% ARABICA(% アラビカ)のInstagram運用を分析|伸びている理由と、真似できるポイント【2026年版】
2026/9/24
「バズる投稿」を真似しても、なぜかうまくいかない
飲食店やカフェのSNS担当者から、こんな相談をよく受けます。「話題のアカウントを研究して、同じような構図の写真を投稿しているのに、保存もいいねも思うように増えない」「世界観を大事にしろと言われるけれど、具体的に何をどう揃えればいいのかわからない」——。Instagramの「見た目」だけを表面的に模倣しても、投稿がバラバラな印象を与えてしまい、かえってブランドの輪郭がぼやけてしまうケースは少なくありません。
京都発のコーヒーブランド「% ARABICA(% アラビカ)」は、まさにこの「世界観の統一」と「一貫した投稿の型」によって、国内外で強いブランド認知を築いてきた事例として知られています。本記事では、公開されている情報をもとに% ARABICAのSNS運用・ブランディングの特徴を分解し、飲食店・カフェに限らず他業種でも応用できるポイントに落とし込みます。なお、確証の持てないフォロワー数やエンゲージメント率などの数値は本記事には記載していません。

% ARABICAとはどんなブランドか
% ARABICAは、Kenneth Shoji氏が2013年に香港で1号店を開業し、2014年に京都・東山にグローバル旗艦店をオープンしたことで知られるスペシャルティコーヒーブランドです。Shoji氏は日本出身でありながら、日本国内での1号店の出店地として、生まれ育った東京ではなく「日本的なブランドをつくるなら京都が最適」という考えのもと京都を選んだことが、複数のメディアで紹介されています。
ブランドの中心にあるのが「See the world through coffee(コーヒーを通して世界を見る)」というモットーと、コーヒーの実(チェリー)を象った「%」のロゴマークです。店舗デザインは白を基調としたミニマルな空間で統一されており、看板や什器、スタッフのユニフォームに至るまで過剰な装飾を削ぎ落とした「引き算のデザイン」が徹底されています。海外メディアの報道では、2025年半ば時点で世界29カ国に230店舗以上を展開しているとされており、京都の一地方ブランドが短期間でグローバルブランドへと成長した稀有な例として取り上げられることが多い企業です。
なぜ飲食・カフェ業態にとってInstagram運用が重要なのか
% ARABICAの事例を読み解く前に、そもそもなぜ飲食業態においてInstagram運用がここまで重視されるのかを、公開データで押さえておきます。
まず、総務省「令和7年版情報通信白書」では、SNS利用率について「2024年にはX、Instagramは全体の半数程度が利用しているほか、50代でも2024年に4割以上が利用するなど、幅広い年齢層に利用が拡大している」ことが示されています。かつては若年層中心とされていたInstagramですが、今や幅広い世代の生活インフラの一部になっているということです。
次に、Meta社は2019年6月7日、日本国内のInstagram月間アクティブアカウント数が3,300万を突破した(2019年3月時点)と公式発表しています。ビジュアル中心のSNSとして、日本国内でも早い段階から高い普及率を持っていたことがわかります。
さらに飲食領域に絞ると、COLLINS株式会社が実施した「飲食店の選び方」調査(2024年11月25日〜2025年1月31日、全国10〜70代300名対象、PR TIMESにて発表)では、飲食店を知るきっかけとして「Instagram」が71.1%で1位となり、次いで「家族・友人からのおすすめ」49.2%、「食べログなどのグルメサイト」41.5%という結果でした。一方で同調査は「SNSで見つけた店舗への来店頻度は月1回未満という回答が7割超」であることも指摘しており、認知獲得とその後の来店・ファン化を両輪で設計する必要性を示唆しています。
これらのデータからわかるのは、Instagramは飲食店の「入口」として圧倒的な影響力を持つ一方、投稿を見ただけで終わらせず、ブランドとして記憶に残す設計が不可欠だということです。% ARABICAの運用は、まさにこの「記憶に残す設計」を突き詰めた事例といえます。
分解①:世界観を「引き算」で統一する
% ARABICAの投稿を見ていくと、色数を極端に絞ったトーンが一貫していることに気づきます。白い店舗、白いカップ、そこに映えるコーヒーの茶色とロゴの黒。背景の情報量を減らすことで、被写体(コーヒーとブランドロゴ)に視線が集中する設計になっています。
これは偶然ではなく、ロゴ自体が「グローバルな顧客に一目で認識してもらう」ことを目的に、シンプルな記号としてデザインされていることの延長線上にあります。国・地域が変わっても、店舗ごとに投稿の色味やトーンがぶれないため、どの国のアカウントを見ても「同じブランドだ」と一瞬で認識できる状態がつくられています。
飲食店やカフェが応用する際のポイントは、「使う色を絞る」「余計な小物や背景を写さない」という引き算の発想です。凝った演出を増やすよりも、削ることでブランドらしさが際立つという逆転の発想が、% ARABICAの世界観づくりの本質です。
分解②:拠点ごとにアカウントを分けつつ、世界観だけは統一する
% ARABICAは京都・東京・ニセコ・インドネシアなど、拠点ごとに個別のInstagramアカウントを運用しています。これは一見すると非効率にも見えますが、それぞれの地域の顧客に向けて、現地の店舗情報やイベント、季節のメニューなどローカルな情報を発信できるという利点があります。
重要なのは、アカウントごとに投稿頻度やコンテンツの粒度は異なっても、「%」ロゴ、白基調のトーン、ミニマルな構図という世界観の核となる部分は一切ぶれていない点です。多店舗展開をしている企業がSNS運用で陥りがちな失敗は、店舗ごとにデザインのルールがバラバラになり、ブランドとしての統一感が失われることです。% ARABICAは「ローカルな発信の自由度」と「グローバルな世界観の統一」を両立させる設計になっています。
複数店舗を持つ飲食チェーンであれば、公式アカウントとは別に店舗アカウントを設ける場合でも、①ロゴの使い方、②使用するフィルター・色味、③NGな背景・構図、の3点だけは全店舗共通のガイドラインとして明文化しておくことが実践的な第一歩になります。
分解③:商品そのものを「絵になる状態」に設計する
% ARABICAの投稿で頻繁に登場するのは、ロゴ入りのカップやタンブラーです。ここで重要なのは、これらの商品自体が「Instagramに投稿したくなる」ことを前提にデザインされている点です。撮影の工夫でカッコよく見せるのではなく、商品そのものが被写体として成立するようにつくられているため、来店客が自発的に写真を撮り、投稿するという循環(UGC=ユーザー生成コンテンツ)が生まれやすくなっています。
これは飲食店に限らず、物販・アパレル・美容など幅広い業種に応用できる考え方です。「どう撮ってもらうか」を後から考えるのではなく、「撮りたくなる状態を商品・空間の設計段階でつくる」という順番が、SNS時代のブランディングでは効果的です。パッケージのロゴの配置、什器の色、看板の文字の大きさなど、来店客のスマートフォンの画角を意識した設計になっているかどうかを見直す価値があります。
分解④:ハッシュタグとタグ付けでコミュニティ化する
% ARABICAは自社アカウントの投稿に「#seetheworldthroughcoffee」というオリジナルハッシュタグを使用しています。これはキャンペーン用の一時的なタグではなく、ブランドのモットーそのものをタグ化したもので、ファンや旅行者が同じタグをつけて投稿することで、ブランドの世界観を共有するコミュニティのような広がりを生み出しています。
飲食店が真似る際は、割引や懸賞と結びついた一過性のキャンペーンハッシュタグだけでなく、「店の理念・こだわりを一言で表すオリジナルタグ」を用意し、レジ横のPOPやメニュー表に小さく記載しておくといった地道な施策が有効です。ハッシュタグは検索の入口であると同時に、ブランドへの共感を可視化する装置でもあります。
明日から試せる実践チェックリスト
ここまでの分解をもとに、自店・自社アカウントですぐに着手できるチェックリストにまとめました。
| チェック項目 | 具体的なアクション | 目安の頻度 |
|---|---|---|
| 色数の統一 | 投稿写真で使う色を2〜3色に絞り、加工アプリのフィルターを固定する | 全投稿で共通ルール化 |
| 背景の引き算 | 撮影時に余計な小物・雑多な背景を画角から外す | 撮影のたびに確認 |
| ロゴ・什器の見直し | カップや看板がそのまま「絵になる」デザインになっているか確認する | 半年に1回の見直し |
| オリジナルハッシュタグ | 理念を一言で表すタグを作り、店頭POPやメニューに記載する | 導入後は継続表示 |
| 投稿の型の統一 | 商品カット・店内カット・人物カットの比率をあらかじめ決めておく | 月次で投稿を振り返る |
| 複数拠点のガイドライン化 | ロゴの使い方・NG構図を1枚のドキュメントにまとめ共有する | 新規出店・新担当者着任時 |
| UGCの拾い上げ | 自社タグ・位置情報タグの投稿を週1回チェックしてリポスト検討 | 週1回 |
いきなり全てを完璧にする必要はありません。まずは「色数の統一」と「背景の引き算」の2点だけでも徹底すると、既存の投稿との違いが見えてくるはずです。
業種が違っても応用できる考え方
% ARABICAの事例から得られる最大の教訓は、「バズる投稿の作り方」を真似るのではなく、「ブランドの核を削ぎ落として一つに絞り、あらゆる接点でそれを繰り返す」という姿勢そのものです。ロゴ、店舗デザイン、商品、ハッシュタグ、複数拠点のアカウント運用——すべてが同じ一つのコンセプトから逆算されているからこそ、どの投稿を見ても「らしさ」が伝わります。
これは高単価の飲食店やアパレルに限った話ではなく、日常使いの飲食店、美容室、士業やBtoB企業であっても、「自社らしさを一言で表すと何か」「その一言を店舗・商品・投稿のどこに落とし込めるか」を棚卸しすることから始められます。unyou(https://unyou.media)では、業種・業態ごとに実際のSNS運用事例を集めたデータベースを提供しており、自社と近い業態がどのような投稿の型・世界観づくりをしているかを具体的に確認することができます。
まとめ
% ARABICAのInstagram運用が支持されている背景には、単なる「おしゃれな写真」ではなく、①色数を絞った世界観の統一、②拠点ごとの自由度とブランドの統一感の両立、③撮りたくなる商品・空間そのものの設計、④理念を可視化するオリジナルハッシュタグという、複数の要素が積み重なった設計があります。総務省の情報通信白書やMeta社の公表データが示すとおりInstagramの利用者層はすでに幅広い世代に広がっており、飲食店の集客における影響力も調査で裏付けられています。一方で認知から来店・ファン化までは別の設計が必要という指摘もあり、目先の「映える投稿」だけでなく、ブランドの核を一つに絞り込み、あらゆる接点で繰り返すという中長期的な視点が欠かせません。まずはチェックリストの中から一つだけでも、自社のアカウントに取り入れてみてください。
同業種の他社がどのようにSNS運用を組み立てているか気になった方は、unyou(https://unyou.media)の[事例データベース](/cases)もあわせてご覧ください。
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unyou は、SNS運用の「成功事例」が集まるデータベースです
Instagram・X・TikTok で実際に成果を出しているアカウントを、業種 × トンマナ × プラットフォームで検索・比較できます。掲載しているのは、世の中に公開されている実在アカウントの分析 600件超。 「自社の業種で何が伸びているのか」を、感覚ではなくデータで確かめられます。
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