ケビンズイングリッシュルーム(Kevin's English Room)のInstagram運用を分析|伸びている理由と、真似できるポイント【2026年版】
2026/9/12
「うちのアカウント、なぜ伸びないんだろう」その悩み、教育系アカウントほど深い
英会話スクール、学習塾、資格予備校――教育・語学系のSNS担当者から最も多く聞こえてくる悩みは「真面目に有益な情報を発信しているのに、フォロワーが増えない」「保存やコメントがつかない」というものです。カリキュラムの正しさや講師の実力には自信があるのに、Instagram上では雑談系・エンタメ系のアカウントに埋もれてしまう。この壁にぶつかっている運用担当者は少なくありません。
一方で、英語というジャンルでありながら「勉強アカウント」の枠を超えて幅広い層に見られ続けている存在が「ケビンズイングリッシュルーム(Kevin's English Room、通称KER)」です。ケビン・かけ・やまの3人組によるこのアカウントは、YouTubeを主戦場としながらInstagramでも継続的に情報発信を行い、テレビ番組で紹介されたり、書籍化されたりと、SNSの外側にも活動の場を広げています。本コラムでは、公開されている情報をもとにケビンズイングリッシュルームの投稿の型・世界観のつくり方・エンゲージメント設計を分解し、企業や店舗のアカウントが応用できるポイントに落とし込みます。なお、フォロワー数やエンゲージメント率など裏取りのできない数字は本稿では扱わず、公表されている統計データと確認できる活動実績のみを根拠とします。

ケビンズイングリッシュルームとは何者か
ケビンズイングリッシュルームは、ケビン(アメリカ・ジョージア州出身。高校1年で日本に帰国し日本の高校に進学したネイティブスピーカー)、かけ(企画・ディレクション・編集を担当)、やま(日本語・英語に加えフランス語も話すトリリンガル)の3人が、大学のサークル活動を通じて知り合い、2019年11月頃からSNSでの発信を本格化させたグループです。
活動の軸はYouTubeですが、Instagramのリールやフィード投稿でも「ネイティブが実際に使う英語表現」「学校英語との違い」「海外文化とのギャップ」をテーマにしたコンテンツを継続的に発信しています。テレビの情報番組で取り上げられたり、『その英語、本当にあってる?ネイティブならこう答えます』といった書籍を出版したりと、SNSでの支持を起点にメディア展開・出版展開へとつなげている点も特徴です。
このグループが単なる「英語学習アカウント」に留まらず、幅広い層に見られている背景には、明確な役割分担と、教育コンテンツをエンタメとして成立させる設計があります。次章以降で、その構造を分解していきます。
なぜ「教育×エンタメ」の掛け算が支持されるのか
多くの教育系アカウントは「正しさ」を重視するあまり、情報の伝達効率を優先しがちです。しかしケビンズイングリッシュルームの投稿は、まず「面白い・気になる」という感情のフックがあり、その中に学びが自然に埋め込まれている構成になっています。たとえば「ネイティブはこう言わない」「日本人が間違えやすい英語」といった切り口は、視聴者の「自分も同じ間違いをしているかもしれない」という不安や好奇心を刺激し、最後まで見たくなる設計になっています。
これは「知識のギャップ」を刺激する手法とも言われ、視聴者が自分の知識の欠落に気づいた瞬間に続きが気になる、という心理を利用したものです。単に「正しい英語を教える」のではなく、「あなたの思い込みを崩す」という体験として設計されている点が、教育コンテンツでありながら高いエンゲージメントを獲得する理由の一つだと考えられます。
総務省「令和6年版 情報通信白書」によれば、SNSの利用率(無料通話機能を含む)は全年代平均で81.9%と、インターネット利用目的の中で最も高い割合を占めています。特に20代では利用率が9割を超え、30代でもおよそ85%に達するとされており、教育コンテンツの主要ターゲットである若年層〜働き盛り世代にとって、SNSはすでに情報収集の主戦場になっています。だからこそ、「正しいだけの情報」ではなく「見たくなる情報設計」を持つアカウントが優位に立ちやすい環境があるといえます。
投稿の「型」を分解する
ケビンズイングリッシュルームの投稿を見ていくと、いくつかの繰り返し使われる「型」があることがわかります。
- 勘違い訂正型:「日本人が間違えやすい英語表現」「学校で習ったけど実は通じない言い方」を提示し、正しい表現を紹介する型。視聴者の"あるある"を刺激する。
- ネイティブ反応型:日本語表現や和製英語をネイティブメンバーに見せて、リアルな反応を撮る型。予測不能なリアクションがエンタメ性を生む。
- クイズ・当てクイズ型:視聴者に先に考えさせてから答え合わせをする構成。コメント欄に予想を書き込ませる導線になる。
- 文化ギャップ型:アメリカと日本の生活習慣・言い回しの違いを比較する型。教育情報でありながら異文化理解というエンタメ要素も兼ねる。
- キャラクター掛け合い型:3人それぞれのキャラクター性(ネイティブ目線、企画頭脳、多言語話者)を活かした掛け合いをそのままコンテンツにする型。
これらに共通するのは、「情報単体」ではなく「情報+人間関係・キャラクター」がセットで提供されている点です。情報だけなら検索や辞書アプリでも得られますが、「この3人のやり取りだから見たい」という感情が視聴継続の理由になっています。
キャラクターの役割分担が生むエンゲージメント
ケビンズイングリッシュルームの構造上の強みは、3人がそれぞれ異なる役割を担っている点です。ネイティブとしての一次情報を提供する役、企画・編集で構成の面白さを担保する役、多言語話者として異なる視点を加える役――役割が重ならないことで、誰か一人に依存しない番組性が生まれています。
これは店舗・企業アカウントにも応用できる考え方です。例えば飲食店であれば「店主(専門性)」「スタッフ(親しみやすさ)」「常連客の声(第三者視点)」のように役割を分けて登場させることで、単調な"お店の宣伝アカウント"から抜け出しやすくなります。教育系サービスであれば「講師(専門知識)」「運営スタッフ(受講生目線への翻訳役)」「卒業生(実体験)」という組み合わせが考えられるでしょう。
コメント・保存を増やす設計のポイント
エンゲージメントを高めるうえで重要なのは、「見て終わり」にしない導線設計です。ケビンズイングリッシュルームの投稿に共通する構成要素を分解すると、以下のような設計思想が見えてきます。
- 答え合わせを最後に置く:クイズ形式や「実はこう言う」というオチを最後に配置し、最後まで視聴させる。
- 視聴者に発言の余地を残す:「あなたはどっちだと思う?」「知ってた?」という問いかけをキャプションやセリフに入れ、コメントの動機をつくる。
- 保存したくなる情報密度にする:フレーズ集・言い換え表現など、後で見返したい情報を1投稿に詰め込みすぎない範囲でまとめる。
- シリーズ化する:「〇〇シリーズ」として複数回にわたる企画にすることで、フォローする理由(続きが気になる)をつくる。
これらは英語学習という特殊な分野に限らず、どんな業種のアカウントにも転用できる考え方です。
他業種が応用できる具体的ポイント【チェックリスト】
ここまでの分析を踏まえ、自社・自店舗のアカウントに落とし込むための実践チェックリストをまとめます。明日から投稿企画を考える際に、以下の項目を確認してみてください。
- 投稿のオチ・結論を最後に置き、最後まで見る動機を作っているか
- 発信する情報が「正しいだけ」で終わらず、感情のフック(意外性・あるある・好奇心)を含んでいるか
- 登場する人物に役割の重複がなく、それぞれ異なる視点を提供できているか
- キャプションや台詞に、コメントを誘発する問いかけを入れているか
- 1つのテーマを単発で終わらせず、シリーズ化できる企画設計になっているか
- 保存したくなる情報量(多すぎず少なすぎず)に調整されているか
- リール・フィード・ストーリーズなど、投稿形式ごとに役割を分けて運用できているか
これらは特別な機材や予算がなくても、企画の組み方次第で今日から改善できる項目です。
KERの投稿の型と業種別の応用例
| ケビンズイングリッシュルームの投稿の型 | 何を利用した設計か | 他業種での応用例 |
|---|---|---|
| 勘違い訂正型 | 視聴者の知識の欠落への気づき | 「その掃除方法、実は逆効果」(住宅・家事系) |
| ネイティブ反応型 | 予測不能なリアクションのエンタメ性 | 「専門家がお客様の質問にガチ回答」(士業・医療系) |
| クイズ・当てクイズ型 | 参加型による能動的な視聴 | 「このメニュー、原価いくら?」(飲食店) |
| 文化ギャップ型 | 比較による新しい気づき | 「他店との違い」「業界の裏側」比較企画 |
| キャラクター掛け合い型 | 人間関係・キャラクター性 | スタッフ同士の掛け合い企画 |
SNSプラットフォーム側の環境変化も踏まえて運用する
コンテンツの型だけでなく、プラットフォーム全体の利用動向を踏まえて投稿設計をすることも重要です。株式会社サイバーエージェント次世代生活研究所が発表した「2025年Z世代のSNS利用率」調査では、Z世代におけるInstagramの利用率は2023年51.3%、2024年53.1%、2025年54.6%と、緩やかながら上昇を続けているとされています。ターゲットが若年層に近い教育・語学系サービスにとって、Instagramは引き続き重要な接点であり続けていることがうかがえます。
また、Instagram(Meta社)は2019年6月、国内の月間アクティブアカウント数が3,300万を突破したと公式発表しています。これ以降、Meta社はプラットフォーム別・地域別の利用者数を単独で公表する方針を取っておらず、これが現時点で確認できる公式の国内利用者数に関する最後の発表です。数字自体はやや古いものの、当時から国内における主要SNSとしての地位を築いていたことがわかります。数字の鮮度には注意しつつ、一次情報として何が公表されているかを正しく把握したうえで運用方針を立てることが、根拠のない数字に振り回されないためにも重要です。
まとめ
ケビンズイングリッシュルームの強みは、単に「英語が話せる」「発音が正しい」といった専門性だけではなく、教育コンテンツを「見たくなるエンタメ」として設計している点にあります。勘違い訂正型やクイズ型といった投稿の型、役割の異なるメンバー構成、コメントや保存を誘発する導線設計は、英語学習という分野に限らず、どの業種のSNSアカウントにも応用できる考え方です。
自社のアカウントが「正しい情報を発信しているのに伸びない」と感じているなら、情報の正確さそのものではなく、「見る動機」「参加する余地」「続きが気になる設計」がコンテンツに組み込まれているかを見直してみることをおすすめします。unyouでは、業種ごとの実際の運用事例を集めたデータベース(/cases)を公開しています。教育・語学系をはじめ、同じ悩みを抱える企業・店舗がどのような投稿設計でエンゲージメントを高めているか、具体的な事例と合わせて確認してみてください。
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