nendo(ネンド)のInstagram運用を分析|伸びている理由と、真似できるポイント【2026年版】
2026/9/24
「うちの会社もSNSをやってはいるけれど、何を投稿すればいいのか分からない」「商品写真を並べるだけで、フォロワーも反応も増えない」——BtoB企業やデザイン・ものづくり系の担当者から、こうした相談をよく耳にします。特に少人数の企業やクリエイティブ職の会社では、運用担当が兼任で手が回らず、気づけば数カ月更新が止まっているというケースも珍しくありません。
そんな中、国内外で高い評価を受けるデザイン事務所「nendo(ネンド)」のInstagramは、BtoBかつ専門性の高い業種でありながら、一貫した世界観と質の高い投稿で多くのデザイン関係者・ファンから支持されています。本記事では、公開情報をもとにnendoのInstagram運用を分析し、投稿の型・世界観のつくり方・エンゲージメントを生む工夫を分解した上で、他業種の企業や店舗アカウントにも応用できる具体的なポイントに落とし込みます。
nendo(ネンド)とは何者か:BtoBデザイン事務所がSNSで支持される理由
nendoは2002年に佐藤オオキ氏が設立したデザイン事務所で、東京とミラノに拠点を持ち、プロダクトデザインから家具、インテリア、建築、グラフィック、パッケージデザインまで幅広い領域を手がけています。2025年には大阪・関西万博の日本館プロジェクトに関わるなど、国内外の大型プロジェクトにも携わっており、海外メディアでの掲載実績も豊富です。公式Instagramアカウント「@nendo_official」では、こうした多岐にわたるプロジェクトのビジュアルが日常的に発信されています。
BtoBのデザイン事務所は、一般消費者に直接商品を売るわけではないため、本来SNSとの相性が難しい業種だと思われがちです。しかしnendoのアカウントは、企業の「実績紹介」に留まらず、デザインの背景にある考え方や制作プロセスそのものをコンテンツ化することで、デザイナーやクリエイター、メディア関係者、そして海外のファンまで幅広い層の関心を集めています。ここに、BtoB企業がSNSを「営業ツール」ではなく「ブランドの人格を伝えるメディア」として使うヒントがあります。

なぜいま「BtoBのInstagram運用」が注目されるのか
まず前提として、Instagramそのものの利用が日本国内でどれほど広がっているかを確認しておきます。総務省「令和6年版 情報通信白書」によれば、日本国内の主なソーシャルメディアの利用率は、全年代で「LINE」が91.1%、「Instagram」が52.6%、「X(旧Twitter)」が43.3%、「Facebook」が26.8%となっており、Instagramは若年層だけでなく幅広い年代に浸透したプラットフォームになっています。
またMeta社(Instagram公式)は2019年6月7日、日本国内のInstagram月間アクティブアカウント数が3,300万を突破したと発表しており、この数年でビジネス活用の裾野も大きく広がってきました。実際、比較ビズを運営する株式会社ワンズマインドの調査(PR TIMES掲載)では、BtoB企業の93.4%が「企業のSNS活用は必要だと思う」と回答しており、活用ツールとしてX、YouTubeに次いでInstagramが3位に挙げられています。
つまり「BtoBだからSNSは関係ない」という発想はすでに前提が崩れており、むしろ専門性の高い業種ほど、他社と差別化できる独自の世界観をビジュアルで示せるかどうかが問われる時代になっています。nendoのアカウントは、まさにその好例と言えます。
nendoのInstagram投稿を4つの型に分解する
公開されている投稿の傾向を分析すると、nendoの発信は大きく4つのタイプに整理できます。これはBtoBデザイン系・ものづくり系アカウントが投稿ネタに困ったときの型としてもそのまま参考にできます。
| 投稿の型 | 内容の例 | 狙い・効果 |
|---|---|---|
| 完成プロダクト紹介 | 家具・プロダクト・インテリアの単体カット | ブランドの美意識と統一感を印象づける |
| 制作プロセス・スケッチ | ラフ案、模型、素材検討の様子 | 「どう考えて作られたか」への興味喚起、専門家層の共感 |
| 展示会・イベント会場 | ミラノデザインウィークなど会場写真 | 国際的な活動実績の可視化、権威性の担保 |
| コラボレーション・掲載実績 | 海外ブランドとの協業、メディア掲載 | 第三者評価による信頼性の補強 |
この4つを見て分かるのは、「完成品だけ」を延々と並べていないという点です。プロセスや会場、コラボレーションといった「文脈」を交互に挟むことで、フィード全体が単なる商品カタログではなく、ブランドの活動記録・ストーリーとして機能しています。BtoB企業が陥りがちな「サービス紹介だけの投稿」から抜け出すには、この4分類を自社に置き換えて考えるのが有効です。
世界観の作り方:トンマナ統一とキャプションの型
nendoのフィードを俯瞰したときにまず気づくのは、写真のトーン&マナーの統一感です。背景をシンプルにし被写体そのものの形やディテールを際立たせる構図、余白を活かしたレイアウトなど、デザイン事務所らしい「引き算の美学」が写真の撮り方そのものに一貫して現れています。フィード全体を並べたときに、どの投稿も同じブランドの発信だと一目で分かる状態になっている点が重要です。
これはプロのカメラマンでなければ真似できない、という話ではありません。むしろ重要なのは次のような「撮影・編集のルール化」です。
- 背景色や余白の取り方を決めておく(例:白背景 or 無地の壁面のみ使用)
- 商品・作品を画面のどこに配置するか(中央寄せ、三分割構図など)のルールを統一する
- 色味の補正(彩度・明るさ)を毎回同じプリセットで行う
- 日本語と英語を併記するなど、想定読者(国内向けか海外向けか、あるいは両方)に合わせたキャプション設計をする
BtoB企業や店舗アカウントでも、撮影機材を高価なものに変えるより先に、この「ルールの統一」に着手する方が、世界観づくりの費用対効果は高くなります。
エンゲージメントを生む3つの仕掛け
nendoの発信から読み取れるエンゲージメント施策は、フォロワーに「いいね」を強要するようなものではなく、専門性と権威性を積み重ねる形で信頼を獲得していくアプローチです。具体的には次の3点に整理できます。
1. 制作の裏側を見せる「プロセス開示」 完成品だけでなく、検討段階のスケッチや試作の様子を見せることで、フォロワーは「結果」だけでなく「思考のプロセス」に興味を持ちます。これはBtoB企業が持つ最大の強みでもあります。完成品しか見せられない一般消費財のブランドと違い、専門的な制作工程そのものがコンテンツになり得るからです。
2. 国際的な活動実績の可視化 ミラノデザインウィークなど海外の展示会場の様子を継続的に発信することで、「グローバルに評価されているブランドである」という文脈が積み上がっていきます。これは単発の宣伝ではなく、投稿を重ねるごとに蓄積されていく「信頼の資産」です。
3. 海外ブランドとのコラボレーション発信 著名ブランドとの協業やメディア掲載は、フォロワーにとって「第三者からのお墨付き」として機能します。自社の発信だけでなく、外部との接点をコンテンツ化する視点は、フォロワー数や単純な投稿頻度だけに頼らないエンゲージメント設計として参考になります。
なお、経済産業省・特許庁が2018年に公表した「デザイン経営」宣言でも、デザインは「企業が大切にしている価値を実現する意志の表現であり、ブランド価値を生み、イノベーションを実現する力」と位置づけられています。nendoの発信は、まさにこの考え方をSNS上で体現していると言えるでしょう。
自社アカウントに応用する実践チェックリスト
ここまでの分析を踏まえ、明日から自社のInstagram運用に取り入れられる具体的なアクションをチェックリストにまとめます。
- 直近10投稿を見返し、「完成品紹介」だけに偏っていないか確認する
- 「制作プロセス」「現場・イベント」「コラボ・実績紹介」のいずれかを次の投稿に1つ入れる
- 撮影時の背景・構図・色味補正のルールを1枚のメモにまとめ、投稿担当者間で共有する
- プロフィール文に「何を専門とする会社か」を一文で明記する
- キャプションに、完成写真だけでは伝わらない「なぜこの形にしたか」を1〜2文添える
- 自社が関わった展示会・イベント・メディア掲載があれば、必ず記録として投稿する
- 月に1回、フィード全体をスマートフォンで並べて見て、世界観の統一感をチェックする
- 海外向け・国内向けなど、想定する読者層に応じてキャプションの言語や説明の粒度を調整する
このチェックリストは、フォロワー数の多寡に関わらず、専門性を軸にした企業・店舗アカウントであれば業種を問わず応用可能です。
よくある失敗と回避策
BtoB企業がSNS運用でつまずきやすいポイントもあわせて整理しておきます。
1つ目は、「担当者の異動・兼務で更新が属人化する」ことです。撮影・投稿のルールを言語化してドキュメント化しておかなければ、担当者が変わるたびに世界観が崩れてしまいます。前述のチェックリストのように、判断基準をメモとして残しておくことが有効です。
2つ目は、「完成品の宣伝ばかりで一方的な発信になる」ことです。プロセスや現場を見せる投稿を意図的に組み込まないと、フィードが単なるカタログ化してしまい、フォロワーとの接点が生まれにくくなります。
3つ目は、「フォロワー数や"バズり"を短期的なゴールに設定してしまう」ことです。nendoのような専門性の高いブランドの強みは、時間をかけて積み上がる信頼と権威性にあります。短期的な数字を追うのではなく、投稿の一貫性と情報の正確さを積み重ねる姿勢が、結果的に中長期のブランド価値につながります。
まとめ
nendoのInstagram運用から読み取れるのは、派手なバズを狙う施策ではなく、①投稿の型を分散させる、②トンマナを統一して世界観をつくる、③制作プロセスや国際的な活動実績を継続的に見せる、という地道な積み重ねです。BtoB企業やものづくり系の会社ほど「見せられるコンテンツがない」と感じがちですが、実際には制作の裏側や現場そのものが強力なコンテンツになり得ます。まずは自社の直近の投稿を見返し、本記事のチェックリストと照らし合わせるところから始めてみてください。
同業種・類似業態の運用事例をより詳しく知りたい方は、unyouの事例データベース(/cases)もあわせてご覧ください。実際のアカウントごとの投稿傾向や施策を、業種別に確認できます。
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