merry jenny(メリージェニー)のInstagram運用を分析|伸びている理由と、真似できるポイント【2026年版】
2026/9/22
「うちの会社もInstagramに力を入れているのに、なぜかフォロワーが増えない」「投稿は続けているのに、ブランドの世界観が伝わっている気がしない」——アパレルやファッション雑貨を扱う企業のSNS担当者から、こうした悩みをよく耳にします。投稿頻度を上げても、ハッシュタグを工夫しても、なぜか"刺さる"アカウントとの差が縮まらない。その原因の多くは、投稿の「量」ではなく「設計」にあります。
今回は、10代後半〜20代の女性から支持されるアパレルブランド「merry jenny(メリージェニー)」のInstagram運用を、公開情報をもとに分析します。単なる「かわいい投稿をしている」で終わらせず、アカウント構成・投稿の型・世界観のつくり方という運用の"骨格"を分解し、自社アカウントに応用できる具体的なポイントに落とし込んでいきます。
merry jennyとは?ブランド概要とコンセプトを押さえる
merry jennyは、株式会社MARK STYLERが展開する女性向けアパレルブランドで、2012年にスタートしました。ブランドコンセプトは「Virgin lady closet」。きらめく街並みやふわふわ揺れるスカート、心躍る音楽といったイメージを軸に、「大人でも子どもでもなく、いつも自分らしく」というメッセージを掲げています。あわせて「Innocent Kitsch Girl」という言葉でも表現される通り、遊び心のある柄やデザインを取り入れた、無邪気でキッチュな"ガーリー"な世界観が特徴です(参照:ファッションプレス「メリージェニー」ブランドページ)。
ターゲットは10代後半〜20代半ばの女性で、新宿ルミネエスト、原宿ラフォーレ、渋谷109、梅田といった、若年女性向けファッションビルへの出店が中心です。SNSはこの世代へのリーチ手段として、公式ECサイト「RUNWAY channel」と並ぶ重要な接点になっています。
ここで重要なのは、merry jennyのInstagram運用が「かわいい写真を投稿する」だけの施策ではなく、ブランドコンセプトを起点に設計されているという点です。次章から、その具体的な構造を見ていきます。

merry jennyのInstagram運用体制:アカウントを「役割」で分けている
merry jennyの運用で特徴的なのが、目的の異なる複数のアカウントを使い分けている点です。公開情報から確認できる主な構成は以下の通りです。
| アカウント種別 | 主な発信内容 | 果たしている役割 |
|---|---|---|
| ブランド公式アカウント | シーズンビジュアル、ルックブック、リール動画による新作紹介 | ブランド世界観の「顔」となる、統一感のあるビジュアル発信 |
| ショップ/店舗系アカウント | 店舗入荷情報、コーディネート提案 | 購買導線に近い、実店舗との接続 |
| スタッフ個人アカウント | 私服コーデ、日常投稿、フォロワーとの交流 | フォロワーとの心理的距離を縮める「等身大」の発信 |
この「公式」「ショップ」「スタッフ」という3層構造は、アパレル業界でよく見られる設計ですが、merry jennyのポイントはそれぞれの役割が明確に分かれており、混在させていないことです。公式アカウントは世界観を崩さずルックブック中心に統一し、スタッフアカウントはあえて"作り込みすぎない"日常感を出す。この役割分担が、フォロワーにとって「ブランドの世界観に憧れつつ、親近感も持てる」という二重の魅力につながっています。
自社アカウントが1つしかない場合でも、この考え方は応用できます。投稿を「世界観訴求(憧れ)」と「親近感訴求(共感)」に分類し、意図的に配分を設計するだけで、単調になりがちなフィードに緩急が生まれます。
伸びている理由①:世界観を作り込むビジュアル戦略
merry jenny公式アカウントの投稿を見ると、「2025 summer image visual」「2025 winter LOOK BOOK」のように、シーズンごとにテーマを明確に打ち出したビジュアル企画が並びます。単品の商品写真を淡々と並べるのではなく、シーズンごとの世界観(イメージビジュアル)をまず打ち出し、そこから個別のルックブック、店頭情報へと展開していく構成です。
これは、モデルを起用したWebカタログ展開にも表れています。実際に同ブランドは、モデルを起用した季節ごとのWEBカタログをPR TIMES上でプレスリリースとして発信しており(参照:MARK STYLER株式会社「merry jenny 2025 SUMMER WEBカタログVOL.1公開」PR TIMES)、SNS単体ではなく、プレスリリース・ECサイト・Instagramを横断した情報設計になっていることが分かります。
真似できるポイント:
- 投稿を「単発の商品紹介」で終わらせず、シーズン単位の企画(テーマ・世界観)を先に決めてから個別投稿に落とし込む
- 新作情報はプレスリリースやECサイトの更新タイミングとInstagramの投稿タイミングを揃える
- フィード全体を俯瞰したときに、色味・トーンに一貫性があるかを毎月チェックする
伸びている理由②:スタッフアカウントによる「近さ」の設計
先述の通り、merry jennyにはスタッフ個人名義のアカウントが存在します。ブランド公式アカウントが「憧れ」を担う一方で、スタッフアカウントは私服コーディネートや日常の投稿を通じて、フォロワーとの距離を縮める役割を果たしています。
これは、企業アカウント単体では出しづらい「リアルな着用感」「等身大の共感」を補完する仕組みです。フォロワーからすると、ブランド公式のルックブックだけでは「自分が着たらどう見えるか」が想像しづらいことがありますが、スタッフの私服投稿がその橋渡しになります。結果として、ブランドとの接点が「見るだけ」から「自分ごと化」へと変わっていきます。
真似できるポイント:
- スタッフやスタイリストが顔出しで着用コーデを発信できる体制を検討する(個人アカウントでも、ブランドタグ付けでも可)
- 公式アカウントには載せない「等身大」の情報(サイズ感、着用感、購入の決め手など)をスタッフ発信に任せる
- スタッフ投稿と公式投稿を明確に役割分担し、内容を重複させない
伸びている理由③:投稿フォーマットを「型化」している
merry jenny公式アカウントの投稿には、「【2025 winter LOOK BOOK】」のように、タイトルの付け方や構成にパターンが見られます。加えて、リール動画も定期的に活用されており、静止画のルックブックと動画による着用イメージを組み合わせることで、テキスト情報だけでは伝わりにくい「着たときの動き」「素材感」を補完しています。
投稿タイトルや構成をパターン化することには、2つのメリットがあります。1つは、フォロワーが「あ、今回は新作紹介の投稿だ」と一目で認識できること。もう1つは、運用側の制作コストが下がり、継続しやすくなることです。センスに頼った単発企画は続けるほど疲弊しますが、型があれば新しい担当者でも一定の品質を保てます。
真似できるポイント:
- 「新作紹介」「スタッフコーデ」「店頭情報」など投稿カテゴリを3〜5種類に整理し、タイトルの書式を統一する
- 静止画のルックブック投稿と、リールでの着用動画をセットで運用する
- 投稿カレンダーを作り、カテゴリごとの投稿頻度をあらかじめ決めておく
データで見る、アパレルブランドがInstagramに注力すべき理由
ここまで運用の型を見てきましたが、そもそもなぜアパレルブランドにとってInstagramが重要なチャネルなのか、公的データや調査結果から確認しておきます。
まず、総務省「令和6年版情報通信白書」によれば、インターネット利用目的のうち「SNS(無料通話機能を含む)の利用」は81.9%と最も高い割合を占めており、特に20代では利用率が90%を超えると報告されています(参照:総務省「令和6年版情報通信白書」)。merry jennyの主要ターゲットである10代後半〜20代は、まさにSNSを情報収集の起点としている世代です。
また、Meta社は2023年11月、日本国内のInstagram利用者数について、2019年に公表した3,300万人という数字から「4年の間に倍以上に広がっている」と発表しています(参照:Meta「Instagramの国内月間アクティブアカウント数が3300万を突破」about.fb.com)。国内における主要な生活インフラの一つとして、Instagramの存在感が拡大し続けていることがわかります。
さらに、株式会社PRIZMAがPR TIMESで公開した2025年の調査では、Z世代が利用しているSNSとして最も多いのはInstagramで89.6%、また認知から購買に至るプロセスにおける信頼度のトップもInstagramという結果が示されています(参照:株式会社PRIZMA「2025年最新!世代別のSNS利用状況とは」PR TIMES)。ファッション性の高い情報ほど、テキストよりビジュアル起点のSNSと相性が良いという傾向も裏付けられます。
merry jennyがルックブックやリールといったビジュアル重視の投稿に注力しているのは、こうしたユーザー行動と合致した戦略と言えます。
明日から試せる実践チェックリスト
ここまでの分析を踏まえ、自社のInstagram運用に落とし込むためのチェックリストをまとめます。すべてを一度に行う必要はありません。優先度の高いものから着手してみてください。
- 投稿を「世界観訴求」と「親近感訴求」に分類する:直近30投稿を振り返り、どちらの投稿が多いか比率を確認する
- シーズン・企画単位で投稿テーマを事前に決める:来月の投稿を「単発」ではなく「テーマありき」で企画する
- 投稿タイトル・構成のフォーマットを1つ作る:【〇〇】のような統一フォーマットを最低1パターン用意する
- スタッフやメンバーが発信できる導線を作る:個人アカウントでの着用投稿、または公式アカウント内でのスタッフ企画枠を検討する
- 静止画とリールをセットで設計する:新作紹介は「写真+動画」の組み合わせを基本形にする
- 投稿カレンダーで頻度を可視化する:週あたりの投稿カテゴリ配分を表にして、偏りがないか確認する
- プレスリリースやECの更新タイミングとSNS投稿を揃える:情報発信のタイミングを社内で共有する体制を作る
これらは特別な予算や大規模な体制がなくても着手できる項目です。重要なのは「なんとなく投稿する」状態から、「役割を決めて投稿する」状態に運用を移行することです。
他社事例と比較しながら、自社の"型"を見つける
merry jennyの事例から見えてきたのは、Instagram運用の強さは「投稿の上手さ」よりも「設計の一貫性」に宿るということです。世界観を担う公式アカウント、親近感を担うスタッフアカウント、購買を後押しするショップアカウント——役割を分けて設計することで、フォロワーは「憧れ」と「共感」の両方をブランドに感じられるようになります。
もちろん、すべてのブランドがまったく同じ構造を再現する必要はありません。業種や規模、社内のリソースによって最適な型は変わります。だからこそ、自社と近い業種・規模の事例と比較しながら、どの要素を取り入れるかを検討することが近道になります。
SNS運用事例データベース「unyou」(https://unyou.media)では、アパレル・ファッション業種をはじめ、業種別のSNS運用事例を数多く掲載しています。merry jennyのような大手ブランドの運用だけでなく、規模の近い企業・店舗の事例も参考にしながら、自社に合った運用の型を探してみてください。
まとめ
merry jennyのInstagram運用は、「公式アカウントでブランドの世界観を作り込み、スタッフアカウントで親近感を補完する」という役割分担、シーズンごとにテーマを設計するビジュアル戦略、投稿フォーマットの型化という3つの要素で構成されています。これらは特別な技術やセンスがなくても、設計次第で他のアカウントにも応用可能な考え方です。
まずは自社の直近の投稿を振り返り、「世界観訴求」と「親近感訴求」のバランスを確認するところから始めてみてください。小さな見直しの積み重ねが、フォロワーとの関係性を変える第一歩になります。
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