十分な情報が集まりました。記事を執筆します。
SNSの担当になったものの、「丸亀製麺のアカウントはなぜあんなに『おいしそう』で『見ていて飽きない』のだろう」と感じたことはないでしょうか。同じように飲食店の写真を投稿しているのに、いいねや保存が伸びない。キャンペーンを打っても反応が薄い。UGC(ユーザー投稿)を増やしたいのに、どう仕掛ければいいのか分からない――。多くの店舗・企業のSNS担当者が抱える悩みは、実はかなり共通しています。
丸亀製麺のInstagram運用は、単に「予算が潤沢だから」「大手だから」伸びているわけではありません。コンセプト設計、投稿の型、UGCの拾い方、プラットフォームごとの役割分担など、規模の大小にかかわらず応用できる「型」がいくつも存在します。本記事では、公開されている取材記事やインタビューをもとに、丸亀製麺のInstagram運用を分解し、他の飲食店・企業アカウントが明日から実践できるポイントに落とし込みます。
丸亀製麺のSNS運用体制を知る ― なぜ「戦略的」と言われるのか
丸亀製麺(運営:株式会社トリドールホールディングス)は、X(旧Twitter)・Instagram・TikTokを主軸に、複数のSNSを並行運用していることで知られています。MarkeZineやホットリンクのコラムで紹介されている取材によれば、丸亀製麺の運用は社内のマーケティングチームと外部パートナー企業が「二人三脚」で戦略を立案・実行する体制がとられており、定期的に方針をすり合わせながら、各SNSの役割分担やコンセプトを明確に決めているといいます(出典:ホットリンク「事例|二人三脚で丸3年。丸亀製麺のX・Instagram・TikTok活用の『これまで』と『これから』」)。
ここで重要なのは、「とりあえず全部のSNSに同じ写真を投稿する」という運用ではないという点です。プラットフォームごとに「何のために」「誰に向けて」発信するのかを言語化してから投稿を作っている。この設計思想こそが、丸亀製麺のアカウントが単発のバズで終わらず、継続的に支持されている土台になっています。

理由①:Instagramを「丸亀製麺の攻略本」と位置づけるコンセプト設計
丸亀製麺のInstagram運用における最大の特徴は、アカウント全体に明確な「コンセプト」を持たせていることです。取材記事によれば、Instagramは「丸亀製麺の攻略本」というコンセプトのもとで運用されており、ストック型メディアであるInstagramの特性を意識し、ライトなファンにもコアなファンにも、見るたびに何かしらの新しい発見があることを目指しているといいます(出典:MarkeZine「【耳から学ぶ】丸亀製麺のSNS活用 Instagramを伸ばすために今必要なポイントは?」)。
2022年以降は、メニュー紹介にとどまらず、素材へのこだわりや店舗スタッフのおもてなしといった「ブランドの背景」まで発信対象を広げ、「丸亀製麺の楽しみ方が一番わかる攻略本」という位置づけに進化しています。
これは、多くの企業アカウントが陥りがちな「新商品の告知だけを垂れ流す」運用との決定的な違いです。フィードを訪れたユーザーが「このアカウントを見れば、この店・このブランドの楽しみ方が全部わかる」と感じられるかどうかが、フォローを続ける理由になり、保存や検索流入にもつながります。
応用のポイント:自社アカウントを「何の攻略本」にするか、一文で言語化してみてください。「新商品の告知板」ではなく「〇〇の楽しみ方がわかる場所」という視点に変えるだけで、投稿の企画基準が大きく変わります。
理由②:食欲を刺激する「シズル感」重視の投稿の型
丸亀製麺のInstagramに投稿される写真・動画は、「シズル感」を重視した構成になっていることが複数の記事で指摘されています。ユーザーが実際にうどんを食べている時と同じ画角・距離感で撮影されることで、見る人の食欲を刺激し、「美味しそう」「食べてみたい」という感情を喚起する設計になっています(出典:find-model「Twitterのフォロワー数100万人超! 丸亀製麺のSNS・キャンペーン戦略をご紹介!」ほか)。
これは、プロのカメラマンによる「きれいすぎる」商品写真とは意図的に異なります。ユーザー自身が店舗で撮っているような、生活者目線に近いアングルにすることで、「自分もこの体験ができる」という距離の近さを演出しているのがポイントです。
応用のポイント:投稿写真を選ぶ際、「これは広告っぽくないか」「実際に自分がその場にいるような画角か」を基準に見直してみましょう。真俯瞰の“映え”写真だけでなく、湯気やレンゲの動き、口に運ぶ瞬間など、五感に訴える一枚を意図的に混ぜることが有効です。
理由③:UGC(ユーザー投稿)を起点にしたエンゲージメント施策
丸亀製麺の運用で特に評価されているのが、UGC(ユーザーが自発的に投稿するコンテンツ)の活用です。公式アカウントがユーザー投稿に丁寧に反応し、良質なUGCをフォロワーに紹介する運用に取り組んでおり、1日2投稿、月間およそ60件のUGCをリポスト・リツイートしているといいます(出典:MarkeZine「UGC活用で初速販売数1.9倍!丸亀製麺が語る、SNS運用のターニングポイント」)。
同記事によれば、コロナ禍という厳しい環境下でもUGCの活用によって新商品の初速販売数が1.9倍に伸びたと語られています。また、ホットリンクのコラムでは、UGCの創出を狙ったマンガ企画で、属性の異なる複数の発信者を起用してリーチを拡大した事例も紹介されています(出典:ホットリンク「『丸亀製麺に行きたくなった』マンガ施策で狙い通りのUGCを創出」)。
ポイントは、UGCを「待つ」のではなく「設計」していることです。ユーザーが自然に投稿したくなる商品体験(トッピングのアレンジ、期間限定メニューなど)を用意し、投稿されたコンテンツを丁寧に拾い上げて可視化する。この循環がフォロワーの「自分も投稿すれば紹介してもらえるかもしれない」という期待を生み、さらなるUGCを呼び込んでいます。
応用のポイント:以下のような小さな仕組みから始められます。
- 公式ハッシュタグ・位置情報タグを固定し、投稿を見つけやすくする
- 週に1回など頻度を決めて、良質なUGCをストーリーズやフィードで紹介する
- 紹介する際は「ありがとうございます」だけでなく、具体的にどこが良かったかコメントする
- アレンジ方法や食べ方など、ユーザーが真似したくなる「型」をこちらから提示する
理由④:X・TikTok・Instagramの役割分担というクロスSNS戦略
丸亀製麺は、X・Instagram・TikTokをそれぞれ異なる役割で運用しています。報道・取材記事によれば、Xは速報性のある情報発信やキャンペーン起点として、Instagramはビジュアルを軸にした「攻略本」として、TikTokは動画で訴求力の高いコンテンツを展開する「攻略掲示板」として位置づけられているとされています(出典:MarkeZine「丸亀製麺2023年のSNSを総振り返り Instagram、X、TikTokでの試みを一挙公開」)。
TikTokではコメント欄が盛り上がりやすく、アレンジレシピの投稿に対して「このアレンジも美味しい」といったユーザー同士のやり取りが生まれやすいという特徴も紹介されています。つまり、同じ「丸亀製麺」というブランドでも、プラットフォームの文化やユーザー行動に合わせて、投稿の温度感やコミュニケーションの取り方を変えているのです。
| プラットフォーム | 位置づけ(公開情報に基づく) | 主な役割 |
|---|---|---|
| 丸亀製麺の「攻略本」 | ビジュアルでブランドの世界観・こだわりを伝える、保存性の高いストック型メディア | |
| X(旧Twitter) | 速報・キャンペーン起点 | 新商品告知、キャンペーン、リアルタイムなコミュニケーション |
| TikTok | 「攻略掲示板」 | 動画でのアレンジ紹介、ユーザー同士のコメントを誘発するコミュニティ的な場 |
応用のポイント:複数のSNSを運用している、またはこれから始める場合は、「全プラットフォーム同じ投稿を流す」のではなく、まず1枚のシートに「媒体名/目的/メインターゲット/投稿の温度感」を書き出してみてください。役割が重複していないか、逆に手薄になっている媒体がないかが見えてきます。
データで見る、飲食店にとってInstagramが重要な理由
丸亀製麺に限らず、飲食業界がInstagramに力を入れる背景には、客観的なデータの裏付けがあります。
まず、総務省「令和6年版 情報通信白書」によれば、日本国内のInstagram利用率は全年代で52.6%に達しており、10代から30代では7割を超え、40代・50代でも5割を超えるなど、幅広い年代で利用が広がっていることが示されています(出典:総務省「令和6年版 情報通信白書」)。飲食店の主要客層である20〜40代を広くカバーできる点は、他のSNSにはない強みです。
また、Meta(旧Facebook Japan)が公式に発表した情報としては、2019年6月時点で国内の月間アクティブアカウント数が3,300万を突破したことが明らかにされています(出典:Meta Japan公式発表「Instagramの国内月間アクティブアカウント数が3300万を突破」)。それ以降、Meta社はプラットフォーム別・国別の利用者数を単独では公表していませんが、この発表以降もInstagramが国内SNSの中心的存在であり続けていることは、各種の利用率調査からも読み取れます。
さらに、飲食店のSNS活用実態に関する調査では、飲食店のInstagram活用率がおよそ8割に達している一方で、「投稿内容」や「新規フォロワーの獲得」に難しさを感じている店舗が多いことが報告されています(出典:PR TIMES掲載「飲食店のSNS活用状況を調査。インスタ活用は約8割、『投稿内容』や『フォロワー獲得』に難しさ」)。つまり、「やっている」店舗は多いものの、「うまく活用できている」店舗はまだ限られているのが実態です。丸亀製麺のように、コンセプト設計から投稿の型、UGC活用までを一貫して設計しているアカウントは、この差を生み出す好例だといえます。
丸亀製麺の事例から学ぶ、明日から試せる実践チェックリスト
規模の大きい丸亀製麺の取り組みをそのまま真似ることは難しくても、考え方を分解すれば、小規模な店舗・企業アカウントでも応用できる要素は多くあります。以下のチェックリストを使って、自社アカウントの現状を棚卸ししてみてください。
| チェック項目 | 確認内容 |
|---|---|
| □ コンセプトの言語化 | 自社アカウントは「何の攻略本」か、一文で説明できるか |
| □ 投稿の画角 | 広告然とした写真だけでなく、生活者目線・体験目線の投稿があるか |
| □ UGC導線 | 公式ハッシュタグ・位置情報タグを固定し、案内できているか |
| □ UGC紹介の頻度 | 週1回など、良質な投稿を紹介する運用ルールがあるか |
| □ プラットフォームごとの役割 | 複数SNSで同じ内容を使い回していないか |
| □ コメント・保存の分析 | いいね数だけでなく、保存・コメントの内容を振り返っているか |
| □ 継続的な方針すり合わせ | 月次・週次で振り返りの場を設けているか |
特に重要なのは「UGC紹介の頻度」と「コメント・保存の分析」です。丸亀製麺の事例が示すように、フォロワーの投稿を丁寧に拾い上げる運用は、広告費をかけずにエンゲージメントを高める再現性の高い手法です。まずは自社のハッシュタグ投稿を週に一度チェックする時間を確保することから始められます。
注意点:規模の大きい事例をそのまま真似する落とし穴
丸亀製麺の運用は、全国規模の店舗網・専任の運用チーム・外部パートナーとの連携があってこそ成立している部分も少なくありません。UGCが月60件集まるのも、もとになる来店客数や商品の話題性が前提にあります。中小規模の店舗・企業がいきなり同じ投稿頻度やキャンペーン規模を目指すと、リソース不足で息切れしてしまうケースが多く見られます。
大切なのは、「投稿頻度」や「フォロワー数」といった表面的な数字を真似することではなく、「コンセプト設計 → 投稿の型 → UGC導線 → 振り返り」という運用の構造を、自社の規模に合わせて縮小コピーすることです。週1投稿・月1回のUGC紹介からでも、この構造さえ整っていれば着実にアカウントは育っていきます。
同業種・同業界の他アカウントがどのようにこの構造を作っているかを知りたい場合は、unyou(https://unyou.media)の事例データベースにある飲食業界の運用事例(/cases)もあわせて参考にしてみてください。規模の異なる複数のアカウントを見比べることで、自社に合った「型」のヒントが見つかりやすくなります。
まとめ
丸亀製麺のInstagram運用が支持されている背景には、「攻略本」という明確なコンセプト設計、生活者目線の「シズル感」投稿、UGCを軸にしたエンゲージメント施策、そしてX・TikTokとの役割分担というクロスSNS戦略がありました。いずれも、大企業だからこそ可能な特別な手法ではなく、考え方さえ理解すれば規模を問わず応用できる「型」です。
まずは自社アカウントの投稿を、「これは誰の、どんな体験を伝えているか」という視点で見直すところから始めてみてください。コンセプトの言語化、投稿の画角の見直し、UGCを拾う導線づくりの3つは、明日からでも着手できる具体的な一歩です。
あわせて読みたい
ABOUT UNYOU
unyou は、SNS運用の「成功事例」が集まるデータベースです
Instagram・X・TikTok で実際に成果を出しているアカウントを、業種 × トンマナ × プラットフォームで検索・比較できます。掲載しているのは、世の中に公開されている実在アカウントの分析 600件超。 「自社の業種で何が伸びているのか」を、感覚ではなくデータで確かめられます。
無料相談
自社に合ったSNS運用、プロに相談してみませんか?
「何から始めればいいかわからない」「今の運用が正しいか不安」「外注すべきか迷っている」 ——そんなお悩みに、unyouが蓄積した実運用データをもとにお答えします。 相談は無料、しつこい営業はありません。
無料でSNS運用を相談する