楽天市場(Rakuten Ichiba)のInstagram運用を分析|伸びている理由と、真似できるポイント【2026年版】
2026/9/26
「Instagramを頑張っているのに、フォロワーが増えない」「投稿を続けているのに、なぜかエンゲージメントが伸びない」——EC・通販業界でSNS運用を担当していると、こうした壁に何度もぶつかるのではないでしょうか。特にInstagramは他媒体に比べて世界観の作り込みが重視されるため、「何を投稿すればいいのか」「どんなトーンで発信すれば自社らしさが伝わるのか」が定まらないまま、更新だけが目的化してしまうケースも少なくありません。
そこで今回は、日本最大級のECモール「楽天市場」の公式Instagramアカウントの運用を、公開されている情報をもとに分析します。楽天市場のような大規模ECサイトの運用をそのまま真似ることは難しくても、「なぜその投稿が支持されるのか」という構造を理解すれば、企業規模や業種に関わらず応用できるポイントが見えてきます。本記事では、投稿の型・世界観のつくり方・エンゲージメント施策を分解し、明日から自社アカウントに取り入れられる具体策として整理していきます。
楽天市場のInstagram運用の全体像
楽天市場の公式Instagramアカウント(@rakuten_official)は、モール全体としての商品情報発信に加えて、ユーザーが投稿したコーディネートやライフスタイル写真を紹介する「#楽天お買い物部」というハッシュタグを軸にした運用を行っているのが大きな特徴です。ファッションアイテムやキッズ・親子コーデといった、実際に商品を購入したユーザーの投稿を集約し、フィードやストーリーズで再紹介するスタイルを取っています。
これは、企業側が一方的に商品写真を並べる「広告然とした」運用ではなく、実際の利用者の声や着用シーンを主役に据える運用方針だと読み取れます。ECモールという性質上、扱う商品点数が膨大であるため、すべてを自社で撮影・企画するのではなく、ユーザーが生み出すコンテンツ(UGC:User Generated Content)を活用する仕組みを構築している点が、他の中小規模のECサイトにとっても参考になる部分です。

なぜ楽天市場のInstagramは支持されているのか
支持される理由を分解すると、大きく3つの要素に整理できます。
1. 「自分ごと化」できる投稿設計
企業が用意したスタジオ撮影の商品写真だけでは、閲覧者は「きれいだけど自分には関係ない」と感じてしまいがちです。一方、実際のユーザーが投稿した部屋着姿や普段のコーディネートは、閲覧者にとって「自分でも真似できそう」というリアリティを持ちます。楽天市場はこの心理を踏まえ、UGCを軸にした投稿構成を取ることで、フォロワーとの心理的距離を縮めています。
2. ハッシュタグによる巻き込み設計
「#楽天お買い物部」のようなオリジナルハッシュタグは、単なる投稿の分類タグではなく、ユーザーが「参加したくなる」導線として機能します。ユーザーは自分の投稿が公式アカウントに紹介される可能性があることを知っているため、購入した商品を積極的に発信するモチベーションが生まれます。これはブランド側が広告費をかけずに、継続的なコンテンツ供給源を確保できる仕組みでもあります。
3. ECへの導線が自然に組み込まれている
楽天市場はECモールそのものなので、Instagramで気になった商品をそのまま楽天市場内で検索・購入できる動線が確立されています。プロフィールリンクやストーリーズのリンク機能、商品タグ機能などを組み合わせることで、「見て終わり」にならない設計がなされている点も見逃せません。
投稿の型を分解する
楽天市場のようなアカウントの投稿を分析すると、いくつかの型に整理できます。自社アカウントの投稿カレンダーを組む際の参考にしてください。
| 投稿の型 | 目的 | 想定される効果 |
|---|---|---|
| UGCリポスト型(ユーザー投稿の再紹介) | 信頼性・共感の獲得 | エンゲージメント・保存数の向上 |
| コーディネート・シーン提案型 | 使用イメージの具体化 | 購買意欲の醸成 |
| ハッシュタグキャンペーン告知型 | 参加者・投稿数の増加 | UGC創出のサイクル化 |
| セール・イベント告知型 | 短期的な送客 | サイト流入・売上への直接貢献 |
| ハウツー・活用術型 | 有益情報の提供 | 保存・シェアによるリーチ拡大 |
重要なのは、これらの型を単発で使うのではなく、「UGCを集める→紹介する→さらに投稿が増える」というサイクルを設計している点です。単発のキャンペーンで終わらせず、常設のハッシュタグとして運用し続けることで、コンテンツが自動的に蓄積されていく仕組みになっています。
世界観・トンマナのつくり方
Instagramで「らしさ」を作るには、投稿ごとのクオリティよりも、アカウント全体を貫く一貫性が重要です。楽天市場の運用から読み取れるポイントは以下の通りです。
- 主役を「商品」ではなく「使っている人」に置く:商品単体の画像よりも、生活シーンに溶け込んだ写真の方が保存・共感を得やすい傾向があります。
- 投稿トーンを企業の公式アカウントらしくしすぎない:硬すぎる文体やセールス色の強いキャプションは、フォローする動機を弱めます。
- カルーセル投稿やストーリーズを使い分ける:フィードには保存性の高い情報、ストーリーズには即時性の高い告知や投票機能などを使い分けることで、飽きられにくい構成にできます。
自社アカウントでこれを応用する場合、いきなり大規模なUGC施策を作る必要はありません。まずは「顧客の声」や「使用シーン」を紹介する投稿を月に数回混ぜるところから始めるだけでも、フィード全体の印象は大きく変わります。
エンゲージメントを生む仕組みと注意点
UGCを活用したハッシュタグキャンペーンは強力な施策ですが、実施にあたっては法規制への理解も欠かせません。消費者庁は2023年10月1日より、いわゆる「ステルスマーケティング」を景品表示法上の不当表示として規制対象に追加しました(消費者庁「令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。」)。企業がインフルエンサーやユーザーに商品を提供して投稿を依頼する場合、それが広告・宣伝であることが分かるように明示する必要があります。UGCを紹介・リポストする際も、「提供品であるか」「対価が発生しているか」を社内で整理し、必要に応じて投稿ガイドラインを用意しておくことが望ましいでしょう。
また、Instagramというプラットフォーム自体の重要性は年々高まっています。総務省「令和7年版 情報通信白書」によれば、2024年時点でInstagramの利用率は全年代で半数程度に達しており、若年層だけでなく50代でも4割以上が利用するなど、利用層の拡大が続いています。特定の年代だけに向けた運用ではなく、複数世代に届く前提でコンテンツ設計を行う必要性が、データからも裏付けられています。
なお、Instagramの日本国内における正確な現在の利用者数は、Meta(旧Facebook Japan)が2019年6月に「月間アクティブアカウント数3,300万突破(2019年3月時点)」と公式発表して以降、地域別の公式数値は更新されていません(Meta about.fb.com「Instagramの国内月間アクティブアカウント数が3300万を突破」)。SNS運用の企画時には、根拠のない推計値を鵜呑みにせず、公式発表済みのデータと直近の総務省統計を組み合わせて判断する姿勢が重要です。
明日から試せる実践チェックリスト
楽天市場の事例から抽出できるエッセンスを、自社アカウントで実践するためのチェックリストに落とし込みました。
- 自社商品・サービスに関連する、覚えやすい独自ハッシュタグを1つ決める
- 既存顧客に対して、ハッシュタグ投稿を促す一言(購入後メール・同梱物など)を用意する
- 投稿の3〜4割は「顧客の声」「使用シーン」に寄せた構成に切り替える
- UGCを紹介する際は、提供の有無・対価の有無を確認し、必要な表示を行う
- フィード投稿とストーリーズの役割を分け、告知はストーリーズ、資産化したい情報はフィードに集約する
- プロフィールリンクや商品タグなど、閲覧から購入・問い合わせへの導線を毎月見直す
- 月に一度、保存数・シェア数が高かった投稿を振り返り、型として再現できないか検討する
いきなりすべてを実施する必要はありません。まずはハッシュタグの設計と、UGCを紹介する投稿を月1〜2本から始めてみることをおすすめします。
自社アカウントに落とし込む際の考え方
楽天市場はモールという特殊な立場のため、扱える商品数・ユーザー数の規模が桁違いです。そのため「同じ規模のキャンペーンをやろう」と考えると再現性が低くなります。重要なのは規模ではなく、「ユーザーを主役にする」「参加したくなる仕組みを作る」「集めたコンテンツを循環させる」という構造そのものを、自社の規模に合わせて縮小コピーすることです。
例えば、月に数十件の注文しかない小規模なECサイトであっても、購入者にお願いしてハッシュタグ投稿をしてもらい、それを毎週1件フィードで紹介するだけで、同じ構造の運用を始めることができます。規模の大小に関わらず、「誰が主役の投稿なのか」「投稿を見た人が次に何をすればいいのか」を明確にすることが、Instagram運用の再現性を高める鍵になります。
まとめ
楽天市場のInstagram運用を分析すると、その支持の背景には「ユーザーを主役にしたUGC活用」「参加したくなるハッシュタグ設計」「ECへの自然な導線設計」という3つの構造があることが見えてきます。これらは大規模なECモールに限った話ではなく、企業規模や業種を問わず応用できる考え方です。
一方で、UGCやインフルエンサー活用を行う際は、2023年10月に施行されたステマ規制をはじめとする法規制への理解も欠かせません。総務省の統計が示す通り、Instagramの利用層は今後も拡大が見込まれるため、正しい知識と継続的な改善のサイクルを持って運用に取り組むことが、中長期的な成果につながっていくはずです。
自社の業種に近い運用事例をさらに知りたい方は、unyouの事例データベース(/cases)で、他社のSNS運用事例もあわせてチェックしてみてください。
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引用した統計・出典は、総務省「令和7年版 情報通信白書」、消費者庁「令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。」、Meta公式発表(about.fb.com、2019年6月)の3件です。フォロワー数やエンゲージメント率など確証のない数値は記載していません。
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