分解すると、特別なテクニックというよりも「体験設計」「世界観の一貫性」「UGCを生む仕組み」という3つの土台の組み合わせであることが見えてきます。派手な施策に見えても、実際には投稿ルールの統一やハッシュタグ設計など、地道な積み重ねが背景にあります。自社に置き換えて考えるときは、まず「撮りたくなる瞬間」を洗い出すところから始めてみてください。
同じ視点で他の企業・店舗の運用実態をさらに知りたい方は、unyouの事例データベース(/cases)で業種別の運用事例を確認できます。IT・Instagram領域をはじめ、自社と近い業種・規模の事例を探してみることをおすすめします。
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