SNIDEL(スナイデル)のInstagram運用を分析|伸びている理由と、真似できるポイント【2026年版】
2026/9/12
「投稿しているのに反応が伸びない」その悩み、アカウント設計から見直すサインかもしれません
自社のInstagramを毎週更新しているのに、いいねもコメントも思うように増えない。フィードは投稿できているのに、リールやストーリーズまで手が回らず、結局「とりあえず新商品を並べるだけ」の運用になっている。SNS担当者が一人で回していて、世界観の統一やライブ配信まで手を広げる余裕がない——こうした悩みは、アパレルやファッション雑貨、店舗ビジネスのSNS担当者から非常によく聞く声です。
一方で、明確な「勝ちパターン」を持ち、フォロワーとの関係を丁寧に積み上げているアカウントも存在します。今回はアパレルブランド「SNIDEL(スナイデル)」の公式Instagram運用を題材に、投稿の型・世界観の作り方・エンゲージメント施策を分解し、自社アカウントに応用できるポイントを具体的に落とし込んでいきます。フォロワー数やエンゲージメント率のような裏取りできない数値は扱わず、公開情報と客観的な統計データに基づいて解説します。

SNIDELとはどんなブランドか、まず前提を押さえる
SNIDEL(スナイデル)は、株式会社マッシュスタイルラボが展開する女性向けアパレルブランドです。2005年の立ち上げ当初から「ストリートフォーマル」というコンセプトを掲げ、ストリートカジュアルの気軽さとフォーマルの上品さを掛け合わせたデザインを軸にしています。2018年秋にはロゴやビジュアルの刷新を伴うリブランディングを行い、従来の20代後半中心の顧客層から、より年齢を問わず支持されるブランドへと軸足を広げてきました。
運営元のマッシュグループは、SNIDELのほかにも gelato pique(ジェラート ピケ)、FRAY I.D、LILY BROWNなど複数のアパレル・ライフスタイルブランドを展開しており、グループ全体としてSNSを軸にしたブランディングとEC送客のノウハウを蓄積している点も特徴です。
この「ブランドコンセプトが明確」「複数ブランドでSNS運用のノウハウが横展開されている」という前提を押さえておくと、後述する投稿の型や世界観の作り方の理由が見えてきます。
SNIDELのInstagram運用を支える公式アカウント構成
SNIDELはInstagram上で単一アカウントに情報を集約せず、目的ごとにアカウントを分けて運用しています。確認できる代表的なアカウント構成は以下の通りです。
| アカウント/媒体 | 想定される主な役割 | 発信内容の傾向 |
|---|---|---|
| Instagram「@snidel_official」 | ブランドのメイン発信拠点 | 新作コーディネート、シーズンビジュアル、キャンペーン告知など幅広い情報 |
| Instagram「@snidelbeauty」 | コスメ・ビューティーラインの専用発信 | スキンケアやメイクアップなど、アパレル以外の商材に特化した世界観 |
| X「@snidelOfficial」 | 速報性の高い情報発信・双方向コミュニケーション | 新作入荷情報やリアルタイムの告知、ユーザーとのやり取り |
このようにメインアカウントと派生ラインのアカウントを分ける運用は、フォロワーごとに「何を求めてフォローしているか」が異なることを前提にした設計です。ファッション目的のフォロワーにビューティー商材の情報ばかり流れると、期待とのズレからミュートや解除につながりかねません。逆に言えば、自社で複数の商材カテゴリやブランドラインを扱っている場合、無理に一つのアカウントに詰め込まず、役割を分けて運用することが情報の「刺さり方」を高める一つの選択肢になります。
投稿の「型」を分解する
アパレルブランドのInstagram運用でよく見られ、SNIDELのような大手アパレルブランドにも共通する投稿の型は、大きく次の4パターンに整理できます。
- コーディネート提案型:一着の商品を単体で見せるのではなく、着回し例やレイヤードの提案として見せる投稿。フォロワーは「自分が着たときの完成形」をイメージしやすくなります。
- 世界観訴求型(ビジュアルカット):ロケーションやライティングにこだわった、ブランドイメージを伝えるための写真・動画。売り込み色を抑え、ブランドの世界観そのものをコンテンツにします。
- 新作・入荷告知型:シーズンごとの新作情報や再入荷情報を伝える、購買に直結しやすい投稿。ストーリーズのハイライトに整理しておくことで、後から訪れたユーザーも情報にアクセスできます。
- ライブ・双方向コミュニケーション型:Instagramライブや投稿へのコメント返信を通じて、フォロワーとの距離を縮める投稿・活動。
重要なのは、この4つを単発ではなく「型」として繰り返し運用していることです。担当者が変わっても一定の品質と世界観を保てるようになり、フォロワー側も「このアカウントはこういう投稿をする場所だ」という予測が立てやすくなります。これは中小規模のアカウントでも十分に真似できる考え方です。
世界観のつくり方——ブランドコンセプトを投稿ルールに変換する
SNIDELの「ストリートフォーマル」というコンセプトは、単なるキャッチコピーではなく、投稿の色味・構図・モデルの表情・キャプションのトーンにまで一貫して反映されていると考えられます。世界観づくりで参考にすべきは、コンセプトを抽象的なスローガンのまま終わらせず、次のような「投稿ルール」にまで具体化している点です。
- 使用する色味のトーン(彩度・明度)をある程度統一する
- 商品単体カットと着用カットの比率を決めておく
- キャプションの文体(敬語の硬さ、絵文字の使用有無など)を統一する
- フィード全体を並べたときの一覧性(グリッドの見え方)を意識する
自社アカウントでこれを真似る場合、いきなり過去投稿をすべて作り直す必要はありません。まずは「今後の新規投稿」から色味・構図・文体の3つだけルール化し、直近10〜20投稿で統一感を出すところから始めると無理なく着手できます。
エンゲージメントを生む仕掛け
Instagramのフィード投稿だけでなく、ライブ配信やストーリーズを活用した双方向コミュニケーションは、フォロワーとの関係性を「一方的な情報発信」から「参加できる場」に変えるための重要な手段です。アパレルブランドにおいては、ライブ配信中に視聴者からの質問に答えたり、コーディネートのリクエストに応じたりすることで、コメント欄がそのまま接客の場のように機能します。
ここで押さえておきたいのが、Instagramが単なる認知獲得の場にとどまらず、実際の購買行動にも影響を与えているというデータです。株式会社ホットリンクが実施し、2022年7月7日にPR TIMESで公開された調査(週1回以上Instagramを利用する1,000人が対象)によると、Instagram利用者の約46%が「Instagramをきっかけに購入・来店した経験がある」と回答しています。さらに、購入時に最も参考にする情報は「友だち・知り合いの投稿」であり、インフルエンサーの投稿を上回る結果となりました。
このデータが示唆するのは、フォロワーとの日常的なコミュニケーションや、フォロワーが自発的に発信したくなるような投稿設計(UGCを生みやすいビジュアル、タグ付けしやすいハッシュタグの用意など)が、広告的な発信以上に購買を後押しする可能性があるということです。SNIDELのようにライブ配信やコメントへの反応を継続することは、単なる「仲良し施策」ではなく、購買行動に近いエンゲージメントを生む合理的な打ち手だと捉えられます。
数字で見る、なぜ今もInstagram運用に投資すべきなのか
SNSアカウントの世界観や投稿の型は真似できても、「そもそもInstagramに時間をかける価値があるのか」を社内で説明できないと、運用は長続きしません。以下は、公的機関および企業の公表データです。
- 総務省「令和6年版情報通信白書」によると、インターネット利用目的の中で「SNS(無料通話機能を含む)の利用」の割合は全体で81.9%と最も高く、特に20代では利用率が90%を超えています。
- Meta(旧Facebook Japan)は2019年6月、日本国内のInstagram月間アクティブアカウント数が3,300万を突破した(2019年3月時点)と公式に発表しており、当時から国内ユーザーの女性比率が57%と男性を上回っていました。
- 前述の株式会社ホットリンクの調査(PR TIMES、2022年7月7日配信)では、Instagram利用者の約46%がInstagramをきっかけに購入・来店した経験を持つと回答しています。
これらのデータから読み取れるのは、「Instagramはすでに生活インフラの一部として定着しており、かつ購買行動に直接つながるチャネルである」という事実です。フォロワー数やエンゲージメント率のような自社の運用成果を測る指標は日々変動するため本記事では扱いませんが、Instagramというチャネルそのものへの投資根拠は、これらの公表データから十分に説明可能です。
明日から試せる実践チェックリスト
SNIDELの運用から学べる要素を、明日から着手できる粒度に落とし込みました。自社アカウントの現状と照らし合わせてチェックしてみてください。
- 直近20投稿を並べて見返し、色味・構図にバラつきがないか確認する
- 商品単体カットと着用(コーディネート)カットの比率を決め、次回投稿から適用する
- キャプションの文体(敬語のトーン、絵文字の使用ルール)を1枚のドキュメントにまとめる
- ストーリーズのハイライトを「新作」「よくある質問」「スタッフ紹介」など目的別に整理する
- 月1回でもよいのでライブ配信やQ&A企画を実施し、コメントへの返信を必ず行う
- 複数の商材カテゴリ・ブランドラインがある場合、アカウントを分けるべきか棚卸しする
- フォロワーがタグ付けしたくなるハッシュタグやビジュアルの型を用意し、UGCの発生を促す
- 投稿の目的(認知・興味喚起・購買直結・関係構築)を4分類し、月間の投稿計画にバランスよく配置する
これらはどれも大規模な予算を必要とするものではなく、投稿前のルール整備と運用の型化によって実現できる範囲です。
自社に取り入れる際の注意点
SNIDELの手法をそのまま模倣しようとすると、ブランド規模や商材特性の違いから噛み合わないケースもあります。特に注意したいのは次の2点です。
第一に、複数アカウント運用は管理コストが増える施策でもあります。商材カテゴリが少ない、あるいは運用担当者が一人しかいない場合は、無理にアカウントを分けず、ハイライトやハッシュタグでカテゴリ分けする方が現実的です。
第二に、ライブ配信や双方向コミュニケーションは「継続」して初めて効果が積み上がる施策です。単発で終わらせると、フォロワーとの関係構築という本来の目的を果たせません。まずは月1回など無理のない頻度から始め、社内でリソースを確保できる形にすることが優先です。
同業種であるアパレル・ファッション業界のSNS運用については、unyouの事例データベース(/cases)でも他ブランドの取り組みを多数紹介しています。SNIDEL以外の事例と比較しながら、自社に合った打ち手を探る際の参考にしてください。
まとめ
SNIDELのInstagram運用は、ブランドコンセプトを投稿ルールにまで具体化した世界観づくり、目的別に分けた複数アカウント運用、そしてライブ配信やコメント対応による双方向コミュニケーションという3つの要素が組み合わさっている点に特徴があります。いずれも派手な施策ではなく、地道なルール整備と継続によって成り立つものです。
総務省の調査が示す通りInstagramを含むSNSの利用は幅広い年代に定着しており、Meta自身やホットリンクの調査が示す通り、Instagramは購買行動にも直接影響を与えるチャネルです。自社アカウントが伸び悩んでいると感じたら、まずは投稿の型・世界観のルール・コミュニケーションの頻度という3つの観点から現状を棚卸しし、明日から着手できる小さな改善を積み重ねていくことをおすすめします。
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