Slack JapanのInstagram運用を分析|伸びている理由と、真似できるポイント【2026年版】
2026/9/29
「うちもSaaSだけど、Instagramで何を発信すればいいのか分からない」という悩み
BtoB企業やIT・SaaS企業のSNS担当者から、最もよく聞く相談のひとつが「Instagramで何を投稿すればいいか分からない」というものです。ECや飲食店のように「商品の写真」という分かりやすい投稿ネタがなく、かといって採用広報や決算情報ばかりでは誰にも見てもらえない。結果として「とりあえずロゴと会社紹介を並べただけ」の、更新頻度も低いアカウントになってしまっているケースは少なくありません。
一方で、コミュニケーションツール「Slack」を展開するSlack Japanのように、BtoB・IT領域でありながら親しみやすい世界観を作り、フォローする理由を感じさせる投稿を続けている企業アカウントも存在します。本記事では、公開されている情報をもとにSlack Japanのアカウント運用の考え方を分解し、業種を問わず「明日から真似できるポイント」に落とし込みます。あわせて、企業が今Instagram運用に力を入れるべき理由を、総務省や民間調査の公開データから確認していきます。

Slack Japanのアカウントが伝えているもの:まず全体像を掴む
Slackはもともと、ブランド全体として「堅苦しくない働き方」を体現するデザイン言語を持っている企業です。ロゴやプロダクトUIに使われる多色の配色、遊び心のあるイラスト、絵文字(カスタム絵文字)文化を前面に押し出したコミュニケーションスタイルは、Slackというプロダクトそのものの特徴でもあります。Instagramの企業アカウントも、この「プロダクトの人格」をそのままSNS上に持ち込んでいる点が最大の特徴です。
BtoBのSaaS企業は、ともすると機能訴求や導入事例の羅列に終始しがちですが、Slack Japanのアカウントは「ツールの説明」よりも「そのツールを使うことで生まれる働き方・雰囲気」を先に見せる構成になっています。これは、フォローする・しないを判断する一般ユーザーの心理的ハードルを下げるうえで重要な設計です。プロダクトを知らない人でも、なんとなく「楽しそう」「働きやすそう」という印象を受け取れることが、BtoB商材のアカウントとしては大きなアドバンテージになります。
投稿の「型」を分解する:BtoB・SaaS企業のInstagramに共通する4パターン
Slack Japanのような企業アカウントの投稿は、大きく次の4つの型に整理できます。これはSlack Japanに限らず、Instagramで成果を出しているBtoB・IT企業に広く共通する構成でもあります。
| 投稿の型 | 目的 | 具体例 |
|---|---|---|
| カルチャー・世界観訴求型 | ブランドの人格・雰囲気を伝える | ブランドカラーを使ったグラフィック、社内の雰囲気が伝わるカット |
| Tips・ノウハウ型(カルーセル) | フォロワーへの実利提供、保存誘発 | 「働き方が変わる小技」「ショートカット集」など複数枚スライド |
| プロダクト・機能紹介型 | 製品理解の促進 | UIのスクリーンショットや操作画面を分かりやすく再構成した投稿 |
| ユーザーボイス・事例型 | 信頼性・共感の獲得 | 導入企業や利用者の声を引用したカルーセル、リール |
この4つを一定のローテーションで回すことで、「毎回同じような投稿」に見えず、かつアカウント全体としては一貫したトーンを保てるのがポイントです。特に2つ目の「Tips・ノウハウ型」は、フォロワーにとって実利がある内容のため保存率が上がりやすく、Instagramのアルゴリズム上も発見タブへの露出につながりやすい投稿形式とされています。BtoB商材で「保存したくなる投稿」を作れるかどうかは、担当者の腕の見せどころです。
世界観のつくり方:BtoBでも「親しみ」は作れる
BtoB企業ほど「かしこまった見た目にしなければ」というバイアスがかかりがちですが、Slack Japanのようなアカウントが示しているのは、ブランドカラーとフォント、イラストのトーンさえ一貫していれば、口調はカジュアルにしても信頼性は損なわれないということです。むしろ、プレスリリースや公式サイトでは出せない「柔らかい言葉遣い」がInstagramというチャネルの役割になります。
ここで興味深いのが、SNS運用代行を手がける株式会社SAKIYOMIがPR TIMESで公表した調査です。10〜20代を対象に「企業公式アカウントをフォローするきっかけ」を尋ねたところ、最も多かった回答は「行ってみたい」「買ってみたい」など感情を動かされたことで、各ジャンルで4割以上が回答した一方、「アカウントの統一感」を理由に挙げた割合は4〜15%にとどまりました(株式会社SAKIYOMI「10代~20代若者の『Instagram企業アカウントのフォロー状況の調査』」、PR TIMES、2021年7月)。
つまり、世界観づくりというと「フィードの見た目を綺麗に揃えること」に意識が向きがちですが、実際にフォローを生んでいるのは見た目の統一感そのものではなく、「感情が動くか」「役に立つか」という投稿の中身です。世界観は"接着剤"であって"主役"ではない、という前提を持っておくと、投稿ネタに悩んだときの判断基準がぶれにくくなります。
エンゲージメントを生む仕掛け:コメント・保存・シェアを増やす工夫
企業アカウントがエンゲージメントを高めるうえで効果的とされるのが、次のような仕掛けです。
- 問いかけ型のキャプション:「あなたのチームでは?」のように、コメントを誘発する一文を必ず入れる
- 保存を前提にした設計:Tips系投稿は「保存して後で見返せる」情報量に調整する(見出し+要点3つ程度が目安)
- ユーザー・従業員の声の引用:一人称の語り口をそのまま使うことで、企業の一方的な発信ではなく「人の声」に見せる
- リールでの一貫したフォーマット化:オープニングのモーションやテキストの出し方を統一し、「あ、これはあのアカウントの投稿だ」と一目で分かるようにする
Instagramのアルゴリズムでは、投稿直後の初速エンゲージメント(いいね・保存・コメント)が、その後の露出範囲に影響すると一般に理解されています。BtoB企業の場合、フォロワー数自体はECやインフルエンサーほど伸びにくい一方で、業界関係者や見込み顧客といった「濃いフォロワー」が中心になりやすいため、コメント欄でのやり取りが商談や採用の入り口になることも珍しくありません。フォロワー数の大小だけでなく、コメント欄をどれだけ"対話の場"にできているかを見る視点が重要です。
データで見る「なぜ今、企業がInstagramに力を入れるべきか」
数字を見ても、Instagramを含むSNSは企業が無視できないチャネルになっています。
まず利用者側の裾野の広がりです。総務省「令和7年版 情報通信白書」によれば、InstagramやX(旧Twitter)の利用率は2024年時点で全年代のおよそ半数に達しており、50代でも4割以上が利用するなど、幅広い年齢層に利用が拡大しています。かつて「若年層向けのSNS」というイメージが強かったInstagramですが、現在はミドル層への到達チャネルとしても機能する規模になっています。
次に、企業アカウントと購買行動の関係です。株式会社ホットリンクが2024年に公表した調査では、Instagram利用者の約55%が「Instagramをきっかけに商品を購入・来店した経験がある」と回答しており、商品購入時に参考にする情報として「企業・インフルエンサーの投稿」が上位に挙げられています(株式会社ホットリンク調査、2024年7月公表)。BtoCほど直接的ではないにせよ、BtoB商材でも「導入を検討する前にSNSで会社の雰囲気を見る」という行動は増えており、Instagramは採用候補者や見込み顧客との最初の接点として機能し得ます。
なお、Meta(旧Facebook Japan)は2019年6月に「Instagram国内の月間アクティブアカウント数が3,300万を突破(2019年3月時点)」と公式発表して以降、国・地域別の利用者数を公式には更新していません。そのため、最新の国内利用者数について語る際は、公式発表値と民間の推計値を混同しないよう注意が必要です。本記事でも、確証のない具体的な数値については断定を避けています。
自社アカウントに応用する実践チェックリスト
Slack Japanのようなアカウントの考え方を踏まえ、明日から着手できるチェックリストとしてまとめます。
- 投稿の4分類を紙に書き出す:「カルチャー」「Tips」「プロダクト」「ユーザーボイス」の4つの箱を作り、直近1ヶ月の投稿がどこに偏っているかを可視化する
- 1投稿1メッセージに絞る:伝えたいことを詰め込みすぎず、キャプションの冒頭2行で「誰の・どんな悩みに答える投稿か」が分かるようにする
- 保存されるTips投稿を月1本は作る:業界特有の「地味だけど役立つ知識」をカルーセルで棚卸しする
- 社員・ユーザーの一人称コンテンツを月1本入れる:企業アカウントのトーンと、人の声のトーンを意図的に混ぜる
- コメント欄への返信ルールを決める:24時間以内に返信する、絵文字だけでなく一言添えるなど、対話の温度を保つ運用ルールを明文化する
- ブランドカラー・フォント・イラストトーンの3点だけ統一する:フィード全体を作り込みすぎず、最低限の一貫性だけ守る
- 月次でインサイトを見る指標を決める:フォロワー数の増減だけでなく、保存数・プロフィールアクセス数・コメント内容の質を追う
いきなり全てを実行する必要はありません。まずは1と2から着手し、1ヶ月投稿を続けたうえで3〜7を段階的に取り入れるのが現実的です。
業種による違いを踏まえて考える
ここまで見てきたポイントは、Slack JapanのようなBtoB・IT企業に限らず、多くの業種に応用できる普遍的な型です。ただし、実際に効果を出すためには、自社の業種特性やターゲット層に合わせたアレンジが欠かせません。小売・飲食・美容・不動産など、業種によって「刺さる投稿の型」や「エンゲージメントの取り方」は異なります。unyouでは業種別・目的別に実際のSNS運用事例を蓄積しており、自社に近い業種のアカウントがどのような投稿設計をしているかを具体的に確認できます。同業種の他事例と比較しながら、自社ならではの応用ポイントを見つけていくことをおすすめします。
まとめ
Slack Japanのアカウントから学べる最大のポイントは、「プロダクトの機能」ではなく「プロダクトを使った先にある働き方や雰囲気」を主役にして発信していることです。BtoB・SaaS企業のSNS担当者は、つい機能訴求や実績アピールに偏りがちですが、フォローを生むのは統一感の高いデザインそのものよりも、感情を動かす投稿や実利のあるTips、人の声が伝わるコンテンツであることが各種調査からも示唆されています。投稿の型を4つに整理し、保存されるTips投稿とユーザーボイスを組み合わせながら、コメント欄での対話を大切にする。この積み重ねが、業種を問わずInstagram運用を"続けられる仕組み"に変えていきます。
あわせて読みたい
補足:Slack Japanアカウント固有の公開フォロワー数・エンゲージメント率は検索で確証を得られなかったため、要件どおり記載していません。引用した公開データの出典は以下の通りです。
- 総務省「令和7年版 情報通信白書」
- Meta(旧Facebook Japan)公式発表(2019年6月)
- 株式会社SAKIYOMI プレスリリース(PR TIMES、2021年7月)
- 株式会社ホットリンク調査(2024年7月公表)
ABOUT UNYOU
unyou は、SNS運用の「成功事例」が集まるデータベースです
Instagram・X・TikTok で実際に成果を出しているアカウントを、業種 × トンマナ × プラットフォームで検索・比較できます。掲載しているのは、世の中に公開されている実在アカウントの分析 600件超。 「自社の業種で何が伸びているのか」を、感覚ではなくデータで確かめられます。
無料相談
自社に合ったSNS運用、プロに相談してみませんか?
「何から始めればいいかわからない」「今の運用が正しいか不安」「外注すべきか迷っている」 ——そんなお悩みに、unyouが蓄積した実運用データをもとにお答えします。 相談は無料、しつこい営業はありません。
無料でSNS運用を相談する