ASICS Japan|アシックスジャパンのInstagram運用を分析|伸びている理由と、真似できるポイント【2026年版】
2026/9/25
SNS運用チーム/マーケター向けに、ASICS Japanの運用分析コラムを作成します。実在の公開統計3件(総務省調査、Facebook Japan公式発表、ホットリンク調査=PR TIMES掲載)を出典明記の上で使用し、フォロワー数・エンゲージメント率などの未確証数値は記載しません。
スポーツブランドのSNS担当者から、こんな声をよく聞きます。「新作シューズの写真を並べているだけなのに、なぜかブランドのアカウントは伸び悩む」「うちも世界観を作りたいけれど、何を真似すればいいのか分からない」。特にアパレル・スポーツ用品業界は、商品訴求とブランドの世界観づくりの両立が難しく、投稿のたびに「これは宣伝っぽすぎないか」「もっとフォロワーが自分ごと化できる発信にできないか」と悩む担当者が多い領域です。
そんな中で、日本のスポーツブランドのInstagram運用を語るうえで頻繁に参照されるのが「ASICS Japan|アシックスジャパン」の公式アカウント(@asics_japan)です。本記事では、公開されている情報をもとにこのアカウントの発信の型・世界観のつくり方・エンゲージメント施策を分解し、企業・店舗アカウントの運用担当者が明日から応用できるポイントに落とし込みます。なお、確証の取れないフォロワー数やエンゲージメント率などの数値は本記事には記載しません。
ASICS Japanはどんなアカウントか
ASICSは兵庫県神戸市を発祥とする日本のスポーツブランドで、社名はラテン語の格言「Anima Sana In Corpore Sano(健全な身体に健全な精神が宿る)」の頭文字に由来します。この「身体を動かすことが心を健やかにする」という創業哲学は、グローバルで展開しているブランドキャンペーン「I MOVE ME」にも一貫して反映されており、単なる機能訴求ではなく「動くことの価値」を伝えるブランディングが軸になっています。
ASICS公式サイトのソーシャルメディア一覧によると、ASICSはメインの公式アカウントに加えて、「ASICS KIDS」「ASICS Basketball JP」といったカテゴリ特化型のInstagramアカウントも運用しており、目的別にアカウントを分けるマルチアカウント戦略をとっていることが確認できます。ランニングシューズという幅広い顧客層を持つカテゴリを、ひとつのアカウントに情報を詰め込みすぎず、ターゲット別に発信を最適化している点は、複数の商品ラインやターゲット層を抱える企業アカウントにとって参考になる構造です。

なぜ「伸びている」と評価されるのか
ASICS Japanの運用が業界内で評価されている理由は、大きく3つの軸に整理できます。
1つ目は「ブランド哲学と商品訴求のバランス」です。新作シューズの機能紹介だけでなく、「なぜ走るのか」「動くことがどう日常を変えるのか」というメッセージを織り交ぜることで、購買意欲が高くないフォロワーにも興味を持たれる余地を残しています。
2つ目は「コミュニティとの接続」です。ランニングは個人競技でありながら、大会や練習会といったコミュニティ性の強いスポーツでもあります。マラソン大会や市民ランニングイベントとの連動を意識した発信は、フォロワーを「見る人」から「参加したい人」に変える導線になります。
3つ目は「セグメント別アカウント運用によるノイズの削減」です。前述の通り、キッズ向け・バスケットボール向けなど専門アカウントを分けることで、メインアカウントのフィードが「誰に向けた発信か分からない」状態になるのを防いでいます。
投稿の"型"を分解する
公開されている投稿傾向を踏まえると、ASICS Japanのようなスポーツブランドアカウントの投稿は、おおむね次のような型に分類できます。これはASICSに限らず、伸びているスポーツ・アパレル系アカウントに共通して見られるパターンでもあります。
| 投稿の型 | 目的 | ポイント |
|---|---|---|
| プロダクト紹介 | 新作・定番モデルの機能訴求 | スペック羅列で終わらせず、着用シーンや走る目的とセットで見せる |
| アスリート・契約選手発信 | ブランドの信頼性向上 | 大会結果だけでなく、選手のトレーニングや人柄が見える投稿を混ぜる |
| イベント・大会連動 | コミュニティとの接点づくり | 開催前の告知だけでなく、当日・事後のレポートまで一連で発信する |
| ブランドメッセージ | 世界観・哲学の伝達 | 「I MOVE ME」のような統一されたメッセージ軸を継続的に使う |
| UGC・ユーザー投稿の紹介 | 共感・自分ごと化の促進 | ユーザーの投稿を許諾のうえリポストし、ブランドと生活者の距離を縮める |
| Reels(ショート動画) | 新規層へのリーチ拡大 | フォーム解説やトレーニングTipsなど、保存・シェアされやすい実用コンテンツにする |
この型のポイントは、どれか一つに偏らせず「機能を伝える投稿」と「感情・世界観を伝える投稿」を交互に配置していることです。プロダクト紹介ばかりが続くフィードは広告色が強くなり、フォロワーの興味が離れやすくなります。
世界観のつくり方
世界観づくりで重要なのは、ビジュアルの統一感とメッセージの一貫性の両方です。ASICS Japanのようなブランドアカウントでは、シューズ単体のプロダクト写真であっても、光の当て方や余白の取り方、色味のトーンが揃えられていることが多く、フィード全体を俯瞰したときに「同じブランドの発信」だと直感的に伝わる設計になっています。
もう一つ重要なのが、キャッチコピーやハッシュタグを含めたメッセージの一貫性です。「I MOVE ME」のように、企業として一貫して使い続けるブランドメッセージを持つことで、単発のキャンペーンで終わらず、フォロワーの記憶に蓄積していく発信が可能になります。企業アカウント運用でありがちな失敗は、キャンペーンごとにトンマナやメッセージがバラバラになり、アカウント全体としての一貫した印象が残らないことです。
エンゲージメントを生む仕掛け
エンゲージメントを高めるうえで参考になるのが、UGC(ユーザー生成コンテンツ)の活用です。株式会社ホットリンクの調査(PR TIMES掲載)によると、Instagram利用者の約46%がInstagramをきっかけに商品購入や来店の経験があり、購買の参考にする投稿として最も多く挙げられたのは「友だち・知り合いの投稿」でした。企業公式アカウントの発信そのものよりも、身近な人やユーザーのリアルな投稿の方が購買の後押しになりやすいというこのデータは、ブランドアカウントがユーザー投稿を積極的に紹介する意義を裏付けています。
ランニングシューズのようなカテゴリでは、実際に履いて走った人の投稿(「今日のラン」「新しいシューズで完走した」といった投稿)が自然発生的に生まれやすく、これを公式がリポスト・紹介することで、フォロワーに「自分の投稿も紹介されるかもしれない」という参加のモチベーションを生み出せます。
また、Reels(ショート動画)はフォロワー以外の新規層にリーチしやすいフォーマットであり、フォームのポイント解説やトレーニングTipsなど「保存したくなる」実用系コンテンツを混ぜることで、フィード投稿とは異なる層の獲得にもつながります。
他社・店舗が明日から真似できる実践チェックリスト
ここまでの分析を踏まえ、業種・規模を問わず応用できるチェックリストに落とし込みます。
- アカウントの発信軸となる「一貫したメッセージ・世界観」を一文で言語化できているか
- 直近10投稿を並べたとき、プロダクト訴求ばかりに偏っていないか(機能・世界観・コミュニティ系投稿の比率を確認する)
- ビジュアルのトーン(色味・余白・フォント)が統一されているか、フィードを俯瞰して確認する
- ユーザーがブランドタグやハッシュタグをつけて投稿した写真・動画を、月に一定数リポスト・紹介する仕組みがあるか
- 自社が関わるイベント・季節性のあるタイミング(新生活、大会シーズンなど)と投稿計画を連動できているか
- フィード投稿だけでなく、Reelsなど新規リーチを狙えるフォーマットを併用できているか
- 複数の商品ライン・ターゲット層を抱える場合、サブアカウントやハイライト機能でセグメント分けを検討したか
- キャンペーンごとにトンマナがバラバラになっていないか、過去投稿と並べて確認する習慣があるか
これらは特別な予算がなくても、既存の投稿運用フローの中で見直せる項目です。まずは自社アカウントの直近投稿をこのチェックリストに当てはめて棚卸しすることから始めるとよいでしょう。
運用体制で意識したいポイント
ASICS Japanのようにメインアカウントとカテゴリ特化アカウントを併用する体制は、一見すると大企業だからこそ可能な施策に見えますが、本質は「誰に何を届けたいアカウントなのか」を明確に切り分けている点にあります。中小企業や店舗アカウントであっても、たとえば「商品訴求用のメインアカウント」と「スタッフの日常や接客エピソードを届けるサブアカウント」のように役割を分けることで、同様の考え方を小規模に応用することは可能です。
また、社会全体のSNS利用状況を踏まえた発信設計も欠かせません。総務省「令和6年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」によると、全年代におけるInstagramの利用率は52.6%、LINEが91.1%、X(旧Twitter)が43.3%、YouTubeが80.8%となっており、Instagramは幅広い年代に浸透した主要SNSの一つに位置づけられています。あわせて、Instagramが日本国内で急速に普及し始めた時期には、Facebook Japanが2019年6月の「Instagram Day Tokyo」において、国内の月間アクティブアカウント数が3,300万に達したことを公式発表しており、ここ数年で企業のマーケティングチャネルとして定着してきた経緯があります。こうした背景を踏まえると、スポーツ用品のようにライフスタイル訴求と相性の良いカテゴリでは、Instagramを軸にした世界観づくりへの投資対効果が見込みやすいと言えます。
同じスポーツ・ライフスタイル業界の他社が実際にどのような投稿設計・運用体制を敷いているかは、SNS運用事例データベース「unyou」の事例一覧でも複数紹介されています。業種やSNSの種類で絞り込みながら、自社に近いアカウントの型を探してみることをおすすめします。
まとめ
ASICS Japanの運用から読み取れるのは、特別な裏技ではなく「ブランド哲学の言語化」「プロダクトと世界観のバランス」「コミュニティ・UGCとの接続」「ターゲット別のアカウント設計」という、地道だが再現性のある基本の積み重ねです。総務省の調査が示す通りInstagramは既に幅広い年代に浸透したチャネルであり、ホットリンクの調査が示す通りユーザーは企業発信そのものよりも身近な人のリアルな投稿を参考にする傾向があります。だからこそ、自社の商品を主役にしつつも、ユーザーやコミュニティを巻き込む発信設計にできるかどうかが、これからのブランドアカウント運用の分かれ目になります。まずは本記事のチェックリストで自社アカウントを棚卸しし、他業種・他社の事例も参考にしながら、無理のない範囲で一つずつ改善していきましょう。
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unyou は、SNS運用の「成功事例」が集まるデータベースです
Instagram・X・TikTok で実際に成果を出しているアカウントを、業種 × トンマナ × プラットフォームで検索・比較できます。掲載しているのは、世の中に公開されている実在アカウントの分析 600件超。 「自社の業種で何が伸びているのか」を、感覚ではなくデータで確かめられます。
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