ABEMAの公式Instagramを見て、「同じようにバズる投稿を作りたいけれど、何を真似すればいいのか分からない」と感じたことはないでしょうか。恋愛リアリティショーの名場面や、アニメ・ドラマの名言カード、テンポの良いショート動画。どれも「面白い」で終わらず、思わず保存したり、フォロワーに共有したくなる作り込みがされています。しかし「あれはメガコンテンツを持つ大企業だからできること」と考えて、自社アカウントの運用に落とし込めずにいる担当者は少なくありません。
実際には、ABEMAのInstagram運用には、コンテンツの本数や予算に関係なく、他業種・他規模のアカウントでも取り入れられる「型」がいくつも存在します。本記事では、ABEMAの公開情報とInstagram上の投稿傾向を分析し、支持されている理由と、明日からの運用に応用できる具体的なポイントを整理します。数値については、確証のない独自の推計値は使わず、公的機関・SNS公式が公表している統計のみを引用します。
ABEMAとはどんなアカウントか|まず基本情報を整理する
ABEMA(旧AbemaTV)は、サイバーエージェントと電通グループが運営する無料の総合インターネットテレビサービスです。ニュース、アニメ、ドラマ、恋愛リアリティショー、格闘技・スポーツ中継など、ジャンルの異なる多数のチャンネルを抱えており、公式Instagramアカウントもこの「コンテンツの幅広さ」をそのまま強みに変えているのが特徴です。
一つのブランドアカウントでありながら、投稿を見ると恋愛リアリティショー由来の「共感・エモさ」訴求と、アニメ・ドラマ由来の「推し活・ファン心理」訴求、ニュース・スポーツ由来の「速報性」訴求が併存しています。本来であれば運用が難しくなるはずのマルチジャンル構成を、投稿フォーマットとトーンの設計によって一つの世界観にまとめているところに、企業アカウント運用者が学べるポイントが多くあります。

なぜABEMAのInstagramが支持されているのか|3つの理由
ABEMAの投稿が反応を得やすい背景には、大きく3つの要因が考えられます。
1つ目は「本編を見ていない人でも楽しめる編集」です。 恋愛リアリティショーの核心的なシーンや、ドラマ・アニメの名言だけを切り出し、字幕(テロップ)を付けて音声なしでも内容が伝わる構成にしています。これにより、本編視聴者だけでなく、たまたまタイムラインで見かけたライトな層にもリーチできます。
2つ目は「続きが気になる」構成です。 投稿単体で完結させず、「本編はABEMAで」「続きはハイライトから」といった導線を組み込み、Instagram上での満足だけで終わらせない設計になっています。
3つ目は「コメント欄をコンテンツの一部として扱っている」点です。 名言や名シーンの投稿では、視聴者の感情が動いた直後にコメントできるような余白のある投稿文にしており、コメント欄自体が「盛り上がりの可視化」として機能しています。
投稿の"型"を分解する|ABEMAのコンテンツパターン
ABEMAの投稿を継続的に観察すると、いくつかの型に分類できます。ゼロから毎回企画を考えるのではなく、型をローテーションさせることで、更新頻度と質を両立させているのが特徴です。
- 名言・名シーン切り出し型:ドラマやアニメ、リアリティショーのワンシーンをテロップ付きの短尺動画やカード画像で紹介する
- 速報・トレンド連動型:放送直後の話題シーンやニュースの反応をタイムリーに投稿する
- キャスト・出演者フォーカス型:出演者の表情やコメントにフォーカスし、ファン心理に寄り添う
- 裏側・オフショット型:本編では見られない撮影の裏側や制作陣のコメントを差し込む
- 視聴導線型:「本編はABEMAで」「配信中」といった一言を添えて、SNSからサービスへの遷移を促す
これらはいずれも、新しい企画力よりも「既存コンテンツの切り出し方」の工夫に依存している点が重要です。つまり、動画制作のリソースが限られる企業でも、自社の既存資産(商品紹介、接客の様子、お客様の声など)を同じ型で切り出すことで再現可能です。
世界観のつくり方|ブランドトーンの一貫性
ジャンルの異なるコンテンツを扱いながらも、ABEMAのInstagramには一貫したトーンがあります。具体的には、以下のような要素が統一されています。
- テロップのフォントやカラーの使い方が投稿ジャンルをまたいで共通している
- キャプションの文体が「実況・共感型」の口語表現で統一されている
- ハッシュタグを大量に付けるのではなく、番組名・企画名など識別性の高いものに絞っている
- ハイライト機能を番組・ジャンル別に整理し、プロフィールを訪れたユーザーが迷わない設計にしている
複数ジャンルを持つ企業やブランドほど、「投稿ごとに世界観が変わってしまう」という悩みを抱えがちです。ABEMAの事例から学べるのは、コンテンツの中身が多様でも、フォーマット(テロップの見せ方・キャプションの文体・ハイライトの整理)を統一すれば、アカウント全体として一つの人格を保てるという点です。
エンゲージメントを生む施策|コメント・保存・シェアの設計
Instagramのアルゴリズムにおいて、いいね数だけでなく「保存」「シェア」「コメント」といった行動が評価されやすいことは、多くの運用者が意識している部分です。ABEMAの投稿は、この3つの行動を誘発する仕掛けが投稿文や構成に組み込まれています。
- 保存を誘発する:名言・名シーンのように「後で見返したい」と感じさせるコンテンツを多用する
- シェアを誘発する:「わかる」「共感した」と感じた瞬間に友人に送りたくなるような、感情の振れ幅が大きい場面を切り出す
- コメントを誘発する:投稿文で問いかけを行い、視聴者が感情や意見を言いやすい余白を残す
こうした設計は、業種を問わず応用できます。飲食店であれば「これ、わかる人にしかわからない裏メニュー」、アパレルであれば「着回し、どっちが好き?」といった問いかけ一つで、同様の反応を誘発できます。
表で見るABEMAの投稿タイプと他業種への応用
投稿タイプごとの狙いと、他業種で置き換えられる具体例を整理すると次のようになります。
| 投稿タイプ | ABEMAでの狙い | 他業種での応用例 |
|---|---|---|
| 名言・名シーン切り出し | 本編未視聴層への訴求、保存喚起 | お客様の声・レビューの一言を切り出してカード化 |
| 速報・トレンド連動 | 話題性の獲得、検索・発見タブでの露出 | 新商品入荷・季節イベントを即日投稿 |
| 出演者・キャストフォーカス | ファン心理への訴求、コメント誘発 | スタッフ・職人にフォーカスした人柄紹介 |
| 裏側・オフショット | 親近感の醸成、ブランドの人格づけ | 製造工程・仕込み風景・開発秘話の公開 |
| 視聴導線 | 自社サービスへの遷移 | 予約ページ・ECサイトへの誘導 |
明日から試せる実践チェックリスト
ABEMAの運用から抽出できるポイントを、実務でそのまま使えるチェックリストにまとめました。
- 既存の写真・動画素材から「感情が動いた瞬間」を1本だけ切り出してみる
- その素材にテロップを付け、音声なしでも内容が伝わるか確認する
- キャプションの文体を1つに決め、今後の投稿すべてに統一して使う
- ハッシュタグを整理し、識別性の高いもの3〜5個に絞る
- ハイライトをジャンル・企画別に整理し、プロフィールから迷わず遷移できるようにする
- 投稿文の最後に、コメントを誘発する一言(問いかけ)を必ず入れる
- 自社サイトやECへの導線(プロフィールリンク・ストーリーズのリンクスタンプなど)を各投稿に紐づける
- 週内の投稿を「名言・名シーン型」「速報型」「裏側型」「導線型」などの型でローテーションし、毎回ゼロから企画を考えない仕組みにする
SNS動画コンテンツが重視される背景|公的データから見る現状
こうした動画・ショート動画を軸にした運用が広がっている背景には、SNS利用そのものの拡大があります。
- 総務省「令和6年版 情報通信白書」では、SNSの利用が特定の年代に限らず幅広い世代に定着しており、動画を介したコミュニケーションの比重が高まっていることが示されています。
- Meta(旧Facebook Japan)は2019年6月時点で、Instagramの国内月間アクティブアカウント数が3,300万を超えたと公表しています。この数字は現在も国内のSNSマーケティング領域で基礎的な参照値として引用され続けています。
- Instagramの公式ビジネス情報(Meta発表)では、全世界の月間アクティブアカウント数が20億を超える規模であることが示されており、企業にとって無視できないリーチ規模を持つプラットフォームであることがわかります。
これらのデータからも、動画を軸にした短尺コンテンツでの発見・保存・共有を狙う運用アプローチは、業種を問わず有効性の高い戦略だと考えられます。ABEMAのような大規模なコンテンツホルダーだけでなく、限られたリソースの企業・店舗であっても、素材の切り出し方とフォーマットの統一によって同じ原理を活用できます。
まとめ
ABEMAのInstagram運用が支持されている理由は、豊富なコンテンツ量そのものではなく、「本編未視聴者にも伝わる編集」「続きが気になる導線設計」「コメント欄まで含めたコンテンツ設計」という、フォーマット面の工夫に集約されます。テロップの統一、キャプションの文体統一、ハイライトの整理、問いかけによるコメント誘発など、どれも既存の素材と運用体制のままで取り入れられる要素です。まずは1つの投稿タイプから型を決め、ローテーションで運用を続けてみることをおすすめします。
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