「うちの会社も美容ブランドっぽい世界観のあるアカウントを作りたいけれど、何から手をつければいいのか分からない」「投稿はしているのに、ブランドらしい統一感が出ない」——SNS担当者や店舗のマーケティング担当者から、こうした相談を受けることが少なくありません。特に美容・コスメ業界は競合が多く、フォロワーの目も肥えているため、なんとなく綺麗な写真を並べるだけでは埋没してしまいます。
そこで今回は、日本の高級コスメブランド「SUQQU(スック)」のInstagram運用を題材に、なぜこのアカウントが美容業界の中で一貫した支持を集めているのかを分析します。フォロワー数やエンゲージメント率といった裏付けの取れない数字は扱わず、公開されている情報とunyou(https://unyou.media)の事例データベースの視点をもとに、明日から自社アカウントに応用できる具体的なポイントに落とし込んでいきます。
SUQQUというブランドの背景をおさえる
分析の前提として、SUQQUがどんなブランドかを整理しておきます。SUQQUは2003年にデビューした日本発のコスメブランドで、ブランド名は「すっくと立つ」姿、つまり凛として自立した佇まいに由来するとされています。誕生の背景には、映像制作の現場で活躍していたメイクアップアーティストとのコラボレーションがあり、俳優のメイク前に必ず行っていた顔筋マッサージの思想がブランドの軸のひとつになっています。
この「艶」「色彩」「自立した美意識」といったキーワードは、後述するInstagramの世界観づくりにそのまま反映されています。SNS運用を分析する際、投稿テクニックだけを切り出して真似しても表面的な模倣にとどまりがちですが、SUQQUの場合はブランドの成り立ちと発信内容が地続きになっている点が大きな特徴です。

SUQQUのInstagramアカウント構成を分解する
SUQQUは公開情報を確認する限り、少なくとも2つのInstagramアカウントを使い分けています。
- @suqqu_official:ブランド公式アカウント。新作コスメの情報や色彩の世界観を発信する、いわば「ショールーム」の役割
- @suqqucircle(SUQQU circle):SUQQUを愛用するファンが集うコミュニティ色の強いアカウント
公式サイトの情報によれば、SUQQU circleは「SUQQUを愛する人々が集まり、@suqqucircleをタグ付けして想いを共有するコミュニティ」と位置づけられています。さらに2021年12月には「SUQQU circle Instagramライブ特別企画」という、Instagramのライブ配信機能を使った企画も実施されています。
このように、ブランドの発信軸と、ファン・顧客とのコミュニケーション軸をアカウントとして機能的に分けている点は、企業アカウントの設計として参考になります。1つのアカウントに「新商品告知」「世界観訴求」「顧客とのやり取り」を全部詰め込むと、フォロワーにとって情報のノイズが増えてしまうためです。
投稿の「型」を分解する
SUQQUのようなラグジュアリーコスメブランドの投稿は、大きく次のようなパターンに整理できます。
| 投稿の型 | 目的 | ポイント |
|---|---|---|
| プロダクトビジュアル | 新作・定番商品の色彩や質感を見せる | パッケージ単体でも世界観が伝わるよう統一トーンで撮影 |
| メイクアップ・スナップ | 実際の発色・仕上がりを伝える | 「艶」を強調する光の当て方、質感重視の寄りカット |
| スタッフ・BAによるレビュー | 現場のプロ目線の信頼性を補強 | 公式サイトの「STAFF REVIEW」ページとも連動した情報発信 |
| ライブ配信・企画 | フォロワーとの双方向コミュニケーション | SUQQU circleでのライブ企画のように、限定感・参加感を演出 |
| ブランドストーリー | ブランドの背景・思想を伝える | 「すっくと立つ」「艶」といった一貫したキーワードを繰り返し使う |
重要なのは、これらの型がバラバラに存在するのではなく、すべて「艶」「色彩」「自立した美意識」という一本の軸に紐づいている点です。投稿ごとにテーマが変わっても、見た瞬間に「SUQQUらしい」と分かる統一感が生まれるのは、この軸がぶれていないからだと考えられます。
世界観のつくり方:色彩とトーン&マナーの統一
美容ブランドのアカウントを見比べると、伸びている・支持されているアカウントほど「色数を絞っている」「光の質感が一貫している」という共通点があります。SUQQUの発信も、ブランドが大切にしてきた色彩表現をビジュアルの軸に据えていると読み取れます。
自社アカウントに応用する際にチェックしたいのは次の点です。
- メインカラー・トーンを3色程度に絞る:投稿ごとに雰囲気が変わると、フィード全体で見たときの世界観が崩れる
- 写真の「余白」の使い方を統一する:商品を画面いっぱいに詰め込まず、余白で高級感・静けさを演出する
- フォントやロゴの使い方をテンプレート化する:文字入れをする場合は毎回同じフォント・配置にする
- 「言葉」のトーンも合わせる:キャプションの語尾や敬語のレベルを統一し、ブランドの人格を一貫させる
これらは特別な予算がなくても、既存の投稿を見直すだけで着手できる改善です。
エンゲージメントを生む仕組み:コミュニティとUGCの設計
SUQQUのSNS施策で見逃せないのが、コミュニティアカウント(SUQQU circle)と会員プログラムを組み合わせた設計です。公式サイトの情報によると、SUQQUの会員プログラムでは購入商品のレビュー投稿でクーポンが発行される仕組みがあり、レビュー・口コミ(いわゆるUGC:ユーザー生成コンテンツ)を投稿する動機づけがつくられています。
これは単なる「フォロワーを増やす施策」ではなく、「顧客に発信者になってもらう」設計だといえます。ブランド公式アカウントがどれだけ美しい投稿を続けても、第三者であるファンや顧客の声には敵わない場面があります。実際、Instagram利用者を対象にした調査では、Instagram利用者の約55%が「Instagramをきっかけに購入・来店した経験がある」と回答しており、商品購入時に参考にする情報として「企業・インフルエンサーの投稿」が上位に挙がっています(出典:株式会社ホットリンク調査、PR TIMES掲載)。ブランド発信とファンの声を両輪で回す設計は、こうした購買行動の実態に沿った合理的な戦略といえます。
なぜ今、美容ブランドにとってInstagram運用が重要なのか
ここで、なぜSNS、特にInstagramが美容ブランドにとって重要な接点になっているのかを、公的データで確認しておきます。
- 総務省「令和6年版 情報通信白書」によると、SNS(無料通話機能を含む)の利用割合は全体で81.9%に達しており、特に20代では利用率が9割を超えるとされています。
- Instagramを運営するMeta社は2019年6月、日本国内の月間アクティブアカウント数が3,300万を突破したと公式発表しています。ビジュアル訴求と親和性の高いこのプラットフォームは、以降も国内で存在感を拡大してきました。
- 前述のホットリンク調査(PR TIMES掲載)では、Instagram利用者の約55%が同アプリをきっかけに購入・来店した経験を持つと回答しています。
これらのデータからも、色彩・質感・世界観を「見て伝える」ことに強みを持つ美容ブランドにとって、Instagramが購買行動に直結する重要な接点であることが分かります。SUQQUのように、ビジュアルの統一感とコミュニティ設計の両方に投資する運用は、こうした環境変化に対して理にかなったアプローチだと言えるでしょう。
他の企業・店舗が明日から真似できるチェックリスト
最後に、SUQQUの事例分析から抽出できる、実践しやすいアクションをチェックリストにまとめます。すべてを一度にやる必要はありません。自社の運用体制に合わせて、着手できるものから始めてください。
- 自社アカウントの直近20投稿を並べて見返し、「トーン・色数・余白」の統一感があるか確認する
- ブランドを一言で表すキーワード(SUQQUでいう「艶」「自立」のようなもの)を1〜3個言語化する
- 投稿を「商品」「使用シーン・スナップ」「スタッフ・専門家の声」「ブランドストーリー」の4カテゴリーに仕分けし、偏りがないか確認する
- キャプションの語尾・敬語レベルを統一するための簡易ガイドラインをつくる
- 顧客・ファンがUGCを投稿したくなる仕組み(レビュー特典、ハッシュタグ、リポスト企画など)を1つ用意する
- ブランド公式アカウントとは別に、コミュニティ・ファン向けの発信軸を持つべきか検討する
- ライブ配信や双方向企画など、フォロワーが「参加できる」施策を四半期に1回は組み込む
これらは特別なツールや大きな予算がなくても、担当者レベルで着手できるものばかりです。重要なのは、個別の施策を単発で終わらせず、ブランドの軸に沿って継続することです。
まとめ
SUQQUのInstagram運用が一貫性を持って見えるのは、「艶」「色彩」「自立した美意識」というブランドの背景と、投稿・世界観・コミュニティ設計がすべて連動しているためです。公式アカウントとコミュニティアカウントを役割分担させ、レビュー投稿へのインセンティブ設計によってファンを発信者に変えていく仕組みは、規模の大小を問わず多くの企業・店舗アカウントに応用できる考え方です。
総務省のデータが示す通りSNSはすでに生活インフラの一部となっており、Instagramが購買行動に直結する接点であることも各種調査で示されています。まずは自社の「言葉にできるブランドの軸」を1つ定め、投稿の型とトーンを整えるところから始めてみてください。
他の業種・業界のSNS運用事例をより詳しく知りたい方は、unyouの事例データベース(/cases)で、美容・コスメ業界をはじめとする実在アカウントの分析事例もあわせてご覧いただけます。
あわせて読みたい
ABOUT UNYOU
unyou は、SNS運用の「成功事例」が集まるデータベースです
Instagram・X・TikTok で実際に成果を出しているアカウントを、業種 × トンマナ × プラットフォームで検索・比較できます。掲載しているのは、世の中に公開されている実在アカウントの分析 600件超。 「自社の業種で何が伸びているのか」を、感覚ではなくデータで確かめられます。
無料相談
自社に合ったSNS運用、プロに相談してみませんか?
「何から始めればいいかわからない」「今の運用が正しいか不安」「外注すべきか迷っている」 ——そんなお悩みに、unyouが蓄積した実運用データをもとにお答えします。 相談は無料、しつこい営業はありません。
無料でSNS運用を相談する