日本赤十字社(Japanese Red Cross Society)のInstagram運用を分析|伸びている理由と、真似できるポイント【2026年版】
2026/9/29
日本赤十字社のInstagram運用について、公開情報と総務省統計などをもとに記事を執筆します。
日本赤十字社のInstagramアカウントとは|基本情報とポジショニング
「日本赤十字社」というと、献血や災害救護、国際人道支援といった活動をイメージする方が多いはずです。実際に公式Instagramアカウント(@japaneseredcross_official)は、世界191の国と地域に広がる赤十字社・赤新月社のネットワークの一員として、「中立・公平・独立」という赤十字の基本原則に基づく人道支援活動を軸に情報発信を行っています。
注目したいのは、日本赤十字社が本社アカウントだけでなく、都道府県支部(千葉県支部、福島県支部、愛知県支部など)や血液センター(大阪府赤十字血液センター、兵庫県赤十字血液センターなど)、病院単位(高山赤十字病院、名古屋第二赤十字病院など)でも独自にInstagramを運用しているという点です。つまり「全国統一の1アカウント」ではなく、本部が世界観と大きなメッセージを発信し、各支部・各施設が地域に根ざした具体的な情報(献血キャンペーン、採用情報、地域の防災イベントなど)を補完するという、階層型・分散型の運用体制を敷いています。
この体制は、非営利団体や公共性の高い組織のSNS運用を考えるうえで一つのモデルケースになります。本記事では、日本赤十字社のInstagram運用を「なぜ支持されるのか」「どんな投稿の型があるのか」「世界観をどう作っているのか」という観点で分解し、企業・店舗のSNS担当者が明日から応用できるポイントに落とし込んでいきます。

SNS担当者が抱えがちな悩みと、公共・非営利アカウントから学べること
「うちの会社もSNSをやっているけれど、フォロワーは増えず、いいねも伸びない」「発信するネタが献立のように毎回ワンパターンになってしまう」「"売り込み"に見えないバランスが分からない」——企業や店舗のSNS担当者から、こうした声をよく耳にします。
特に難しいのが、日本赤十字社のように「直接モノを売っているわけではない」組織の発信です。献血も寄付もボランティアも、フォロワーにとっては「今すぐの得」に直結しにくい行動です。それでも継続的に発信を続け、支持を集めているアカウントには、業種を問わず応用できる普遍的な工夫があります。ここから、その中身を具体的に見ていきましょう。
なぜ日本赤十字社のInstagramが支持されているのか|3つの理由
1. ミッションと投稿が一貫している
日本赤十字社の発信は、プロフィール文で掲げる「人道支援」というミッションと、日々の投稿内容がぶれません。献血の呼びかけ、災害時の救護活動報告、国際協力活動の紹介など、すべてが「困っている人を助ける」という一本の軸に収斂しています。企業アカウントでは「フォロワーを増やすために」流行りのネタに手を出し、結果としてブランドの一貫性が崩れるケースが少なくありません。日本赤十字社の運用は、軸をぶらさないことの重要性を示しています。
2. 「参加できる」導線が用意されている
献血、寄付、ボランティア、赤十字防災教育の受講など、投稿を見た人が次に取れる行動が明確です。SNSは「見て終わり」ではなく「行動のきっかけ」として設計されており、プロフィールのリンクや投稿のCTA(Call To Action)が具体的な参加方法に接続されています。
3. 分散型運用による「地域の顔」の見える化
先述の通り、支部・血液センター単位のアカウントが多数存在することで、フォロワーは「全国的な大きな組織」ではなく「自分の地域の赤十字」として身近に感じやすくなります。地域密着型の店舗や、複数拠点を持つ企業が参考にできる構造です。
投稿の「型」を分解する|コンテンツパターン一覧
日本赤十字社および関連アカウントの投稿を分析すると、大きく次のようなパターンに整理できます。これは非営利・公共セクターに限らず、幅広い業種のSNS運用にも応用できる型です。
| 投稿の型 | 目的 | フォーマット例 | 応用できる業種 |
|---|---|---|---|
| 啓発・呼びかけ型 | 献血・防災など行動喚起 | キャンペーンビジュアル+日程告知 | 小売、サービス業のセール告知 |
| 活動報告型 | 信頼構築・透明性の担保 | 災害救護や国際支援の現場写真+解説 | BtoB企業の導入事例報告 |
| 人物紹介型 | 共感・親近感の醸成 | 職員・ボランティアインタビュー | 採用広報、店舗スタッフ紹介 |
| 記念日・季節連動型 | 話題性・タイムライン露出 | 世界献血者デー等の記念投稿 | あらゆる業種の季節投稿 |
| コラボ・キャンペーン型 | エンゲージメント獲得 | フォロー&リポスト企画 | プレゼント企画全般 |
特に「フォロー&リポスト」形式のキャンペーンは、日本赤十字社の公式サイト内「ソーシャルメディア・ガイドライン」ページでも継続的に告知されており(jrc.or.jp/sns_guide/)、参加型の企画を定期的に実施していることが分かります。単発の告知で終わらせず、参加のハードルが低い形式を繰り返し使うことで、フォロワーとの接点を継続的に作っている点は、店舗アカウントのプレゼント企画にもそのまま応用できます。
世界観のつくり方|「赤十字らしさ」をどう可視化しているか
非営利組織のSNSで難しいのは、「深刻なテーマ」と「見てもらいやすいビジュアル」の両立です。日本赤十字社の運用から読み取れる工夫は次の3点です。
- 赤十字マークとコーポレートカラー(レッド)を軸にした統一感:プロフィール写真やハイライトカバーの色味を揃えることで、フィード全体に一貫した印象を持たせている
- 現場写真の多用:イラストや抽象的なビジュアルではなく、実際の活動現場の写真を中心に使うことで、活動の実在性・信頼性を担保している
- キャプションの温度感のコントロール:緊急性の高い災害救護の報告は簡潔かつ事実ベースで、啓発系の投稿はより語りかけるトーンで、と内容によって文体を使い分けている
この「テーマごとにトーンを変えるが、ビジュアルの統一感は崩さない」というバランスは、複数の商品ラインやサービスを持つ企業アカウントにとっても参考になる考え方です。
エンゲージメントを高める施策|コメント・保存・シェアを増やす工夫
日本赤十字社および支部・血液センターアカウントの運用に共通するのは、「見る」だけでなく「参加する」「共有する」動機づけを投稿に組み込んでいる点です。具体的には以下のような施策が確認できます。
- ハッシュタグキャンペーンとの連動:献血啓発では「#はじめての献血」のような専用ハッシュタグを設定し、投稿を横断的に見つけやすくしている
- 記念日マーケティングとの掛け合わせ:「世界献血者デー」など、国際的に定められた記念日に合わせて投稿を集中させ、話題化を狙う
- 他メディアとの連動:YouTube公式チャンネル(「つなげ、その『ち』から。」プロモーションチャンネル)やX(旧Twitter)アカウント(@JRCS_PR)とテーマを揃え、複数のSNSで同じメッセージを異なるフォーマットで届けている
- 広報誌・オウンドメディアとの連動:宣伝会議が発行する専門誌『広報会議』(2017年10月号)では、日本赤十字社東京都支部がSNSとイベント、広報誌を連動させた結果、誌面経由の寄付額が500万円増加した事例が紹介されています。これは、SNS単体で完結させず、他の接点(紙媒体・イベント・メール等)と組み合わせることの効果を示す実例です。
企業アカウントであれば、これは「SNS投稿→LP→メルマガ登録→店舗来店」のような複数チャネルを横断する導線設計に置き換えて考えることができます。
他の企業・店舗が今日から真似できる実践チェックリスト
日本赤十字社の運用から抽出した、業種を問わず応用できるアクションを、明日から試せるレベルまで落とし込みました。
- ミッション・提供価値を一文で言語化し、プロフィール文の1行目に置く(何をしている組織/店舗か、初見でも分かるように)
- 投稿の型を5パターン以内に整理し、テンプレート化する(毎回ゼロから企画を考える負荷を減らす)
- すべての投稿に「次の行動」を1つだけ設計する(購入・来店・フォロー・保存・DMなど、迷わせない)
- 複数拠点・複数スタッフがいる場合は、サブアカウントや個人アカウントとの役割分担を決める(本部は世界観、現場は具体情報)
- 参加型キャンペーン(フォロー&リポスト、ハッシュタグ企画)を四半期に1回は実施する
- 記念日・業界の「〇〇の日」をカレンダー化し、投稿ネタの棚卸しをしておく
- SNS以外の接点(メルマガ、紙媒体、店頭POP、イベント)と同じメッセージを連動させる
- ビジュアルのトーン&マナー(色・フォント・写真の撮り方)を3つ以内のルールに固定する
日本の公共・非営利セクターがSNS運用で置かれている環境
日本赤十字社のような公共性の高い組織がSNS発信に力を入れる背景には、SNS利用そのものが日本社会に深く浸透しているという事実があります。総務省「令和6年版 情報通信白書」によれば、日本国内の全年代におけるInstagramの利用率は52.6%、LINEは91.1%、X(旧Twitter)は43.3%となっており、Instagramはすでに国民の半数以上が利用する主要な情報接点になっています(出典:総務省「令和6年版 情報通信白書」)。
また、Meta社(Instagram運営元)が公式に発表した数値としては、2019年6月時点で国内の月間アクティブアカウント数が3,300万を突破したことが発表されています(出典:Meta「Instagramの国内月間アクティブアカウント数が3300万を突破」about.fb.com、2019年6月)。それ以降、公式な国内利用者数の更新は行われていませんが、この発表からも、Instagramが単なる若年層向けアプリではなく、幅広い層にリーチできるプラットフォームへと成長してきた経緯が確認できます。
こうした環境の中で、非営利・公共機関がSNSを通じて直接的に市民とつながり、行動を呼びかけられるようになったことは、日本赤十字社に限らず多くの団体・企業にとって重要な意味を持ちます。フォロワー数の多寡だけでなく、「誰に」「何を」「どう行動してもらうか」を設計できているかどうかが、これからのSNS運用の分かれ目になっていくといえるでしょう。
まとめ
日本赤十字社のInstagram運用は、派手なバズを狙う設計ではなく、「ミッションの一貫性」「参加できる導線」「地域に根ざした分散型運用」「他メディアとの連動」という地道な積み重ねによって支持を集めている点が特徴です。特に、本部アカウントが世界観とメッセージを発信し、支部・施設アカウントが具体的な行動喚起を担うという役割分担の考え方は、複数拠点を持つ企業や、ブランドと店舗の両方でSNSを運用する組織にとって、そのまま応用できる設計図になります。
自社アカウントの投稿がワンパターンになっている、あるいは「発信しているのに反応が薄い」と感じている場合は、まず本記事のチェックリストから1〜2項目を選び、今週の投稿に取り入れてみることをおすすめします。より多くの業種別・目的別の成功事例を知りたい方は、unyou(https://unyou.media/cases)のSNS運用事例データベースもあわせてご覧ください。
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