「投稿はしているのに、なぜかフォロワーが増えない」その悩み、珍しくありません
自社ブランドのInstagramを運用していると、こんな壁にぶつかることはないでしょうか。新商品の情報を発信しても反応が薄い。おしゃれな写真を並べているつもりなのに、保存やコメントが増えない。かといって、いきなりインフルエンサーを起用する予算もない——。とくに美容・化粧品ジャンルは競合アカウントが多く、他社との差別化が難しい領域です。
そんなときに参考になるのが、資生堂の看板ブランド「マキアージュ」の公式Instagram運用です。マキアージュは大手化粧品メーカーの公式アカウントでありながら、単なる商品カタログに終わらせず、現場のビューティーコンサルタント(BC)を巻き込んだユニークな発信体制を築いてきました。本記事では、公開情報をもとにマキアージュのInstagram運用を分解し、他業種・他ブランドでも応用できる具体的なポイントに落とし込んでいきます。フォロワー数やエンゲージメント率といった非公開・未確証の数値は扱わず、公表されている事実と統計データをベースに解説します。

マキアージュとInstagram運用の全体像
マキアージュは資生堂が展開する人気化粧品ブランドで、公式Instagramアカウント(@maquillage_jp)を通じて新商品情報やメイクアップ提案を発信しています。特筆すべきは、ブランド公式アカウント単体の発信にとどまらず、現場のビューティーコンサルタント(BC)を巻き込んだ「マキアージュ ビューティージャンクション」というプロジェクトを展開してきた点です。
資生堂のプレスリリース(PR TIMES掲載、2020年11月9日)によれば、「マキアージュ ビューティージャンクション」は全国120名以上の資生堂ビューティーコンサルタントがInstagramを通じてタイムリーに情報発信を行う、新様式のコミュニケーションスタイルのプロジェクトです。近畿エリアから先行展開したのち、全国へと拡大されました。BCそれぞれが顔立ちや個性を活かしながら、「今、知りたい情報」を発信する体制を構築している点が特徴です。
また、資生堂ジャパンはInstagramと雑誌広告を組み合わせたクロスメディア施策の効果検証も行っており(MarkeZine掲載事例)、単発のSNS施策ではなく、他のマーケティング施策と連動させた運用を志向していることがうかがえます。
なぜマキアージュのInstagram運用は支持されているのか
分析すると、マキアージュの運用には大きく3つの特徴があります。
1. 「一人の発信者」ではなく「多数の現場担当者」による発信
通常、ブランド公式アカウントは中の人が1〜数名で運用するケースが大半です。しかしマキアージュは、全国の店頭に立つBC120名以上がそれぞれ個性を活かして発信する体制を取っています。これにより、投稿の切り口やメイクの見せ方に多様性が生まれ、フォロワーは「自分に近いタイプの発信者」を見つけやすくなります。美容は「自分ごと化」できるかどうかが重要なジャンルであり、発信者を増やすことでこの自分ごと化のハードルを下げています。
2. 店頭という強力なリアル接点との連動
BCは日々店頭で顧客と接しているため、投稿内容が「今、店頭で聞かれる悩み」「今売れている商品」と直結しやすい構造になっています。SNS上の発信と店頭接客が地続きになっていることで、フォロワーが実店舗に足を運ぶ動線も自然に生まれます。
3. トレンド・季節性への追随
投稿例として、季節イベントと連動したテーマ設定や、トレンドメイク、ファッションとのコーディネート提案などが挙げられます。美容ジャンルは季節や年中行事(母の日、クリスマス、卒入学シーズンなど)とメイクの関連性が高く、タイムリーな話題に乗せることで発見される確率を高めています。
投稿の「型」を分解する
マキアージュ、および関連BCアカウントの投稿を見ていくと、次のような「型」に整理できます。
| 投稿の型 | 目的 | ポイント |
|---|---|---|
| Before/Afterメイク訴求 | 商品の効果を視覚的に伝える | 「変化」が一目でわかる構図にする |
| プロのメイクテクニック解説 | 専門性・信頼感の獲得 | BC=現場のプロという立場を活かす |
| トレンド・季節連動企画 | 発見性・タイムリー性の確保 | 検索・発見タブに乗りやすいキーワードを使う |
| 商品紹介・新作情報 | 購買検討の後押し | 質感や色味をリール・カルーセルで見せる |
| コメント返信・Q&A的投稿 | インタラクション創出 | フォロワーの悩みに直接答える双方向性 |
このように、単なる「商品紹介」だけでなく、「専門性の証明」「トレンド接続」「双方向コミュニケーション」をバランスよく組み合わせている点が、飽きられにくい運用のコツだと考えられます。
世界観のつくり方——ブランドの統一感と現場の個性のバランス
複数の発信者がいる体制では、ともすればアカウントごとに世界観がバラバラになりがちです。マキアージュの場合、以下のようなバランス設計がうかがえます。
- ブランドの核となるトーン&マナーは統一:ブランドカラーやロゴ、商品パッケージのビジュアルは公式アカウント・BCアカウント問わず共通の資産として活用
- 発信者ごとの個性は「メイクの見せ方」で差別化:顔立ちやパーソナリティに応じたメイク提案を許容し、画一的な「正解メイク」を押し付けない
- BCという「プロフェッショナル」の肩書きが信頼の土台:インフルエンサーのような人気ベースではなく、資格・現場経験に基づく専門性が軸になっている
この設計により、「ブランドとしての統一感」と「個々のアカウントの親近感」を両立させています。企業アカウントが陥りやすい「無機質になりすぎる」問題と、「バラバラで一貫性がない」問題の両方を回避する参考モデルといえます。
エンゲージメントを生む施策のポイント
マキアージュ ビューティージャンクションの設計から読み取れるエンゲージメント施策のポイントは以下の通りです。
- コメント返信によるインタラクティブなコミュニケーションを前提とした運用体制を敷いている
- **「今、知りたい情報」**という顧客起点の企画設計により、一方的な宣伝ではなく相談・提案の場をつくっている
- **店頭スタッフという「顔の見える発信者」**を増やすことで、フォロワーとの心理的距離を縮めている
- 雑誌広告など他メディアとの連動検証を行い、Instagram単体で完結させず、リーチの補完関係を可視化している(資生堂ジャパンのクロスメディア事例)
なぜ美容ブランドにとってInstagramが不可欠なのか:公開データから見る背景
なぜここまで美容ブランドがInstagram運用に力を入れるのか、公開されている統計データから背景を整理します。
まず、総務省「令和6年版 情報通信白書」によると、全年代におけるInstagramの利用率は52.6%、10代〜30代では70%を超える水準に達しています。若年層〜ミドル層への接触チャネルとして、Instagramはすでに主要な位置を占めていることがわかります。
また、美容領域に特化した調査でも、Instagramの重要性が示されています。美容口コミアプリ「LIPS」を運営する株式会社AppBrewの調査(PR TIMES掲載「LIPS labo」2024年11月号、LIPSユーザー2,840名対象、2024年10月21日〜28日実施)では、美容情報を収集する際によく使われるSNSとして「Instagram」が70%という高い回答率を得ています。美容ジャンルにおいて、Instagramが情報収集の主要チャネルの一つであることが裏付けられています。
さらに、資生堂が展開する「マキアージュ ビューティージャンクション」のように、現場スタッフを巻き込んだ発信体制を敷く動きは、単なる広告出稿型の宣伝から、顧客との継続的な関係構築へとSNS活用の重心が移っていることの表れとも読み取れます。
明日から真似できる実践チェックリスト
マキアージュの事例から抽出できる、実践しやすいアクションを整理しました。自社・自店舗のアカウント運用の見直しに活用してください。
- 投稿を「商品紹介」だけに偏らせず、「専門性を示す投稿」「トレンド連動投稿」「双方向コミュニケーション投稿」の3種類をバランスよく配分できているか確認する
- 発信者を1人に固定せず、現場スタッフ・店頭担当者など複数人が発信に関われる体制を検討する(無理に増やす必要はないが、「誰が発信しているか」の顔出し・個性表現を意識する)
- ブランドカラーやロゴなど「共通で守るべき世界観」と、「発信者ごとに任せてよい部分」を事前に切り分けておく
- 季節イベント・トレンドキーワードと自社商材を結びつけた投稿企画を、月間カレンダーとして事前に用意する
- コメントへの返信ルール(誰が・どのタイミングで対応するか)を決め、双方向コミュニケーションを放置しない
- SNS単体で完結させず、店頭・雑誌・EC等の他チャネルとどう連動させるかを設計する
- フォロワー数や「いいね」数だけでなく、保存数・コメント内容(悩み相談の有無)など質的な反応も定点観測する
他業種にも応用できる本質的なポイント
マキアージュの事例が示す本質は、「化粧品ブランドだから」できる特殊な施策ではありません。以下の考え方は、美容以外の業種・個人店舗でも十分に応用可能です。
- 専門性を持つ現場スタッフをSNS発信の主役にする:飲食店ならシェフやバリスタ、アパレルなら店頭スタッフのスタイリング提案など、「プロの視点」は業種を問わず信頼構築の武器になります
- 「今、知りたい情報」起点で企画を立てる:自社が発信したいことではなく、顧客が今悩んでいることに答える形で投稿を設計する
- 統一すべきブランド軸と、個性を出してよい部分を切り分ける:複数人・複数店舗で運用する場合ほど、この線引きが重要になります
- SNSを単体施策にせず、リアル接点(店舗・イベント)と連動させる:オンラインの発信をオフラインへの来店動機に変える設計を意識する
まとめ
マキアージュのInstagram運用は、単一の「中の人」による発信ではなく、全国のビューティーコンサルタントを巻き込んだ「多数の現場担当者による発信」という体制に大きな特徴があります。ブランドとしての世界観を保ちながらも、発信者ごとの個性やプロフェッショナルとしての専門性を活かすことで、フォロワーとの心理的距離を縮め、店頭というリアル接点にもつなげています。
これは化粧品業界に限った話ではなく、「専門性を持つ現場の人を主役にする」「顧客起点で企画を立てる」「世界観の統一と個性のバランスを設計する」という考え方は、業種を問わず応用できる普遍的な運用のヒントです。まずは本記事のチェックリストから、自社アカウントで試せるところを一つずつ見直してみてください。
同業種・他業種のSNS運用のリアルな事例をさらに知りたい方は、unyouの事例データベース(/cases)もあわせてご覧ください。
あわせて読みたい
ファイル保存の許可がなかったため、本文を直接お渡ししました。ファイルへの書き出しが必要であれば許可設定を確認のうえお知らせください。引用データは以下の3点です。
- 総務省「令和6年版 情報通信白書」(Instagram利用率52.6%、10〜30代は70%超)
- 資生堂プレスリリース(PR TIMES掲載、2020年11月9日「マキアージュ ビューティージャンクション」全国120名以上のBCが発信)
- 株式会社AppBrew「LIPS labo」調査(PR TIMES掲載、2024年11月号、LIPSユーザー2,840名対象)
ABOUT UNYOU
unyou は、SNS運用の「成功事例」が集まるデータベースです
Instagram・X・TikTok で実際に成果を出しているアカウントを、業種 × トンマナ × プラットフォームで検索・比較できます。掲載しているのは、世の中に公開されている実在アカウントの分析 600件超。 「自社の業種で何が伸びているのか」を、感覚ではなくデータで確かめられます。
無料相談
自社に合ったSNS運用、プロに相談してみませんか?
「何から始めればいいかわからない」「今の運用が正しいか不安」「外注すべきか迷っている」 ——そんなお悩みに、unyouが蓄積した実運用データをもとにお答えします。 相談は無料、しつこい営業はありません。
無料でSNS運用を相談する