ハウステンボス(Huis Ten Bosch)のInstagram運用を分析|伸びている理由と、真似できるポイント【2026年版】
2026/9/24
「映える投稿」を真似しても伸びないのはなぜか
自社のInstagramを運用していると、「素敵な写真を撮っているのに反応が薄い」「投稿頻度は高いのにフォロワーが増えない」という壁に必ずぶつかります。特に観光・レジャー業界では、競合アカウントの華やかな写真を見て「同じような構図で撮ってみよう」と真似をしても、なぜか同じような熱量のコメントやシェアが生まれない、という悩みを抱える担当者は少なくありません。
その差は、実は「1枚の写真のクオリティ」ではなく、「アカウント全体でどんな世界観を積み上げ、フォロワーとどう関係を築いているか」という設計思想の違いにあります。長崎県のテーマパーク「ハウステンボス(Huis Ten Bosch)」の公式Instagramは、まさにこの設計思想が明確なアカウントの代表例です。本記事では、公開情報をもとにハウステンボスのSNS運用を分解し、業種を問わず応用できるポイントを整理します。なお本記事では、根拠が確認できないフォロワー数やエンゲージメント率などの数値は掲載せず、公開されている事実と統計データのみに基づいて解説します。

ハウステンボス公式Instagramの基本方針
ハウステンボス公式アカウント(@huistenbosch_official)のプロフィール欄には、「憧れの異世界『ハウステンボス』の公式アカウント」「季節ごとに変わるハウステンボスの魅力をお届け」という趣旨の説明が掲げられています。ここに、このアカウントの運用方針が凝縮されています。
ポイントは大きく2つです。
- 「異世界」というコンセプトを一貫して打ち出していること
- 「季節ごとの変化」を投稿の更新軸にしていること
単なる「テーマパークの宣伝アカウント」ではなく、「非日常への入口」という体験価値を軸に据えることで、投稿1件ごとに世界観がブレません。さらに公式アカウントは個別の問い合わせ返信を行わない方針を明示し、その代わりにユーザーが撮影した写真には「#ハウステンボス」のハッシュタグ投稿を呼びかけています。これは「発信専用アカウント」として役割を明確化しつつ、ユーザー投稿(UGC)を巻き込む導線を別途用意する、役割分担の設計だと読み取れます。
投稿の「型」を分解する — 季節×フォトジェニックの掛け合わせ
ハウステンボスの園内には、運河沿いに花々が広がる「フラワーロード」や、約700本のカラフルな傘が宙を彩る「アンブレラストリート」など、撮影を前提に設計されたフォトスポットが複数存在します。これらは夜間にライトアップされることで昼と夜で異なる表情を見せ、同じ場所でも季節・時間帯・イベントごとに繰り返し投稿ネタとして使える構造になっています。
これは、SNS運用において非常に重要な考え方です。多くの企業アカウントは「毎回新しいネタを探す」ことに疲弊しがちですが、ハウステンボスのように「変化を前提にした固定スポット」を園内・店舗内に持っておけば、同じ被写体でも投稿の鮮度を保ち続けられます。
| 投稿の型 | 具体例(ハウステンボス) | 他業種での応用例 |
|---|---|---|
| 定番スポット×季節変化 | フラワーロードの四季の花、アンブレラストリートの装飾替え | 店舗の看板ディスプレイを季節ごとに替えて定点投稿 |
| 期間限定イベント告知 | 花火・イルミネーション・季節祭のビジュアル訴求 | 期間限定メニューやセールの世界観訴求 |
| UGC誘導キャンペーン | ハッシュタグ投稿キャンペーンで来園者の写真を可視化 | 来店写真ハッシュタグ+特典で口コミを可視化 |
| 世界観の統一トンマナ | 「異世界」を想起させる色調・構図で統一 | ブランドカラー・撮影アングルのガイドライン統一 |
UGCを巻き込むキャンペーン設計
ハウステンボス株式会社は過去に「Happy HUIS TEN BOSCH インスタグラムキャンペーン」を実施しています(ハウステンボス株式会社のプレスリリース、PR TIMES掲載)。これは、園内で撮影した「Happyな場所やシーン」を指定ハッシュタグを付けてInstagramに投稿すると、期間中毎日、年間パスポートが抽選で当たるという企画です。
このキャンペーンから学べる設計のポイントは次の3つです。
- 参加ハードルが低い:すでに来園者が自然に撮っている写真をそのまま使える設計で、特別な作品作りを要求しない
- 景品が来園動機に直結する:年間パスポートという「再来園につながる特典」を用意することで、一過性のプレゼント応募で終わらせない
- 毎日抽選という頻度設計:当選チャンスを分散させることで、キャンペーン期間中の投稿を継続的に発生させている
企業がUGCキャンペーンを設計する際、つい「豪華な景品を1回だけ大々的に」という発想になりがちですが、ハウステンボスの事例は「日常的に投稿が生まれ続ける仕組み」を重視している点が参考になります。
なぜ「世界観」と「UGC」の両輪が必要なのか — データで見る背景
ここで、SNSと旅行行動に関する公的データ・調査データを確認しておきます。
総務省「令和7年版 情報通信白書」によれば、全年代におけるSNS利用率はLINEが92.9%、Instagramが54.8%、X(旧Twitter)が44.7%となっており、Instagramは幅広い年代に浸透したプラットフォームであることが示されています(出典:総務省「令和7年版 情報通信白書」)。つまり企業や施設のアカウントが「万人受けする投稿」を目指すのではなく、Instagramのユーザー特性(ビジュアル重視・保存や共有を前提とした閲覧行動)に合わせた設計が必要だということです。
また、インフルエンサーマーケティング企業の株式会社トリドリが全国の18〜59歳の男女474名を対象に実施した調査では、旅行先を選ぶ際に「SNSの情報をかなり重視する」が17.0%、「重視する」が43.8%で、合計6割超(60.8%)のユーザーが旅行先選びでSNSの情報を重視していると回答しています(出典:株式会社トリドリ調査レポート、PR TIMES掲載)。これは、旅行・観光業種にとってSNS上の世界観づくりが、単なる「広報」ではなく「集客チャネルそのもの」であることを裏付けるデータです。
さらに、ハウステンボス株式会社自身がプレスリリースの形でInstagramキャンペーンを告知している事実(前述のPR TIMES掲載リリース)は、同社がSNSを一過性の広報施策ではなく、継続的なマーケティング施策として位置付けていることの証左といえます。
他業種が今日から真似できる実践チェックリスト
ハウステンボスの事例を踏まえ、業種を問わず応用できる具体的なアクションを整理しました。
① コンセプトの言語化
- アカウントの世界観を一文で説明できるか(例:「異世界への入口」のような一言コンセプト)
- その一文をプロフィール欄に明記しているか
② 定点撮影スポットの設計
- 店舗・施設内に「同じ場所で季節ごとに変化を出せるスポット」があるか
- そのスポットを装飾替え・ディスプレイ替えの計画に組み込んでいるか
③ 投稿トンマナの統一
- 色調・構図・フォントなど、投稿の見た目のルールを決めているか
- 複数人で運用する場合、誰が投稿しても世界観がブレない基準があるか
④ UGC導線の設計
- 来店・来園者が自然に投稿したくなるハッシュタグを用意しているか
- ハッシュタグ投稿に対する特典(割引・抽選・再来店インセンティブ)があるか
⑤ 運用ルールの明確化
- 個別問い合わせへの対応方針(返信する/しない)を決めているか
- 返信しない場合、問い合わせ先を別途明示しているか
これらは特別な予算をかけなくても、既存の店舗・施設・投稿ルールを見直すだけで着手できる項目です。まずは自社アカウントのプロフィール欄とハイライト、直近20投稿を見直し、「世界観が一貫しているか」「UGCを呼び込む導線があるか」の2点をチェックすることから始めてみてください。
運用を仕組み化するための次のステップ
ハウステンボスの事例からわかるのは、「バズる1投稿」を狙うのではなく、「季節ごとに更新し続けられる仕組み」と「ユーザーが自発的に投稿したくなる導線」をセットで設計している点です。これは観光・レジャー業種に限らず、飲食店、小売店、宿泊施設、BtoB企業のショールームなど、あらゆる業種に応用可能な考え方です。
一方で、こうした仕組みを自社だけで一から設計するのは簡単ではありません。同業種・類似業種が実際にどのような投稿頻度、キャンペーン設計、ハッシュタグ戦略で成果につなげているかを知ることは、遠回りに見えて最短ルートになります。SNS運用事例データベース「unyou」では、観光・レジャー業界を含む幅広い業種のSNS運用事例を掲載しています。自社に近い規模・業種の事例を探し、投稿の型やキャンペーン設計を具体的に参考にしたい方は、unyouの事例一覧もあわせてご覧ください。
まとめ
ハウステンボス公式Instagramの強さは、派手な単発投稿ではなく、「異世界」という一貫したコンセプト、季節ごとに更新される定点フォトスポット、そしてハッシュタグキャンペーンによるUGCの巻き込みという、3つの要素が組み合わさった仕組みにあります。総務省の統計が示す通りInstagramは幅広い年代に浸透しており、トリドリの調査が示す通り旅行先選びにおいてSNS情報を重視するユーザーは6割を超えています。この事実は、観光業に限らずあらゆる業種において「世界観の一貫性」と「ユーザーを巻き込む導線」の両方を設計することの重要性を裏付けています。自社アカウントも、まずはプロフィールの一言コンセプトと、季節ごとに使い回せる撮影スポットの棚卸しから始めてみてはいかがでしょうか。
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Instagram・X・TikTok で実際に成果を出しているアカウントを、業種 × トンマナ × プラットフォームで検索・比較できます。掲載しているのは、世の中に公開されている実在アカウントの分析 600件超。 「自社の業種で何が伸びているのか」を、感覚ではなくデータで確かめられます。
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