クラシル(kurashiru)のInstagram運用を分析|伸びている理由と、真似できるポイント【2026年版】
2026/9/2

「うちの飲食店・食品ブランドもInstagramを頑張っているのに、なかなか反応が伸びない」「クラシルのような料理系アカウントは、なぜあんなに見やすくて続けて見てしまうのか」——SNS担当者からよく聞く悩みです。動画を撮って投稿すること自体はどのアカウントもやっているのに、伸びるアカウントと伸び悩むアカウントの差はどこにあるのか、言語化できずにいる方は多いのではないでしょうか。
本記事では、料理レシピ動画サービス「クラシル」を運営する株式会社delyのInstagramアカウントを題材に、投稿の型・世界観のつくり方・エンゲージメントを生む工夫を、公開されている投稿内容から分解します。フォロワー数やエンゲージメント率など裏付けの取れない数値は掲載せず、あくまで「投稿の構造」と「一般的に公表されているSNS利用動向」に基づいて分析し、飲食店や食品ブランドのSNS担当者が明日から応用できるポイントに落とし込みます。
クラシルとは?アカウントの位置づけを整理する
クラシルは、株式会社dely(デリー)が運営するレシピ動画サービスです。スマートフォンアプリとWebサイトを軸に、料理の手順を短い動画で紹介するコンテンツを提供しており、Instagramはその中でも「新規ユーザーとの接点」「日々の献立提案」を担う重要なチャネルとして運用されています。
料理系アカウントは大きく分けると、①個人の料理研究家・インフルエンサー型、②メディア・アプリ運営企業型、③飲食店・食品メーカー型の3種類に分類できます。クラシルは②に該当し、「毎日の料理を楽にする」というアプリ全体のコンセプトを、Instagramという媒体の文法に翻訳して届けている点が特徴です。飲食店や食品ブランドのアカウントも、突き詰めれば「自社の強み・世界観をSNSの文法にどう翻訳するか」という同じ課題に直面するため、業種は違っても学べる点は多くあります。
クラシルのInstagram投稿の「型」を分解する
料理レシピ動画というジャンルは、2016〜2017年頃に「俯瞰視点・手元だけを映す・テンポの速いカット割り」という独特のフォーマットが確立され、クラシルはこの分野を代表するアカウントの一つとして知られています。投稿を見ていくと、いくつかの共通したパターンが見えてきます。
- 俯瞰(真上)アングルでの手元撮影:顔を出さず、材料と手の動きだけに視線を集中させる構成
- 最初の1〜2秒で完成形やインパクトのあるカットを見せる:スクロールを止めさせるための「サムネイル的な冒頭カット」
- 材料・分量のテキストオーバーレイ:音声なしでも内容が理解できるようにする配慮
- 短いカット割りとテンポの良い編集:無駄な間を作らず、最後まで見てもらう工夫
- 季節・トレンドに合わせたレシピ選定:行事食、旬の食材、SNSで話題の調理法などをタイムリーに取り上げる
これらはすべて「初見のユーザーが数秒で内容を理解し、最後まで見たくなる」ことを狙った設計です。飲食店アカウントが陥りがちなのは、「お店側が見せたいもの(内装、こだわり、店主の想い)」を最初に出してしまい、閲覧者が離脱してしまうパターンです。クラシルの型は、常に「見る側にとっての実用的価値」を最優先に置いている点が学びになります。
世界観・ブランディングのつくり方
クラシルの投稿全体を通して感じられるのは、統一された「トーン&マナー」です。具体的には以下のような一貫性が見られます。
- 色味・照明の統一:清潔感のある明るいトーンで統一し、どの投稿を見ても「同じアカウントの投稿」だと一目でわかる
- フォント・テキストデザインの統一:分量表記や手順テキストのフォント・配置ルールがほぼ固定化されている
- 音・BGMの一貫性:調理音(ASMR的な要素)を活かした演出や、テンポの良いBGM選定
- 投稿頻度の安定:不定期ではなく、一定のリズムで投稿を継続している
これは「毎回ゼロから企画を考える」のではなく、フォーマット(型)を先に固定し、そこに毎回異なる食材・レシピを流し込む運用に近いと考えられます。飲食店や食品ブランドがSNS運用でつまずく大きな要因の一つは、担当者が変わるたびにテイストがブレてしまうことです。テンプレート化された型を持つことは、属人化を防ぎ、運用を継続しやすくする実践的なメリットがあります。
エンゲージメントを生むための工夫
料理系動画アカウントに共通する工夫として、以下のような要素が挙げられます。
- 保存されやすい設計:レシピという「あとで見返したい」コンテンツ特性を活かし、保存(ブックマーク)を前提にした情報設計にしている
- キャプションでの補足情報:動画内で見せきれない分量や代替食材の提案などをキャプションに記載し、コメントでの質問を誘発する
- シリーズ化:「〇分レシピ」「作り置き特集」のようにテーマをシリーズ化し、次の投稿への期待を作る
- 実用性と季節性の両立:バレンタイン、夏休み、年末年始など生活導線に合わせた企画で、検索・発見のタイミングを逃さない
Instagramのアルゴリズムは「保存」「共有」「滞在時間」を重視する傾向があると言われており、レシピという情報コンテンツは、この保存されやすさ・共有されやすさという特性と非常に相性が良いジャンルです。飲食店であれば「レシピ」そのものは出せなくても、「簡単アレンジ方法」「おうちで再現できるコツ」など、保存したくなる実用情報に置き換えることは十分可能です。
データで見るSNS・動画コンテンツの重要性
なぜ動画×実用コンテンツというフォーマットがここまで有効なのか、公表されている統計から裏付けを確認しておきます。
| 出典 | 内容の要点 |
|---|---|
| 総務省「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」 | SNSや動画コンテンツの利用時間は年々増加傾向にあり、特に若年層でのInstagram利用率の高さが継続的に報告されている |
| Meta社公式発表 | Instagramの全世界の月間アクティブアカウント数は20億を超えると公表されている |
| Instagram for Business(Meta社公表の調査) | Instagram利用者の9割以上が、少なくとも1つのビジネスアカウントをフォローしていると公表されている |
これらのデータが示すのは、「Instagramはすでに個人の情報収集・購買検討の導線として定着しており、企業・店舗アカウントをフォローすること自体が一般的な行動になっている」ということです。つまり、飲食・食品ジャンルのアカウントにとって、Instagramは「宣伝の場」であると同時に「実用情報を届けるメディアの場」として機能させることが、フォローされ続ける鍵になります。クラシルの運用は、この「実用メディア」としての側面を徹底して追求した事例と言えます。
他業種・他店舗が明日から真似できるポイント【チェックリスト】
クラシルの分析から抽出できる、応用可能なポイントをチェックリストにまとめました。自社アカウントの現状と照らし合わせてみてください。
- 冒頭1〜2秒で「見る側にとっての価値」が伝わる構成になっているか(完成形・インパクトのあるカットから入れているか)
- 音声なしでも内容が理解できるよう、テキストオーバーレイを入れているか
- 色味・フォント・演出のトーンが投稿ごとにバラついていないか(テンプレート化できているか)
- 「保存したくなる」実用情報(レシピ、アレンジ、コツ、比較情報など)を提供できているか
- 季節・行事・生活導線に合わせた企画をカレンダー化しているか
- キャプションでコメントを誘発する余白(質問、補足情報)を残しているか
- 投稿頻度が安定しており、無理なく継続できるペースになっているか
- 担当者が変わっても再現できるよう、投稿フォーマットがマニュアル化されているか
これらは特別な予算や専門機材を必要とするものではなく、多くは「企画・編集の型を決める」という運用ルールの整備で対応できる項目です。まずは1〜2個から着手し、数ヶ月単位で投稿の反応(保存数・コメントの質・アカウント訪問数など)を見ながら調整していくのが現実的です。
運用を始める前に知っておきたい注意点
クラシルのような「実用コンテンツ×統一された型」の運用は効果的ですが、そのまま模倣しようとすると陥りやすい落とし穴もあります。
- 型を真似ても中身が薄いと逆効果:フォーマットだけを真似て、実用性の低い情報を発信すると「見た目は良いが役に立たない」と判断され、保存やフォローにつながりません
- 業種に合わない型を無理に当てはめない:レシピ動画の型は「手順を見せる」コンテンツに最適化されたものであり、体験型のサービス業などではそのまま流用できない場合があります
- 継続できない企画は長続きしない:凝った編集を毎回行う体制は、担当者の負担が大きく、更新が止まる原因になります。まずは自社の体制で継続可能なレベルの型を設計することが重要です
- 成果を数値だけで急いで判断しない:フォロワー数や「いいね」数だけでなく、保存数・プロフィールアクセス・外部サイトへの遷移など、目的に合った指標で継続的に評価する視点が必要です
まとめ
クラシルのInstagram運用は、「見る側にとっての実用的価値を最優先に構成する」「色味・フォント・演出を統一してブランドの一貫性を保つ」「保存・共有されやすい情報設計にする」「季節や生活導線に合わせて企画をシリーズ化する」という、いずれも再現性のある工夫の積み重ねによって成り立っていると考えられます。特別な技術や大きな予算がなくても、投稿の「型」を先に決め、そこに継続的にコンテンツを流し込む運用体制を整えることは、飲食店や食品ブランドのアカウントでも十分に応用可能です。まずはチェックリストの中から自社に足りていない項目を1つ選び、次の投稿から試してみることをおすすめします。
同業種・同業態のアカウントがどのような工夫をしているかをさらに知りたい方は、unyouのSNS運用事例データベース(/cases)で飲食・食品ジャンルの他事例もあわせてご覧ください。
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Instagram・X・TikTok で実際に成果を出しているアカウントを、業種 × トンマナ × プラットフォームで検索・比較できます。掲載しているのは、世の中に公開されている実在アカウントの分析 600件超。 「自社の業種で何が伸びているのか」を、感覚ではなくデータで確かめられます。
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