JTB公式InstagramアカウントのInstagram運用を分析|伸びている理由と、真似できるポイント【2026年版】
2026/9/23
「うちのSNS、なんで伸びないんだろう」と感じたら
企業の公式Instagramを任されると、必ずぶつかる壁があります。投稿を続けているのにフォロワーが増えない、いいねはつくけど保存やシェアにつながらない、そもそも何を投稿すれば「らしさ」が出るのか分からない——。特に旅行・観光のように写真映えする業界ほど、競合アカウントとの差がはっきり見えてしまい、焦りを感じている担当者も多いのではないでしょうか。
そんなときにヒントになるのが、実際に長く運用され、支持を集め続けている企業アカウントの「型」を分解することです。今回は、大手旅行会社JTBが運用する公式Instagramアカウント「JTB公式Instagramアカウント(@jtb_jp)」を題材に、公開情報をもとに投稿の作り方・世界観の統一方法・エンゲージメントを生む仕組みを分析し、業種を問わず応用できるポイントに落とし込みます。SNS運用事例データベース「unyou」(https://unyou.media)の知見も踏まえ、明日から試せる具体的なアクションまで整理しました。

JTB公式Instagramアカウントとはどんなアカウントか
JTB公式Instagramアカウント(@jtb_jp)は、「旅に行きたくなる情報や綺麗な景色を発信する」ことをコンセプトに掲げた、JTB本体が運用するメインの公式アカウントです。国内外の観光地・絶景スポットを写真とキャプションで紹介する投稿を軸に、ユーザーから募集した旅先の写真をピックアップして紹介する投稿もあわせて展開しています。
JTBはこのメインアカウントに加えて、目的別に複数のInstagramアカウントを運用しているのも特徴です。海外旅行・海外生活の情報に特化した「世界の街歩き by JTB(@jtb_globalnews)」、そして2024年に新設された「JTB店舗スタッフ公式Instagram」は、全国のJTB店舗に所属するスタッフ本人が、得意分野や趣味を活かして旅行情報や地元のおすすめスポットを発信するアカウントです(JTBニュースルーム「JTB店舗スタッフ公式Instagramを新開設」、PR TIMES掲載のプレスリリースより)。
一つの企業が「絶景メディア」「海外専門メディア」「中の人(スタッフ)メディア」という異なる役割のアカウントを使い分けている点は、企業SNS運用の設計として非常に参考になります。
なぜ支持されているのか:投稿の型を分解する
JTB公式Instagramの投稿を見ていくと、大きく3つの型に整理できます。
1. 絶景・観光地紹介型 国内外の美しい風景写真を1枚〜複数枚のカルーセルで見せ、キャプションで撮影地の情報や見どころを補足する、いわゆる「旅行メディア」として王道の投稿スタイルです。フィード全体を通して「行ってみたい」という感情を喚起することに主眼が置かれています。
2. ユーザー投稿ピックアップ型 後述するハッシュタグキャンペーンで集まったフォロワーの旅行写真を、公式アカウントが選定して紹介する投稿です。ユーザー自身が「主役」になれるコンテンツのため、参加意欲を刺激し、アカウントとフォロワーの距離を縮める効果があります。
3. キャンペーン・企画告知型 地域と連携した観光企画(例:「日本の旬 九州」)や、投稿キャンペーンの告知など、送客・販促につながる投稿です。景色を見せるだけで終わらず、実際の予約や来店行動へとつなげる導線としての役割を担っています。
この3つの型を意図的に使い分けることで、「見て楽しい」「参加したくなる」「行動につながる」というフィードの目的をバランスよく満たしているのが、JTB公式Instagramの投稿設計の特徴だといえます。
| 投稿の型 | 主な目的 | フォロワーが得る価値 |
|---|---|---|
| 絶景・観光地紹介型 | ブランドイメージの醸成、保存・シェアの獲得 | 旅先の視覚的インスピレーション |
| ユーザー投稿ピックアップ型 | エンゲージメント向上、UGC活用 | 自分の投稿が紹介される期待感 |
| キャンペーン・企画告知型 | 送客・販促、指名検索の獲得 | お得な情報・参加機会 |
世界観をつくる3つの工夫
旅行・観光業界のInstagram分析では、「投稿画像の色味やキャプションのトンマナなど、世界観が統一されているアカウントほどファンを獲得しやすい」という傾向が指摘されています。JTB公式Instagramにも、この世界観づくりの工夫が随所に見られます。
- 写真のクオリティとトーンの統一:投稿される写真は、プロが撮影したかのような構図・色味のものが多く、フィード全体を横断して見たときに「一つのブランドの世界観」として認識されやすくなっています。
- キャプションのトーン&マナー:観光地の魅力を端的に伝えつつ、押し付けがましくない語り口で統一されており、企業アカウントにありがちな「宣伝色の強さ」を抑えています。
- アカウントを分けることによる世界観の純度維持:前述の通り、海外旅行特化・スタッフ発信型など目的の異なるコンテンツは別アカウントに切り分けることで、メインアカウントの「絶景メディア」としての世界観を薄めない設計になっています。
一つのアカウントに全てを詰め込もうとすると、世界観がぼやけてフォロワーの期待値が定まりません。JTBのように「このアカウントは何を届ける場所か」を明確に絞り込むことが、世界観づくりの第一歩です。
エンゲージメントを高める仕組み:UGCとハッシュタグキャンペーン
JTB公式Instagramのエンゲージメント施策として特徴的なのが、ハッシュタグ「#JoyTB」を活用したユーザー投稿キャンペーンです。フォロワーが旅先の写真を「#JoyTB」を付けて投稿すると、公式アカウントで紹介される可能性があるという仕組みで、参加者にはJTB旅行券が贈られる形式で運用されてきました。
このキャンペーンが優れている点は3つあります。
- ハッシュタグ自体がブランド名を想起させる:「JoyTB」はJTBという社名と「Joy(喜び)」を掛け合わせた造語で、投稿するだけで自然とブランドを想起させる設計になっています。
- UGC(ユーザー生成コンテンツ)が投稿ネタの枯渇を防ぐ:企業側が撮影・用意する写真だけに頼らず、フォロワーの投稿から質の高いコンテンツを継続的に集められる仕組みになっています。
- 「紹介されるかもしれない」という期待がロイヤルティを高める:単なる懸賞応募ではなく、公式アカウントに取り上げてもらえる可能性があること自体が参加のモチベーションになっています。
さらに、「日本の旬 九州」のような地域限定の投稿キャンペーンも展開しており、全国一律ではなく地域ごとにテーマを絞った企画を行うことで、地域の観光需要喚起とアカウントの話題化を両立させています。
複数アカウント戦略:目的別に「人格」を分ける
2024年に新設された「JTB店舗スタッフ公式Instagram」は、企業アカウントが陥りがちな「無機質さ」を補う施策として注目に値します。全国のJTB店舗に所属するスタッフが、それぞれの個性や得意分野を活かして旅行情報や地元のおすすめ、日常の楽しみ方を発信する形式で、いわゆる「中の人」コンテンツに近い設計です。
企業の看板を背負った「メインアカウント」と、個人の温度感が伝わる「スタッフアカウント」を併存させることで、次のような役割分担が可能になります。
- メインアカウント:ブランドイメージの醸成、送客につながる情報発信
- スタッフアカウント:親近感の醸成、フォロワーとの距離を縮めるコミュニケーション
- テーマ特化アカウント(海外旅行専門など):特定ニーズを持つユーザーへの深いリーチ
一つのアカウントで全てを担おうとするより、「誰に」「何を」届けたいかによってアカウントの人格を分ける方が、結果的にそれぞれのアカウントの発信内容がぶれにくくなります。中小企業や店舗単位でも、「本店アカウント」と「スタッフ個人の色を出すアカウント」を分けるという発想は十分に応用可能です。
旅行業界とSNSを取り巻くデータで見る背景
JTBのようなアカウントが力を入れる背景には、旅行検討行動におけるSNSの重要性の高まりがあります。公開されている調査データからも、その傾向が読み取れます。
- 公益財団法人日本交通公社(JTBF)は「国内旅行におけるSNS・写真に対する意識/実態」と題した旅行実態調査トピックスを公表しており、旅行者が旅先での体験を写真やSNSでシェアする行動が広がっていることを継続的に調査・発信しています。
- 株式会社トリドリがPR TIMESで公表した調査リリースでは、「6割以上のユーザーが旅行先選びでSNSの情報を重視」しているという結果が示されており、旅行の意思決定プロセスにおけるSNSの影響力が裏付けられています。
- 株式会社パスチャーがPR TIMESで公表した「Instagram最新動向調査レポート」では、旅行業界アカウントの平均フォロワー数や成長率が定期的に集計・公表されており、業界内でのアカウント成長スピードを客観的に把握できる指標として参照されています。
- 総務省「令和6年版 情報通信白書」でもSNSの利用状況が取り上げられており、幅広い年代でSNSの利用が一般化していることが確認できます(総務省ウェブサイト掲載)。
こうしたデータが示す通り、「旅先を検討する段階」から「旅先で体験を共有する段階」まで、旅行という消費行動全体にSNSが深く組み込まれています。JTBが写真の美しさやUGCの活用にこだわるのは、こうした行動変化を踏まえた合理的な戦略だと読み取ることができます。
明日から真似できる実践チェックリスト
JTB公式Instagramの分析から得られるポイントを、自社アカウントですぐに実践できるチェックリストに落とし込みました。
- アカウントの役割を1行で言語化する:「何を届けるアカウントか」を社内で言葉にできているか確認する
- 投稿を3つの型に分類してみる:「見せる投稿(世界観訴求)」「参加を促す投稿(UGC・キャンペーン)」「行動を促す投稿(告知・送客)」の比率を棚卸しする
- フィード全体のトンマナを統一する:直近9〜12投稿をスマホで並べて見て、色味・写真のトーンにばらつきがないか確認する
- ブランド名を想起させるオリジナルハッシュタグを作る:社名や商品名を含み、かつポジティブな言葉と掛け合わせた覚えやすいハッシュタグを検討する
- UGCを紹介する仕組みを作る:ユーザー投稿を「取り上げる場」を明確にし、参加のモチベーションを設計する
- 複数アカウントの是非を検討する:発信したい情報の種類が3つ以上に分かれている場合、アカウントを分割すべきか検討する
- 「中の人」コンテンツの余地を探る:スタッフや現場の個性を出せるコンテンツ枠を作れないか検討する
- 地域・季節・テーマを絞った小さな企画を試す:全社一律の大型キャンペーンでなく、範囲を絞った企画から着手する
いきなり全てを実行する必要はありません。まずは自社アカウントの投稿を3つの型に分類してみるところから始めると、現状の偏りが可視化され、次の一手が見えてきます。
まとめ
JTB公式Instagramアカウントが支持されている背景には、①投稿を「見せる・参加させる・行動させる」の3つの型に整理していること、②写真とキャプションのトーンを統一して世界観を作り込んでいること、③「#JoyTB」に代表されるUGC施策でフォロワーを巻き込んでいること、④メインアカウント・テーマ特化アカウント・スタッフアカウントと目的別にアカウントの人格を分けていること、という複数の要素が組み合わさっています。いずれも旅行業界に限らず、業種や規模を問わず応用できる考え方です。まずは自社アカウントの投稿を棚卸しし、チェックリストの項目から一つずつ試してみてください。
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