BEAMS(ビームス)のInstagram運用を分析|伸びている理由と、真似できるポイント【2026年版】
2026/9/10
「なんとなく投稿している」だけでは伸びない時代に、BEAMSから学べること
「毎週コツコツ投稿しているのに、フォロワーが増えない」「世界観を作りたいけれど、何を軸にすればいいか分からない」——SNS担当者やEC・店舗運営者からは、こうした悩みをよく耳にします。とくにアパレル業界は投稿する商材が多く、ともすれば「新商品のお知らせ」の羅列になりがちで、気づけばフォロワーとの距離が広がってしまうケースも少なくありません。
そんな中、長年にわたり安定してユーザーの支持を集め続けているのが、アパレルセレクトショップ「BEAMS(ビームス)」の公式Instagramです。単発の"バズ施策"ではなく、アカウント設計・投稿フォーマット・組織体制を含めた「仕組み」としてSNSを運用している点に特徴があります。本記事では、公開されている情報をもとにBEAMSのInstagram運用を分解し、自社アカウントに応用できるポイントに落とし込んでいきます。

BEAMSのInstagram運用の全体像:マルチアカウント戦略
BEAMSの公式Instagramアカウント(@beams_official)は2013年9月23日に開設された、国内アパレル企業の中でも早期からのInstagram活用事例です。特筆すべきは、企業全体を代表する公式アカウントだけでなく、店舗単位・レーベル単位・スタッフ単位で150以上ものInstagramアカウントを展開している点です(参考:MarkeZine「常にワクワク・ドキドキを届ける、BEAMSの運用方針」)。
この「マルチアカウント構造」がBEAMSの強みの土台になっています。全国の店舗アカウントがそれぞれの立地・客層に合わせた投稿を行い、スタッフ個人のアカウントがコーディネート提案や人柄を発信することで、企業公式アカウント1つでは出せない「解像度の高い情報」をユーザーに届けられる設計になっているのです。
| アカウントの種類 | 主な発信内容 | 役割 |
|---|---|---|
| 企業公式アカウント(@beams_official) | ブランド全体の世界観、キャンペーン、コラボ情報 | ブランドの顔・入口 |
| 店舗アカウント(例:BEAMS EBISU等) | 店舗の入荷情報、地域イベント、店頭の雰囲気 | 来店動機の創出 |
| レーベル・業態アカウント(例:B:MING by BEAMSなど) | 該当レーベルのテイストに特化した商品訴求 | ターゲット別の深耕 |
| スタッフアカウント | 私物コーディネート、パーソナルな着こなし提案 | 個人への信頼・共感の醸成 |
一つのアカウントに情報を詰め込みすぎず、「誰に何を届けるか」で受け皿を分けている点は、複数店舗・複数ブランドを抱える企業がそのまま参考にできる構造です。
世界観づくりの型:「ワクワク・ドキドキ」を軸にした一貫性
BEAMSの運用姿勢を紹介したMarkeZineの記事タイトルは「常にワクワク・ドキドキを届ける、BEAMSの運用方針」というものでした。ここからも分かる通り、BEAMSは単に商品を並べるのではなく、見る人の感情を動かすことを投稿の軸に据えています。
この「軸」の存在は非常に重要です。SNS運用でフォロワーが定着しない企業の多くは、投稿ごとにトーンや目的がバラバラで、アカウントとしての人格が見えにくくなっています。BEAMSのように「何を届けたいアカウントなのか」を一言で言語化できていると、投稿の企画会議でも「これはBEAMSらしいか」という判断軸が生まれ、結果として世界観の一貫性が保たれやすくなります。
自社で応用する場合は、以下のような問いを社内で言語化してみることをおすすめします。
- このアカウントを見た人に、最終的にどんな感情を持ってほしいか
- 競合の投稿と並んだときに、自社らしさが伝わる要素は何か
- スタッフ・現場発信をどこまで許容し、ブランドトーンとどう両立させるか
投稿フォーマットの使い分け:フィード・ストーリーズ・リール
BEAMSは投稿フォーマットごとに役割を分けて運用していることも読み取れます。フィード投稿ではコーディネート写真や商品の世界観訴求を中心にしつつ、ストーリーズでは入荷速報やセール情報などの「即時性の高い情報」を届け、リールでは動きのあるスタイリング提案やハウツー系コンテンツで新規層へのリーチを狙う、という役割分担です。
とくに近年力を入れているのがリール動画です。日本ネット経済新聞の報道によれば、BEAMSは「B:MING by BEAMS」のInstagramアカウントでリール運用を強化し、外部パートナーのFinTの支援のもとで平均動画再生回数が1万回を超える成果を上げています(出典:日本ネット経済新聞「BEAMS、インスタグラムのリール運用に注力 平均動画再生回数1万超、FinTが運用を支援」)。
リール動画のPDCA:伸びる動画の"型"を検証する運用体制
MarkeZineの取材記事「ビームスのリール活用から学ぶ、再生数増加に必要なPDCAサイクルの回し方」(2022年11月29日)では、BEAMS担当者・広告代理店・制作パートナーの三者が、リール動画の再生数を伸ばすためにPDCAサイクルを回してきた経緯が紹介されています。同記事では、「簡単!すぐできる!シャルのおしゃれアレンジ」というハウツー系のリール動画が3.7万回再生を記録するなど、特定の投稿が突出した反応を得たことが報告されています。
ここから読み取れるのは、BEAMSが「なんとなく動画を作って投稿する」のではなく、①仮説を立てて動画を制作する→②再生数やコメントなどの反応を分析する→③次の企画に反映する、というサイクルを継続的に回している点です。単発のクリエイティブの良し悪しだけでなく、「どのフォーマット・尺・テーマが自社アカウントで反応が良いのか」を社内外のチームでナレッジ化している姿勢は、投稿数を追うだけになりがちな企業アカウントが見習うべきポイントです。
スタッフ発信とコミュニケーション施策:企業アカウントに「人」を宿す
BEAMSのもう一つの特徴は、スタッフ個人による発信を積極的に許容・活用している点です。各店舗のスタッフがそれぞれのアカウントで私物コーディネートを日常的に投稿し、フォロワーとの間でコメントのやり取りが生まれています。企業公式アカウントが「ブランドの正装」だとすれば、スタッフアカウントは「顧客との距離が近い普段着」として機能し、両者が補完関係にあるのがBEAMSの構造です。
アパレル・美容・飲食など「人」が接客の要になる業種では、スタッフの個性がそのままアカウントの魅力になりやすい傾向があります。企業アカウント単体で世界観を作り込むよりも、複数のスタッフ・店舗アカウントに発信のハブを分散させたほうが、投稿本数・視点の多様性・親近感のいずれの面でも有利に働きやすいという点は、BEAMSの事例から学べる重要な示唆です。
数字で見るSNSマーケティングの重要性
BEAMSのような取り組みが「時代の流れに合っている」ことは、公的機関やプラットフォーム側が公表しているデータからも裏付けられます。
まず、総務省「令和7年版情報通信白書」では、SNSの利用が全世代に拡大していることが報告されています。代表例として挙げられているLINEの利用率は2014年の55.1%から2024年には94.9%まで上昇し、60代についても2014年の11.3%から2024年には91.1%まで伸びています(出典:総務省「令和7年版情報通信白書」)。SNSはもはや一部の若年層だけのツールではなく、幅広い世代の生活インフラになっていることが分かります。
また、Instagramの国内利用についても、Metaが2023年11月開催の「Meta Marketing Summit Japan 2023」において、国内の月間アクティブアカウント数が6,600万以上に達していると公表しています。これは2019年6月に公式発表された3,300万から、4年間で倍以上に拡大した計算になります(出典:Meta Marketing Summit Japan 2023発表資料、Metaニュースルーム「Instagramの国内月間アクティブアカウント数が3300万を突破」)。
こうしたデータからも、企業がInstagramを「一部の販促チャネル」ではなく、顧客接点の中核と位置づける必然性が高まっていることが読み取れます。BEAMSが早期からアカウントを開設し、店舗・スタッフを巻き込んだ体制を構築してきたことは、この市場変化を先取りした動きだったと言えるでしょう。
明日から試せる実践チェックリスト
BEAMSの事例から抽出できるポイントを、自社アカウントですぐに着手できる粒度に落とし込みました。
- アカウントの目的を一言で言語化する:「誰に」「どんな感情を届けたいか」を1文で書き出し、投稿企画のたびに立ち返れるようにする
- アカウント構造を棚卸しする:企業公式・店舗・スタッフ・商品ラインなど、今あるアカウント(または発信者)を洗い出し、それぞれの役割が重複していないか確認する
- フォーマットごとの役割を決める:フィードは世界観訴求、ストーリーズは即時性の高い情報、リールは新規層へのリーチ、といった住み分けを社内で共有する
- リール企画に仮説を持たせる:投稿前に「なぜこのテーマ・尺・構成にしたか」を一言メモしておき、投稿後の再生数・保存数と突き合わせて振り返る
- 振り返りの頻度を決める:週次または月次で「伸びた投稿・伸びなかった投稿」を並べ、共通点を言語化するミーティングを設ける
- 現場発信の余地を作る:スタッフや店舗単位での発信を禁止するのではなく、最低限のガイドラインを設けたうえで裁量を持たせる
- 数字は「比較」のために見る:単月の再生数やフォロワー数の絶対値だけでなく、自社アカウント内での前月比・投稿タイプ別の比較で判断する
いきなり150以上のアカウントを運用するのは現実的ではありませんが、「役割ごとに発信主体を分ける」という考え方自体は、店舗数が少ない企業でも部分的に取り入れることができます。
まとめ
BEAMSのInstagram運用が長期にわたり支持されている背景には、単発の話題づくりではなく、①マルチアカウントによる役割分担、②「ワクワク・ドキドキ」という一貫した世界観、③リール動画を中心としたPDCAの継続、④スタッフを巻き込んだ現場発信という、複数の仕組みが積み重なっていることが読み取れます。総務省やMetaが公表するデータが示す通り、SNSはすでに幅広い世代の生活インフラとなっており、企業がアカウント運用を「片手間の広報活動」から「継続的な顧客接点づくりの仕組み」へと引き上げる必要性は今後も高まっていくと考えられます。自社アカウントの目的や体制を見直す際は、まず本記事のチェックリストから、着手できるものを1つ選んで試してみてください。
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