RIZIN FIGHTING FEDERATION(ライジン)のInstagram運用を分析|伸びている理由と、真似できるポイント【2026年版】
2026/9/18
「バズる投稿」と「バズらない投稿」の差が、なぜ生まれるのか分からない。毎週投稿しているのに保存数もコメントも増えない。SNS担当者からそんな相談を受けることは少なくありません。特にスポーツ・エンタメ系のアカウントは、有名選手やタレントに依存しがちで、「うちには目立つ人がいないから伸びない」と諦めてしまうケースが多いのが実情です。
しかし、投稿を細かく見ていくと、フォロワーの多いアカウントには「偶然」ではなく「設計」があります。今回は総合格闘技イベント「RIZIN(ライジン)」を主催するRIZIN FIGHTING FEDERATIONのInstagram運用を、公開情報とWeb上の一次情報をもとに分解し、業種を問わず応用できるポイントに落とし込みます。格闘技に詳しくない読者でも、自社・自店のアカウント運用にそのまま持ち込める形で解説します。
RIZIN FIGHTING FEDERATIONとは — SNS上でどう見えているか
RIZINは総合格闘技・キックボクシングの大会を主催する日本の団体で、公式サイトでは「現場スタッフからの最新情報も盛りだくさん!」と案内し、Instagramの運用を開始したことを発表しています。特徴的なのは、単一の公式アカウントだけで運用していない点です。イベント情報を発信する公式アカウント(@rizin_PR)に加えて、現場スタッフ目線の裏側情報を届ける「RIZIN STAFF」アカウント、大会を彩るRIZINガールの専用アカウント、大会当日の実況・生配信に近い情報を届ける「RIZIN LIVE OFFICIAL」など、目的別にアカウントを分けて運用しているのが分かります。
これは、フォロワーが求める情報の「粒度」がそれぞれ異なるからです。試合結果や告知だけを見たい人と、選手の人間味や現場の空気感を見たい人は、必ずしも同じ人ではありません。1つのアカウントに全部を詰め込むと、どの投稿も薄く広くなり、結果的に誰の心にも深く刺さらなくなります。

なぜライジンのInstagramは支持されているのか
分析すると、大きく3つの理由が浮かび上がります。
1つ目は「現場の熱量をリアルタイムに近い形で見せている」こと。 格闘技の魅力は結果だけでなく、計量や記者会見、控室でのやり取りといった「試合が始まる前の緊張感」にあります。RIZINは公式サイトの案内でも「現場スタッフからの最新情報」を明言しており、結果速報だけでなく過程を見せる設計になっています。
2つ目は「経営トップ自身が発信者として顔を出している」こと。 RIZIN実行委員長の榊原信行氏は、自身のSNSで大会の状況や経営に関する率直な発信を行ってきた人物として知られています。報道によれば、コロナ禍で大会が中止に追い込まれ大きな損失が出た際にも、自らの言葉で状況を説明したことが報じられています。トップ自らが「人間の顔」を見せることで、ファンは単なる「興行の告知」ではなく「応援したい対象」としてブランドを見るようになります。
3つ目は「海外展開を前提にした発信設計」になっていること。 RIZINは海外の格闘技団体Bellatorと複数回にわたり対抗戦(RIZIN vs. Bellator 5対5全面対抗戦など)を実施し、「全世界向けに」大会を発表してきました。国内ファンだけでなく海外ファンの存在を意識した情報設計は、ハッシュタグや告知文の作り方にも影響を与えていると考えられます。
投稿の「型」を分解する — コンテンツフォーマットの整理
RIZINの複数アカウント運用から見えてくる投稿フォーマットを整理すると、以下のように分類できます。自社・自店のアカウントに当てはめる際も、この「型」ごとにカレンダーを組むと投稿の抜け漏れがなくなります。
| 投稿の型 | 目的 | 担当アカウントの例 | 応用できる業種 |
|---|---|---|---|
| 告知・結果速報 | 大会日程やカードの周知 | 公式アカウント | イベント全般、店舗の新商品告知 |
| 舞台裏・スタッフ目線 | 親近感・信頼感の醸成 | STAFFアカウント | 製造業、飲食店の厨房風景など |
| 出演者・関係者の魅力発信 | ファン化・グッズ購買動機 | RIZINガール等の専用アカウント | アパレル、美容、キャスト起用業種 |
| 当日速報・生の熱量 | 当事者意識・実況感の共有 | LIVEアカウント | セミナー、展示会、季節イベント |
| トップの肉声発信 | 信頼構築・危機時の説明責任 | 経営層個人のSNS | 中小企業全般 |
この表からも分かる通り、ライジンは「誰に何を届けるか」に応じてアカウントの役割を明確に分けています。1つのアカウントで無理にすべてをカバーしようとするよりも、目的別に投稿の型を決め、それを毎週のフォーマットとして固定する方が、担当者の負荷も下がり、フォロワーにとっても「このアカウントは何が見られる場所か」が明確になります。
世界観のつくり方 — 「熱」をどう可視化するか
格闘技イベントのInstagram運用で難しいのは、静止画だけでは「熱量」が伝わりにくいという点です。RIZINはリール(縦型短尺動画)やライブに近い速報性のあるコンテンツを組み合わせることで、これを補っています。総務省の調査でも動画コンテンツの視聴時間は伸び続けており、短尺の縦型動画は特に若年層への訴求力が強いことが分かっています。
これはスポーツ・エンタメに限った話ではありません。飲食店であれば「調理の手元」、製造業であれば「製品が完成する瞬間」、士業であれば「相談前後の空気感」など、写真だけでは伝わらない“プロセスの熱”を短尺動画で見せることが、世界観づくりの第一歩になります。
エンゲージメントを生む施策 — フォロワーとの接点をどう増やすか
RIZINの運用から抽出できるエンゲージメント施策は、次の3点に整理できます。
- 裏側の可視化:STAFFアカウントのように、表舞台に出ない人の視点を発信することで、フォロワーは「知っている人」を応援する感覚を持てる。
- トップ自らの発信:榊原氏のように経営者・責任者が自分の言葉で状況を語ることで、企業やブランドの発信が「作られた広報」ではなく「人からの言葉」として受け取られる。
- 当事者性のある実況:LIVEアカウントのように、今まさに起きていることを伝える投稿は、保存よりも「今見なければ」という即時的な反応(コメント・シェア)を誘発しやすい。
これらは大企業だけの特権ではありません。店舗や中小企業でも、経営者や店長が定期的に自分の言葉で発信する、開店前や仕込み中の様子を見せる、イベント当日はストーリーズで実況する、といった形で同じ構造を再現できます。
海外展開を見据えた発信設計 — Bellatorとの対抗戦から学ぶこと
RIZINはBellatorとの対抗戦を「全世界向けに」発表するなど、国内市場だけを前提にしない発信を続けてきました。海外ファンの存在を前提にすると、告知文の英語表記、ハッシュタグの選び方、投稿する時間帯(タイムゾーン)まで設計が変わってきます。
越境ECやインバウンド需要を意識する企業・店舗にとっても、この視点は重要です。国内向けの投稿だけで満足せず、「海外から見たときにこの投稿はどう見えるか」を一度検証してみることは、フォロワー層を広げる上で有効な視点になります。
明日から試せる実践チェックリスト
ここまでの分析を、実際に自社・自店のアカウントで試せる手順に落とし込みます。
- アカウントの目的を1文で書き出す:「告知用」「ファン化用」「実況用」のどれを主目的にするか、担当者間で明文化する。
- 投稿の型を5種類に固定する:告知・舞台裏・人物紹介・当日速報・トップの発信、のように型を決め、月間カレンダーに割り当てる。
- 1つは必ず"顔が見える"投稿にする:経営者・店長・担当者のいずれかが週1回は自分の言葉で発信する枠を作る。
- 短尺動画を1本は用意する:静止画だけの週を減らし、リールで「プロセス」を1本以上見せる。
- 投稿後24時間はコメント・DMに必ず反応する:エンゲージメントは投稿直後の反応速度に強く影響される。
- 月末に「型」ごとの反応を振り返る:どの型が保存・コメントを集めたかを記録し、翌月の配分を調整する。
いきなり全部を実行する必要はありません。まずは1と2だけでも着手すると、投稿の質と一貫性が明らかに変わります。
データで見る、なぜ今Instagram運用が重要なのか
感覚論ではなく、公開されている統計からも重要性を確認しておきます。
総務省の「令和6年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」(令和6年版情報通信白書に反映)によれば、Instagramの利用率は全年代で52.6%に達し、10代〜30代では70%を超えています。若年層〜中核の顧客層にリーチする上で、Instagramはもはや無視できないチャネルです。
また、Meta(旧Facebook Japan)が公表したInstagramの国内月間アクティブユーザー数は6,600万人とされており、多くのSNSマーケティング関連メディアで現在も引用され続けている規模感です。国内人口の過半に近いユーザーが利用しているプラットフォームである以上、業種を問わずアカウント運用の巧拙が集客・ブランディングに直結します。
さらに、PR TIMESに掲載された株式会社FinTの調査リリース「縦型動画に関する調査」では、若年層を対象にした調査の結果、縦型動画を見て購買行動につながった分野として女性は美容・コスメ、男性は芸能・エンタメが1位に挙げられています。縦型の短尺動画が「見る」だけでなく「行動を後押しする」フォーマットになっていることは、RIZINのような速報性・熱量重視のアカウントにとっても、他業種にとっても無視できないデータです。
まとめ
RIZIN FIGHTING FEDERATIONのInstagram運用を分解すると、特別な裏技があるわけではなく、「アカウントの目的を分ける」「舞台裏を見せる」「トップが自分の言葉で語る」「海外の目を意識する」という、地道な設計の積み重ねが土台になっていることが分かります。これらはいずれも、フォロワー数や予算の大小にかかわらず、今日から着手できる要素です。
まずは自社・自店のアカウントの「投稿の型」を書き出し、どの型が抜けているかを確認するところから始めてみてください。同業種・異業種の運用事例をさらに知りたい場合は、unyouの事例データベース(/cases)でスポーツ・エンタメ系をはじめ多数の実例を比較しながら参考にすることができます。
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