KATE(ケイト)のInstagram運用を分析|伸びている理由と、真似できるポイント【2026年版】
「competitorのInstagramはいつも伸びているのに、うちのアカウントは投稿しても反応が薄い」「世界観を作れと言われるけれど、具体的に何をどう変えればいいのか分からない」——コスメ・美容関連のSNS担当者から、こうした悩みを聞くことが増えています。フォロワー数やいいね数といった表面的な指標だけを追いかけても、なぜ伸びているのかという「構造」が見えなければ、次の一手にはつながりません。
特に美容業界は競合アカウントの数が多く、フィードのビジュアルもハイレベル化しているため、「何となく綺麗な写真を投稿する」だけでは埋もれてしまうのが現実です。そこで本記事では、カネボウ化粧品が展開するメイクブランド「KATE(ケイト)」の公式Instagram運用を、公開情報をもとに分析します。フォロワー数やエンゲージメント率といった未確証の数値は扱わず、投稿の型・世界観の作り方・UGC施策の構造など、他の企業や店舗アカウントが実際に応用できるポイントに絞って解説していきます。

KATEとは?ブランドとSNS戦略の前提を押さえる
KATEは1997年にカネボウ化粧品(現・花王グループ)から誕生したセルフメイクブランドです。誕生当初から一貫して掲げているブランドステートメントが「NO MORE RULES.」で、「自分を縛るルールからの解放」「自由」「個性」を意味するメッセージとして展開されています(参照:国際商業オンライン、ファッションプレス)。
このブランドは2021年前後にこの「NO MORE RULES.」というスローガンを改めて再解釈し、オン・オフラインを横断したマーケティングを強化したことで売上が30%増加したと日経クロストレンドが報じています(出典:日経クロストレンド「KATE、ブランドスローガン再解釈で売上30%増 オンオフつなぐマーケ」)。つまりKATEのSNS運用は、単発の「バズ狙い」ではなく、創業当初からのブランド哲学をSNS上で再現・拡張するという一貫した戦略の一部として位置づけられている点が重要です。
公式Instagramアカウント(@kate.tokyo.official_jp)では、新商品情報とメイクレシピ(メイクのやり方・使い方の提案)を軸にした発信が行われており、リール(ショート動画)を活用したメイク方法の紹介が投稿の中心的なフォーマットとなっています。
KATE公式Instagramの投稿方針を分解する
KATEの投稿を分解すると、大きく次の3つの型に整理できます。
1. 新商品訴求型 新商品の発売告知、パッケージや発色の見せ方に特化した投稿。ブランドカラーやフォントなど視覚的な統一感を保ちながら、商品単体の魅力を伝える。
2. メイクレシピ型(ハウツー) 「このアイテムを使ってどう仕上げるか」を短尺動画で見せる、実用性の高いコンテンツ。フォロワーにとって「保存したくなる」実利的価値を提供する投稿で、リールとの親和性が高い。
3. 世界観・企業姿勢発信型 「NO MORE RULES.」という価値観そのものを表現するビジュアルやメッセージ投稿。単なる商品紹介ではなく、ブランドが何を大事にしているかを伝える役割を担う。
この3つの型が混在することで、「商品を売り込まれている」という一方向の押し付け感を回避しつつ、実用コンテンツ経由での接触頻度を高め、ブランド価値観への共感も同時に育てるという構造になっています。単一の型に依存せず、複数の役割を投稿に持たせている点は、業種を問わず参考になる考え方です。
「NO MORE RULES.」が生む、世界観の一貫性という強さ
KATEのSNS運用で見逃せないのが、30年近く変えていないブランドメッセージを軸に、時代ごとの表現手法だけをアップデートしているという点です。1997年の誕生時から掲げる「自由」「個性の解放」という価値観は、2020年代のZ世代が重視する「自分らしさ」「多様性」といった価値観と自然に合致しており、時代が後からブランドに追いついてきたとも言えます。
Business Insider Japanは、KATEがユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)との共創企画など、体験型マーケティングを通じてZ世代を惹きつけていると報じています(出典:Business Insider Japan「Z世代を魅了する“ブランドの作り方”。KATEがUSJとの共創で仕掛ける、体験型マーケティングの新境地」)。SNS単体の施策ではなく、リアルの体験とSNS上の発信を連動させることで、投稿の説得力と話題性を高めていることが分かります。
多くの企業アカウントが陥りがちなのが、「今月のキャンペーン」「今期の売りたい商品」など、社内都合で投稿テーマがブレてしまうことです。KATEのように変えない軸(ブランドの価値観)と、変える要素(商品・表現手法・タイアップ企画)を明確に分けて運用することが、世界観の一貫性を保つ第一歩になります。
UGCを生み出す仕掛け:「#推しKATE」キャンペーンの構造
KATEはSNS上でユーザー投稿(UGC)を継続的に生み出す仕組みとして、「#推しKATE」キャンペーンを毎月実施しています。指定ハッシュタグとともに「使ってみたい、または使ったことがあるKATEの商品」を投稿したユーザーの中から抽選で当選者にプレゼントを贈るという設計で、SNS公式サイト「no more rules.net」上で毎月応募が受け付けられています(出典:KATE公式キャンペーンサイト「no more rules.net」)。
このキャンペーンのポイントは、参加ハードルの低さにあります。「商品を使った感想を書く」だけでなく「使ってみたい」という願望ベースの投稿も対象にすることで、まだ購入していない見込み顧客にも参加の余地を残しています。結果として、購入者のレビューだけでなく、ブランドに興味を持つ層の発信まで巻き込み、ハッシュタグ経由での話題の裾野を広げる設計になっています。
コスメ業界のUGC活用について、tatap.jpのコラムでは「追うべきはフォロワー数ではなく、UGC投稿数と指名検索数」であり、UGCの効果は蓄積型であるため最低でも3ヶ月、理想的には6ヶ月以上の継続運用で効果を検証すべきだと指摘されています。KATEの「#推しKATE」が単発企画ではなく毎月継続実施されている点は、この「蓄積型」の考え方と合致しています。
商品開発とSNS発信の好循環
KATEはSNSで話題化しやすい商品自体の開発にも力を入れています。代表例が「リップモンスター」で、WWDJAPANの取材ではSNS世代に刺さる商品誕生の裏側が語られています(出典:WWDJAPAN「『ケイト』に聞いた絶好調の理由 “リップモンスター”やSNS世代に刺さる商品誕生の裏側」)。
これは、SNS運用チームだけの努力ではなく、「SNSで語りたくなる特徴」をあらかじめ商品設計に組み込んでいることを示唆しています。色落ちしにくい・唇の水分に反応して発色するなど、言葉で説明しやすく、かつ実際に試して驚きのある機能性は、レビュー投稿やリールでの「検証コンテンツ」を誘発しやすくなります。
自社アカウントの運用改善を考える際、投稿の工夫だけでなく、「そもそも商品やサービス自体にSNSで語られる要素があるか」という視点を持つことも重要です。
数字で見る、なぜ今Instagram運用への投資が必要なのか
KATEの事例のような取り組みが増えている背景には、日本国内のSNS利用実態の変化があります。以下は、公的機関・報道の公開データです。
| 指標 | 内容 | 出典 |
|---|---|---|
| Instagram利用率(全年代) | 52.6% | 総務省「令和6年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」 |
| Instagram利用率(10〜30代) | 70%超 | 総務省「令和6年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」 |
| Z世代の消費行動 | インフルエンサーが紹介した商品を購入した経験がある人の割合は73% | 美容メディア「EMME」運営・gracemode調査(ネットショップ担当者フォーラム掲載) |
総務省の調査からは、10〜30代という美容ブランドのコア顧客層においてInstagramが生活インフラ化していることが読み取れます。加えて、Z世代の消費行動においてインフルエンサーやSNS上の情報が購買の意思決定に強く影響していることも、複数の民間調査で報告されています。KATEのようにメイク世代のボリュームゾーンと重なるブランドにとって、Instagramでの発信は「やるかどうか」ではなく「どう設計するか」の段階にあると言えるでしょう。
明日から試せる実践チェックリスト
KATEの分析から見えてきた要素を、自社アカウントに応用するための具体的なアクションに落とし込みました。
- ブランドの「変えない軸」を1文で言語化する:KATEの「NO MORE RULES.」のように、自社が発信し続ける価値観・世界観をまず言葉にする。投稿企画に迷ったとき、この1文に立ち返れるようにする。
- 投稿を「新商品訴求」「ハウツー」「世界観発信」の3種類に仕分ける:直近の投稿を洗い出し、どの型に偏っているかを確認する。実用性の高い「ハウツー型」が不足していないかを特に点検する。
- リール(短尺動画)での使い方・活用シーン発信を強化する:静止画の商品紹介だけでなく、使用感や手順が伝わる動画コンテンツの比率を増やす。
- ハッシュタグキャンペーンを単発でなく毎月の定例施策にする:「#推しKATE」のように、参加ハードルの低い投稿テーマを設定し、継続的にUGCを蓄積する仕組みを作る。
- 「使ってみたい」段階の見込み顧客も参加できる設計にする:レビュー投稿だけを対象にせず、興味関心層も巻き込める参加条件を検討する。
- 商品・サービス自体に「語りたくなる要素」があるか棚卸しする:SNS運用の工夫だけでなく、商品企画側にSNSで説明しやすい特徴を組み込めないか検討する。
- リアル施策(店舗・イベント・コラボ)とSNS発信を連動させる:オンラインだけで完結させず、体験とセットで発信することで説得力を高める。
これらは一度に全部を実行する必要はありません。まずは「変えない軸の言語化」と「投稿の型の仕分け」から着手し、自社アカウントの現在地を可視化することをおすすめします。
運用を続ける上で気をつけたいポイント
一点注意したいのは、KATEのような一貫した世界観づくりは、短期間で模倣・再現できるものではないという点です。KATEは1997年からのブランド哲学という土台があった上で、時代に合わせた表現のアップデートを重ねてきました。自社アカウントで同じような効果を狙う場合も、「今月だけ世界観を統一した投稿をする」のではなく、中長期で一貫させる前提での設計が必要です。
また、フォロワー数や「いいね」数といった表層的な指標を競合と比較して一喜一憂するよりも、UGCの投稿数や指名検索数の推移など、ブランドへの関心の広がりを示す指標に目を向けることが、コスメ・美容業界のSNS運用では特に重要だとされています。KATEの「#推しKATE」のような継続施策も、単月の応募数ではなく、蓄積による効果を前提に設計されている点を踏まえておくとよいでしょう。
まとめ
KATEのInstagram運用が支持されている背景には、①「NO MORE RULES.」という創業以来一貫したブランド哲学、②新商品訴求・ハウツー・世界観発信をバランスよく組み合わせた投稿設計、③「#推しKATE」のような参加ハードルの低い継続的UGC施策、④SNSで語られやすい特徴を商品開発段階から組み込む姿勢、という複数の要素が組み合わさっていると考えられます。
いずれも一朝一夕では真似できない部分もありますが、「変えない軸を言語化する」「投稿の型を仕分ける」「UGC施策を単発でなく定例化する」といった考え方は、業種や規模を問わず自社アカウントの運用改善に応用できるはずです。まずは自社の直近投稿を棚卸しし、どの型に偏っているかを確認するところから始めてみてください。
美容・コスメ業界以外の事例も含め、業種別のSNS運用実例を知りたい方は、unyouのSNS運用事例データベースもあわせてご覧ください。
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