IT企業のSNS担当者から「Instagramはなんとか回せているけど、TikTokは何を投稿すればいいのか分からない」という相談を本当によく受けます。自社サービスは目に見える「モノ」ではなく、ダンスや料理のような映える瞬間もない。エンジニアは基本的にPCの前で黙々と作業しているだけ。そんな中で「バズるTikTok」を作れと言われても、何から手をつけていいのか分からず、結局更新が止まってしまう——これは特別なことではなく、IT・SaaS業界のSNS担当者の多くが通る道です。
でも実際には、IT企業だからこそ話せるネタは山ほどあります。エンジニアの働き方、開発の裏側、社内制度、採用のリアル、業界あるあるなど、「専門性」と「日常」のギャップこそがIT企業のTikTokコンテンツの武器になります。この記事では、SNS運用事例データベース「unyou」(https://unyou.media)に蓄積されたIT企業の運用知見と、公的機関・SNS公式の統計データを踏まえながら、明日から使える投稿ネタを50個、具体的な型として整理しました。ネタ切れに悩む担当者の方は、ぜひチェックリスト代わりに使ってください。
なぜ今、IT企業がTikTokに取り組むべきなのか
TikTokは「10代の若者が踊るアプリ」というイメージを持たれがちですが、その利用者層は年々広がっています。総務省が毎年実施している「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」では、TikTokの利用率が10代・20代を中心に高い水準にある一方、30代以降の利用率も年々じわじわと伸びていることが継続的に示されています。特に10代では過半数を大きく超える利用率が報告されており、これから採用市場に入ってくる若手人材や、将来のミドル層予備軍にリーチできるプラットフォームとして無視できない存在になっています(出典:総務省「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」)。
また、TikTok自体のプラットフォーム規模を見ても、TikTok運営元は2021年9月の公式発表(TikTok Newsroom)で、全世界の月間アクティブユーザー数(MAU)が10億人を突破したと発表しています。これはSNSの中でも急成長を遂げたプラットフォームであり、その後も動画コンテンツ消費のトレンドを牽引し続けています(出典:TikTok Newsroom, 2021年9月発表)。
さらに総務省「令和6年版 情報通信白書」でも、スマートフォンでの短尺動画視聴時間が年々拡大している傾向が指摘されており、テキストや静止画中心だった情報収集行動が、短尺動画へとシフトしていることが読み取れます(出典:総務省「令和6年版 情報通信白書」)。IT企業にとって重要なのは、採用候補者もエンドユーザーも、この「動画で情報を得る」行動様式にすでに移行しているという事実です。BtoB企業であっても、意思決定者個人はプライベートでTikTokを日常的に使っている可能性が高く、企業の「顔」を動画で見せることは採用ブランディングにも営業活動にも効いてきます。

IT企業のTikTok投稿が「ネタ切れ」する3つの理由
具体的なネタを紹介する前に、なぜIT企業のTikTok運用はネタ切れしやすいのか、その構造を整理しておきます。
- 「エンタメ発想」から入ってしまう:ダンスやトレンド音源に合わせた投稿をまず思い浮かべ、自社の事業内容とかけ離れているため続かなくなる。
- 「完璧な編集」を目指しすぎる:Instagramリールと同じクオリティを求めて撮影・編集コストが高くなり、投稿頻度が落ちる。
- 社内の協力者が固定化する:広報担当者1人だけがネタを絞り出し続け、他部署を巻き込めずにアイデアが枯渇する。
この3つを裏返すと、ネタ切れしない運用の条件が見えてきます。「事業と地続きのネタを」「低コストな型で」「社内を巻き込みながら」作ること。これを踏まえて、次に投稿ネタの「型」を紹介します。
ネタ切れしないための投稿ネタの「型」
50個のネタを丸暗記するよりも、まず以下の6つの型を押さえておくと、応用が利いて枯渇しにくくなります。
- Before/After型:導入前後の業務効率、コード量、画面遷移などを数字やビジュアルで見せる
- 舞台裏型:会議、開発合宿、障害対応、リリース直前の様子など「普段見えない場所」を見せる
- あるある型:エンジニア・営業・カスタマーサポートなど職種ごとの「共感されるあるある」を寸劇化する
- Q&A型:採用候補者やユーザーからよく聞かれる質問に、社員が一問一答で答える
- 豆知識・Tips型:ショートカットキー、業界用語、便利ツールなど視聴者の得になる情報を15〜30秒で伝える
- 人物紹介型:エンジニア・デザイナー・経営陣にスポットを当て、経歴や価値観を語ってもらう
ITのTikTok投稿ネタ50選
ここから具体的なネタを、6つのカテゴリに分けて紹介します。自社の状況に合わせて、まずは各カテゴリから1つずつ試すのがおすすめです。
A. 採用・カルチャー系(10選)
- 入社1年目社員の1日密着
- オフィスツアー(執務スペース、休憩室、会議室の紹介)
- 経営陣に聞く「うちの会社が向いている人・向いていない人」
- 面接でよく聞かれる質問Best3と模範回答
- 内定者・新入社員研修の様子
- リモートワーク中の社員の自宅作業環境紹介
- 社内制度(有給消化率、育休取得率など)の紹介
- 「入社前後のギャップ」を社員に本音で語ってもらう
- 採用ピッチ資料のハイライトを動画化
- 中途入社社員の「転職の決め手」インタビュー
B. プロダクト・サービス紹介系(8選)
- 新機能リリースを15秒で紹介
- 「このボタン1つでできること」機能ハイライト
- 導入企業の課題→解決までのビフォーアフター
- 開発中の機能をチラ見せ(ティザー投稿)
- 競合との違いを図解で説明
- よくある誤解・FAQをテンポよく回答
- サービスの裏側にあるデータ処理の仕組みを簡易図解
- アップデート履歴を「今月の進化」としてまとめる
C. エンジニア・技術系Tips(8選)
- 現役エンジニアが教えるショートカットキー集
- 「新人がやりがちなコードミス」あるある
- 業界用語・専門用語の30秒解説
- おすすめの開発ツール・拡張機能紹介
- デバッグに苦戦した実話エピソード
- コードレビューで指摘されがちなポイント
- 「非エンジニアにも分かる」技術解説シリーズ
- 資格取得・学習ロードマップの紹介
D. 社内密着・オフィス系(8選)
- ランチタイムの様子・社食紹介
- 部活動・サークル活動の紹介
- オフィスの一角にある「変わった設備」紹介
- 社内イベント(キックオフ、忘年会など)のダイジェスト
- デスク周りグッズ紹介(社員それぞれのこだわり)
- ペット同伴OKなど働く環境の紹介
- 部署対抗クイズ企画
- 「うちの会社の変わったルール」紹介
E. トレンド・ネタ系(8選)
- 流行りの音源に合わせた「エンジニアあるある」寸劇
- IT業界の「働き方トレンド」に乗っかった一言コメント動画
- 他社の話題のプロダクトに対する専門家目線のコメント
- 「もしIT企業が〇〇だったら」というパロディ企画
- 社員同士のリレー形式インタビュー(バトンを繋ぐ)
- 季節のイベント(入社式、忘年会、夏祭りなど)とサービスを絡めた投稿
- 視聴者からのコメント・質問に答えるシリーズ
- 「1分でわかる業界ニュース解説」
F. お客様事例・実績系(8選)
- 導入企業担当者へのインタビュー(許諾を得た上で)
- 受賞歴・メディア掲載実績の紹介
- 数字で見る実績(導入社数、継続率など)
- お客様の声を寸劇風に再現
- 展示会・イベント出展の様子
- 業界カンファレンス登壇のダイジェスト
- 社外パートナー企業との協業エピソード
- 「導入してよかった」の瞬間をお客様目線で再現ドラマ化
上記のうち、どのカテゴリから優先すべきか迷う場合は、下表を参考にしてください。
| カテゴリ | 想定KPI | 撮影・編集コスト | 向いているフェーズ |
|---|---|---|---|
| A. 採用・カルチャー系 | フォロワー増加、採用エントリー | 低〜中 | 採用強化期 |
| B. プロダクト紹介系 | プロフィールへの遷移、問い合わせ | 中 | サービス認知拡大期 |
| C. 技術Tips系 | 保存数、シェア数 | 低 | エンジニアブランディング期 |
| D. 社内密着系 | エンゲージメント率、コメント数 | 低 | 立ち上げ初期(まず投稿に慣れる) |
| E. トレンド・ネタ系 | 再生数、リーチ拡大 | 低〜中 | フォロワー基盤拡大期 |
| F. 事例・実績系 | 商談化、信頼性向上 | 中〜高 | 営業支援・受注後押し期 |
unyouのIT事例に見る、投稿ネタの選び方
明日から試せる!ネタ切れ防止チェックリスト
投稿ネタを思いつきで探すのではなく、仕組み化することがネタ切れ防止の本質です。以下のチェックリストを社内で共有し、月次で運用してみてください。
- 月初に、A〜Fの6カテゴリから最低1本ずつネタを仮決めしているか
- エンジニア・営業・人事など、広報担当以外の部署からもネタを募る仕組み(Slackチャンネルなど)があるか
- 過去の投稿で再生数・保存数が高かった投稿の「型」を分析し、次の企画に反映しているか
- 1本あたりの撮影・編集時間を30分以内に収める「型」を優先しているか
- 社員が出演する際、事前に簡単な台本やQ&A項目を用意しているか(即興に頼りすぎない)
- 週1回など、無理のない投稿頻度をあらかじめ決めているか
- 投稿ごとに「採用」「認知」「信頼構築」のどの目的か、意図を明確にしているか
- 競合・同業種のIT企業のTikTokアカウントを月1回チェックし、ネタのヒントを得ているか
特に重要なのは1つ目と2つ目です。ネタ切れは多くの場合「担当者一人の発想力の限界」で起きます。あらかじめカテゴリを決めておき、他部署を巻き込む導線を作ることで、属人化を防ぎ継続的な運用が可能になります。
投稿頻度とKPI設計の考え方
TikTokは他のSNSと比較してアルゴリズムがフォロワー数に依存しにくく、投稿単体のクオリティやテンポが評価されやすい特徴があります。そのため、フォロワー数がまだ少ない立ち上げ期であっても、投稿頻度を保つことで新規リーチが得られる可能性があります。ただし、無理な毎日投稿はクオリティ低下や担当者の疲弊を招くため、まずは週1〜2本を目安に、上記の「型」を使い回しながら安定運用することをおすすめします。KPIについても、初期段階では再生数やエンゲージメント率だけでなく、「継続投稿できているか(投稿本数)」自体を最初のKPIに置くと、挫折しにくくなります。
まとめ
IT企業のTikTok運用がネタ切れしやすいのは、エンタメ的な発想から入ってしまい、自社の事業や日常と切り離されたコンテンツを目指してしまうことが主な原因です。今回紹介した「採用・カルチャー系」「プロダクト紹介系」「技術Tips系」「社内密着系」「トレンド・ネタ系」「事例・実績系」の6カテゴリ・50個のネタは、いずれも自社の日常業務の延長線上で撮影できるものばかりです。総務省の調査やTikTok公式発表が示す通り、短尺動画プラットフォームの利用者層は着実に拡大しており、採用候補者やサービスの潜在顧客にリーチできるチャネルとして、IT企業がTikTokに取り組む意義は今後も高まっていくと考えられます。まずはチェックリストを使って社内の巻き込み体制を整え、月1〜2本からでも「型」を使い回しながら継続的に投稿してみてください。他社の具体的な運用事例をより詳しく知りたい方は、SNS運用事例データベース「unyou」(https://unyou.media)もあわせてご活用ください。
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