「SNS広告を強化したいけれど、広告費も運用の外注費も決して安くない」「補助金が使えるなら使いたいけれど、制度が複雑でどこまでが対象なのか分からない」——SNS担当者や小規模事業者の経営者から、こうした声をよく耳にします。特に小規模事業者持続化補助金は、商工会・商工会議所を通じた申請が必要な上に、公募回ごとに対象経費のルールが細かく変わるため、「結局うちのSNS施策は対象になるのか」が分かりにくい制度でもあります。
この記事では、SNS運用事例データベース「unyou」の編集部が、2026年時点で公開されている公式情報をもとに、小規模事業者持続化補助金がSNS広告・SNS運用にどこまで使えるのかを整理しました。制度は年度・公募回ごとに内容が変わるため、本記事の情報を参考にしつつ、必ず中小企業庁および実施団体(日本商工会議所・全国商工会連合会)が公開する最新の公募要領で確認してください。
SNS広告・SNS運用は補助対象になる?結論を先に
結論から言うと、小規模事業者持続化補助金は「販路開拓等の取組」を対象とする補助金であり、SNS広告費やSNSアカウントの制作・運用委託費も、要件を満たせば対象経費に含められる可能性があります。ただし、以下の3点には注意が必要です。
- SNS広告費・ウェブ広告費だけを単独で申請することはできず、他の経費区分と組み合わせた「経営計画」全体の中で申請する必要がある
- どの経費区分(広報費/ウェブサイト関連費など)に該当するかは公募回によってルールが変わる
- 経費区分ごとに上限額が設定されており、上限を超えた分は自己負担になる
つまり「SNS運用にかかる費用の一部を、経営計画に沿った形で補助してもらえる可能性がある制度」というのが実態に近い理解です。次の章から、制度の基本と2026年の最新動向を順に見ていきます。

そもそも小規模事業者持続化補助金とは
小規模事業者持続化補助金は、中小企業庁の予算事業として、日本商工会議所(商工会議所地区)と全国商工会連合会(商工会地区)が実施団体となり運営している補助金です。商業・サービス業なら常時使用する従業員5人以下、宿泊業・娯楽業を除く製造業その他なら20人以下といった「小規模事業者」の要件を満たす事業者が対象で、商工会・商工会議所の助言を受けながら経営計画を作成し、販路開拓のための取り組みに使った経費の一部が補助されます。
中小企業庁が公開した「小規模事業者持続化補助金<一般型・通常枠>(第20回)」の公募要領(2026年5月27日公開)によれば、通常枠の補助上限額は50万円、補助率は2/3(赤字事業者は3/4)とされています(出典:中小企業庁ウェブサイト)。インボイス特例や賃金引上げ特例など要件を満たす事業者向けの上乗せ措置も用意されており、条件次第で上限額が引き上げられるケースがありますが、上乗せの可否・金額は事業者ごとの要件によって変わるため、必ず最新の公募要領で確認してください。
参考として、中小企業庁が2026年7月29日に発表した第19回公募の採択結果では、申請16,576件に対し採択7,819件、採択率47.2%となっています(出典:中小企業庁「小規模事業者持続化補助金<一般型・通常枠>第19回採択者一覧」公表資料)。約半数が不採択となっている実態からも、経営計画書の作り込みが重要であることが分かります。
【2026年注目ポイント】SNS広告の経費区分が変更されている
2026年版の記事として特に押さえておきたいのが、対象経費の区分変更です。複数の専門家サイト・行政書士事務所の解説によると、第19回公募までは、SNS広告費・インターネット広告費・バナー広告費は「ウェブサイト関連費」に区分されていましたが、第20回公募からはこれらの広告関連費が「広報費」の区分に移動し、ホームページ制作・改修・EC構築などは引き続き「ウェブサイト関連費」として区分されることになりました。
この変更にともない、第20回公募要領では広報費・ウェブサイト関連費それぞれに上限30万円(税込)が設定され、いずれの区分も単独での申請はできず、機械装置等費や委託・外注費など他の経費区分と組み合わせて申請する必要があるとされています。
区分変更は公募回ごとに起こり得るため、「前回はウェブサイト関連費だったから今回も同じはず」という思い込みは禁物です。申請の直前ではなく、経営計画を作り始める段階で、商工会・商工会議所の担当者に最新区分を確認することを強くおすすめします。
SNS施策のうち対象になりうる経費・なりにくい経費
ここまでの情報を踏まえ、SNS関連の取り組みが小規模事業者持続化補助金の対象経費区分に当てはまりそうか、目安を整理しました。実際の可否は事業者の経営計画の内容や採択審査によって判断されるため、下表はあくまで区分の目安としてご覧ください。
| SNS関連の取り組み例 | 想定される経費区分(目安) | 2026年時点の留意点 |
|---|---|---|
| Instagram・X(旧Twitter)等のSNS広告出稿費 | 広報費 | 第20回から広報費区分に変更。上限30万円(税込)、単独申請不可 |
| SNSキャンペーン用のチラシ・ポスター制作費 | 広報費 | 紙媒体の販促物も同区分に含まれる場合がある |
| 自社ホームページ・ECサイトの制作・改修費 | ウェブサイト関連費 | 上限30万円(税込)、単独申請不可 |
| SNS運用代行会社への月額運用委託費 | 委託・外注費(または広報費) | 契約内容・成果物によって区分が変わりうるため要確認 |
| 撮影機材・PC等SNSコンテンツ制作用の機器購入 | 機械装置等費 | 用途が販路開拓に直結することの説明が必要 |
| 展示会でのSNS連動プロモーション | 展示会等出展費 | オンライン展示会・商談会も対象に含まれる場合がある |
このように、同じ「SNS施策」でも内容によって経費区分が分かれる点が、この補助金を分かりにくくしている大きな要因です。申請前には、自社の取り組みがどの区分に該当するかを商工会・商工会議所の担当者と一緒に棚卸しすることが欠かせません。
申請までの実践フロー:明日から動ける7ステップ
制度を理解したら、次は行動に移す段階です。実際の申請までの流れを、明日から着手できる粒度で整理しました。
- 管轄の商工会・商工会議所を確認する 事業所在地によって窓口が商工会か商工会議所かが決まります。まずは自社が加入・登録している、または管轄となる窓口を調べます。
- 最新の公募要領をダウンロードする 中小企業庁または実施団体の公式サイトから、現在受付中の回の公募要領(PDF)を必ず入手します。過去の回の情報で判断しないことが重要です。
- 自社のSNS施策を棚卸しする 直近1年で実施した・検討しているSNS広告出稿、SNS運用委託、コンテンツ制作等をリストアップし、上の比較表を参考に該当しそうな経費区分を仮に当てはめます。
- 経営計画書・補助事業計画書のたたき台を作る 「なぜその取り組みが必要か」「どんな販路開拓効果を見込むか」を数値目標とともに言語化します。SNS運用であれば、フォロワー数やエンゲージメントではなく、売上・問い合わせ数など事業成果に紐づく目標を意識します。
- 商工会・商工会議所に事前相談し、事業支援計画書(様式4)の発行を依頼する この書類の発行には締切があり、申請締切より早く設定されているのが通例です。余裕を持って相談しましょう。
- 相見積もり等、証憑書類を準備する SNS運用代行や広告運用を外部委託する場合、複数社からの見積もり取得が求められることがあります。依頼先の選定は早めに動きましょう。unyouのようなSNS運用事例データベースで、業種の近い企業がどんな代理店・体制で運用しているかを事前に調べておくと、見積もり比較の判断材料になります。
- 申請書類一式を電子申請システムで提出する 提出後は採択発表まで一定期間待つことになるため、並行して次回以降の広告・運用計画も検討しておくと、採択・不採択どちらの結果でも動きを止めずに済みます。
採択されやすくするためのチェックリスト
申請書類を仕上げる際に、以下の項目をセルフチェックしてみてください。
- SNS施策が「販路開拓」「業務効率化」など補助金の目的に紐づいて説明されているか
- 経費区分(広報費/ウェブサイト関連費/委託・外注費等)が最新の公募要領と一致しているか
- 広報費・ウェブサイト関連費を単独ではなく、他の経費区分と組み合わせて申請しているか
- SNS運用の目標が、フォロワー数などの中間指標だけでなく、売上・来店・問い合わせ増加など事業成果に接続されているか
- 相見積もりなど、外部委託費の証憑要件を満たしているか
- 商工会・商工会議所への事前相談を、締切に余裕を持って済ませたか
- 数字や制度の記載内容を、直近の公式公募要領と突き合わせて確認したか
総務省が公表している「令和6年版情報通信白書」によれば、SNSの個人利用率は年代によって差はあるものの、20代で9割以上、30代で約85%、60代でも7割を超える水準にあるとされています(出典:総務省「令和6年版情報通信白書」)。あわせて、LINEヤフー株式会社は2026年1月、LINEの国内月間利用者数が2025年12月末時点で1億ユーザーを突破したと発表しています(出典:LINEヤフー株式会社プレスリリース)。顧客との接点としてSNSの重要性は年々高まっており、補助金を活用できるかどうかにかかわらず、SNS施策の計画自体は多くの小規模事業者にとって検討価値のあるテーマだと言えます。
申請時によくある失敗・注意点
最後に、申請でつまずきやすいポイントを整理します。
第一に、公募回ごとのルール変更を見落とすケースです。前述の通り、SNS広告費の区分は第19回と第20回で変わりました。過去に申請経験がある事業者ほど「前と同じだろう」という思い込みで書類を作り、差し戻しになることがあります。
第二に、商工会・商工会議所への相談を後回しにしてしまうケースです。事業支援計画書の発行には締切があり、申請直前に駆け込むと発行が間に合わない可能性があります。
第三に、SNS運用の成果指標を「フォロワー数」や「いいね数」だけで説明してしまうケースです。補助金の審査では販路開拓への貢献が問われるため、売上や成約への接続を意識した計画書にすることが重要です。SNS運用の目標設計に迷う場合は、業種・規模の近い他社の運用事例を参考にするのも一つの方法です。unyouでは実際のSNS運用事例を掲載しており、どのような目標設定・体制でSNSを運用しているかの参考情報として活用できます。
なお、本記事で紹介した補助率・上限額・経費区分・採択率などの数値情報は、記事作成時点で公開されていた情報に基づくものであり、今後の公募回で変更される可能性があります。実際に申請を検討する際は、必ず中小企業庁・日本商工会議所・全国商工会連合会が公開する最新の公募要領および管轄の商工会・商工会議所の案内を確認してください。
まとめ
小規模事業者持続化補助金は、SNS広告費や一部のSNS運用関連費用を対象経費に含められる可能性がある制度ですが、対象となる経費区分は公募回ごとに変わり、2026年公募の第20回ではSNS広告が「広報費」区分に移動するなどのルール変更がありました。単独申請ができない、上限額が設定されている、経営計画としての説明が求められるといった制約もあるため、「SNS広告を出せば自動的に補助される」わけではない点に注意が必要です。申請を検討する際は、本記事の内容を出発点としつつ、必ず公式の最新公募要領を確認し、早めに商工会・商工会議所へ相談することをおすすめします。SNS運用の目標設計や外部委託先の比較で迷ったら、unyouの事例データベースや相談窓口もあわせて活用してみてください。
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補助率・上限額・採択率・経費区分の記載はすべて、中小企業庁公式サイトおよびLINEヤフー株式会社プレスリリース、総務省「令和6年版情報通信白書」の公開情報に基づいています。数値は変動するため、実際の申請時は必ず一次資料(中小企業庁・実施団体の公募要領)でご確認ください。ファイルへの保存が必要であれば、権限を許可いただければ改めて保存します。
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