東京ディズニーリゾートのInstagram運用を分析|伸びている理由と、真似できるポイント【2026年版】
2026/9/2

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「毎日投稿しているのに、フォロワーが増えない」「かわいい写真を載せているつもりなのに、保存やシェアにつながらない」——SNS担当者からよく聞く悩みです。特に観光・宿泊・飲食・小売など「体験」を売る業種では、投稿のクオリティを上げても反応が伸びず、何をどう改善すればいいのか分からなくなりがちです。
そんなときに参考になるのが、日本国内で長年にわたり安定した支持を集め続けている「東京ディズニーリゾート」の公式Instagram運用です。派手なバズを狙っているわけではないのに、なぜ多くのユーザーに愛され、保存・シェアされる投稿を継続できているのか。この記事では、公開されている情報をもとに運用の型を分解し、企業・店舗アカウントの担当者が明日から応用できるポイントに落とし込みます。
なぜ今、SNS運用の「型」を学ぶ必要があるのか
まず前提として、Instagramというプラットフォームの重みを押さえておきましょう。総務省が公表した「令和6年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」によると、Instagramの全年代における利用率は52.6%に達し、10代・20代では70%以上という高い水準になっています。年代が上がるほど利用率は緩やかに下がるものの、幅広い世代の生活導線に組み込まれているSNSであることが分かります。
さらに、プラットフォーム側の発表も日本市場の伸びを裏付けています。Meta社(旧Facebook Japan)は2019年6月、国内のInstagram月間アクティブアカウント数が3,300万を突破したと発表しました(2019年3月時点)。そこからさらに時間が経ち、2023年11月に開催された「Meta Marketing Summit Japan 2023」では、国内の月間アクティブ利用者数が6,600万人に達したと報告されています。わずか4年ほどで倍増した計算になり、Instagramが「一部の若年層のもの」から「生活インフラの一つ」へと変化してきたことが読み取れます。
この土壌の上で、旅行・レジャー業界のアカウントがどう振る舞うべきかを考える材料として、東京ディズニーリゾートの運用は非常に示唆に富んでいます。
東京ディズニーリゾートのInstagram運用、全体像を押さえる
東京ディズニーリゾート公式サイトの発表によると、公式Instagramアカウント「tokyodisneyresort_official」は2015年8月20日に開設され、月15回程度のペースで投稿が行われています。特筆すべきは「毎日更新」を目指す量産型の運用ではなく、一定のペースを保ちながら質を担保する運用スタイルを取っている点です。
さらに東京ディズニーリゾートは、メインアカウント一本に情報を詰め込むのではなく、目的別に複数のアカウントを展開しています。公式サイトやアカウント一覧から確認できる主なものは以下の通りです。
- tokyodisneyresort_official:パーク全体の世界観、キャラクター、季節イベントなどを発信するメインアカウント
- tokyodisneyresort.menu:パークで販売される新作・期間限定メニューなど「食」に特化した専用アカウント
- tokyodisneyresort.goods:グッズの新商品や楽しみ方を紹介する専用アカウント
- disneystudiojp:ディズニー・スタジオ(グッズ制作拠点)発の商品情報を発信するアカウント
この「メイン+テーマ別サブアカウント」という構成が、東京ディズニーリゾートのSNS戦略を理解するうえで重要な鍵になります。1つのアカウントであらゆる情報を発信すると、フィードの世界観が散らかり、フォローする理由が曖昧になります。テーマごとにアカウントを分けることで、ユーザーは「自分が今欲しい情報」だけをフォローでき、アカウント側も投稿の文脈を統一しやすくなるのです。
投稿の「型」を分解する:世界観の作り方
東京ディズニーリゾートの投稿を継続的に見ていくと、いくつかの明確な「型」が見えてきます。
1. パークの日常を切り取る写真・ショートムービー 新商品の告知だけでなく、園内の風景、キャラクターの何気ない仕草、季節の装飾など、パークの世界観そのものを伝える投稿が中心です。宣伝色を前面に出すのではなく、「その場にいるような気分」を届けることに主眼が置かれています。
2. 季節・イベントに連動したテーマ性 ハロウィン、クリスマス、春の新パレードなど、季節ごとのテーマに沿って投稿のトーン&マナーが一貫して変化します。フィード全体を通して見たときに「今どの季節か」が一目で分かる状態を作ることで、ユーザーが定期的にアカウントを訪れる理由を生み出しています。
3. ゲスト目線に寄り添うキャプション キャプションは長文の説明ではなく、体験や感情に寄り添う短い言葉でまとめられている投稿が目立ちます。情報を詰め込みすぎず、写真そのものが主役になるよう余白を残しているのが特徴です。
これらは高価な機材やプロのカメラマンがいなくても、意識次第で他業種のアカウントにも応用できる考え方です。重要なのは「何を売るか」ではなく「その場でどんな時間を過ごせるか」を先に見せることです。
エンゲージメントを生む仕組み:UGCとハッシュタグ活用
東京ディズニーリゾートの運用でもう一つ注目すべきなのが、ユーザー投稿(UGC:User Generated Content)を巻き込む設計です。公式サイトの発表によれば、ゲストが東京ディズニーリゾートで撮影した写真に「#tokyodisneyresort」などの指定ハッシュタグを付けたり、位置情報として「TOKYO DISNEY RESORT」を追加したりすると、公式アカウントへの掲載を依頼されることがあるとされています。
これは単なる「いい投稿を見つけて紹介する」という受動的な仕組みにとどまりません。ユーザー側からすると「自分の投稿が公式に取り上げられるかもしれない」という期待が生まれ、来園時に指定ハッシュタグを付けて投稿する行動が自然と促進されます。結果として、公式アカウントが直接発信する情報量以上に、ハッシュタグを通じた口コミ的な情報流通が生まれる構造になっているのです。
この「公式が声をかけるかもしれない」という仕掛けは、企業アカウントが陥りがちな「発信者と受信者が完全に分離した一方通行のSNS運用」から抜け出すための重要なヒントになります。
表で見る:東京ディズニーリゾートのアカウント運用の役割分担
複数アカウントを展開する際の考え方を整理すると、以下のように役割分担が明確になっていることが分かります。
| アカウント/要素 | 主な役割 | 発信内容の中心 |
|---|---|---|
| tokyodisneyresort_official | ブランド・世界観の発信 | パークの風景、キャラクター、季節イベント |
| tokyodisneyresort.menu | 購買・来店動機の喚起 | 新作・期間限定メニュー |
| tokyodisneyresort.goods | 購買・来店動機の喚起 | 新商品グッズ、楽しみ方の提案 |
| 指定ハッシュタグ(#tokyodisneyresort 等) | UGC(口コミ)の可視化 | ゲスト自身が投稿する体験写真 |
このように「世界観を伝えるアカウント」と「購買行動に直結する情報を伝えるアカウント」を分けることで、フォロワーは目的に応じてアカウントを選んで見ることができ、投稿ごとの反応も測定しやすくなります。中小規模の店舗やブランドがすべてを一つのアカウントで運用している場合、この考え方は「投稿カテゴリーごとにハイライトやハッシュタグを整理する」といった形で部分的に取り入れることが可能です。
他業種でも応用できるポイント:明日から試せるチェックリスト
大企業だからできる話、と思われがちですが、東京ディズニーリゾートの運用から抽出できる考え方の多くは、予算規模に関係なく実践可能です。以下のチェックリストをもとに、自社アカウントを見直してみてください。
- 直近10投稿を並べたとき、フィード全体で「何屋か」「どんな時間を提供する場所か」が一目で伝わるか
- 商品・サービスの説明よりも先に、体験や雰囲気が伝わるカットを使えているか
- キャプションで情報を詰め込みすぎず、写真・動画に語らせる余白を残せているか
- 季節やイベントに合わせて、投稿のトーンや装飾を変化させる仕組みがあるか
- 自社専用のハッシュタグを決め、プロフィール欄や投稿で継続的に案内しているか
- ユーザーが指定ハッシュタグを付けて投稿したくなる「取り上げられるかもしれない」という期待を作れているか
- 情報のカテゴリーが複数ある場合、ハイライトやサブアカウント、固定投稿で整理できているか
- 投稿頻度を「毎日」ではなく「継続できるペース」で設定できているか
特に最後の項目は見落とされがちです。東京ディズニーリゾートの公式アカウントも月15回程度というペースであり、量よりも一貫したクオリティとテーマ性を優先していることがうかがえます。無理な投稿頻度で疲弊してクオリティが下がるよりも、続けられるペースで世界観を積み上げるほうが、中長期的にはアカウントの信頼につながります。
運用効果はどう測る?数字を追う前に押さえたい視点
SNS担当者はどうしても「フォロワー数」や「いいね数」といった目に見える数字に注目しがちですが、業界調査でもその先の行動が重視され始めています。PR TIMESに掲載された2025年のInstagram運用実態調査では、企業がInstagram運用を始めた理由として最も多かったのは「商品・サービスの認知度を高めたい」であり、単なるフォロワー獲得ではなく、その先の購買行動や継続的な関係構築を目的とする企業が多いことが示されています。同調査では、Instagramを通じてポジティブな印象の変化を経験したユーザーの多くが実際の購入行動に至っているとも報告されており、SNS運用を「認知」で終わらせず「行動」につなげる設計の重要性が浮き彫りになっています。
東京ディズニーリゾートのアカウント設計も、これと重なります。世界観を伝えるアカウントで期待感を醸成し、メニューやグッズの専用アカウントで具体的な購買・来園のきっかけを作るという二段構えは、まさに「認知から行動へ」の橋渡しを意識した設計だと言えるでしょう。自社で数字を追う際も、フォロワー数の増減だけでなく、投稿からどんな行動(来店、購入、予約、公式サイト訪問など)につながっているかを合わせて見ていくことが重要です。
中小規模のアカウントが陥りやすい落とし穴
ここまで紹介した型を参考にする際、注意したい点もあります。東京ディズニーリゾートのように複数アカウントを展開できるのは、コンテンツを継続的に供給できる体制があるからこそです。リソースが限られる店舗や中小企業がいきなり同じ構成を真似ると、どのアカウントも更新が止まり、かえって印象を悪くしてしまうリスクがあります。
まずは1つのアカウントの中で「世界観を伝える投稿」と「購買につながる投稿」の比率を意識的に調整するところから始め、コンテンツ量が安定して増えてきた段階で、ハイライト機能やサブアカウントによる整理を検討するのが現実的なステップです。急いで型だけを真似るのではなく、自社が継続できる運用体制を先に固めることが、遠回りのようで最も確実な近道になります。
まとめ
東京ディズニーリゾートのInstagram運用が長く支持されている背景には、派手な施策ではなく、地道な型の積み重ねがあります。パークの世界観を丁寧に伝えるメインアカウントと、購買行動に直結するテーマ別アカウントを分け、さらに指定ハッシュタグを通じてゲスト自身の投稿(UGC)を巻き込む仕組みを作ることで、発信者と受信者が一体となった情報流通を生み出しています。
総務省の調査が示す通りInstagramはすでに幅広い世代の生活に根付いたインフラであり、PR TIMES掲載の調査が示す通り企業の運用目的も「認知」から「行動」へと重心が移りつつあります。この記事で紹介したチェックリストを参考に、自社アカウントが「何屋か」「どんな時間を届けているか」を一目で伝えられているか、まずは直近の投稿を見直すところから始めてみてください。
より具体的な業種別の事例を知りたい場合は、unyouのSNS運用事例データベースで旅行・観光業をはじめとする実際の運用事例を確認することもおすすめします。自社と近い業種・規模のアカウントがどのような投稿設計をしているかを見ることで、今回紹介した型をより実践的に落とし込めるはずです。
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引用元:総務省「令和6年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」、Meta社(Facebook Japan)発表(2019年6月/Instagram Day Tokyo 2018)、Meta Marketing Summit Japan 2023、PR TIMES掲載「【2025年調査】Instagram運用を始めた理由を徹底調査」、東京ディズニーリゾート公式サイト(tdrblog)。フォロワー数・エンゲージメント率などの未確証数値は掲載していません。
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